2021年10月に見たい展覧会【浦上玉堂/石橋財団コレクション×森村泰昌/民藝の100年

新型コロナウイルス感染症対策のため、19都道府県に発令されていた緊急事態宣言と、8県に適用されていたまん延防止等重点措置は、9月30日をもってすべて解除されました。過去最多の感染者数を記録した7月からの「第5波」は、現在のところ全国的に急激に収束しています。


「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」(SOMPO美術館)展示風景。撮影可能スペースにて。

東京と近郊の多くの美術館や博物館は、宣言下においても感染対策を踏まえて開館していましたが、今後は夜間開館を再開したり、休止していたイベントを行うことも予想されます。例えば森美術館は東京都におけるリバウンド防止措置に則って、10月1日から閉館時間が21時までに変更となりました。

10月は興味深い展覧会が目白押しです。今月に気になる展覧会をリストアップしてみました。

【展覧会】

・「ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island ―あなたの眼はわたしの島」 水戸芸術館(9/14~10/17)
・「能 Noh~秋色モード~」 大倉集古館(8/24~10/24)
・「没後160年記念 歌川国芳」 太田記念美術館(9/4~10/24)
・「開館60周年記念展 刀剣 もののふの心」 サントリー美術館(9/15~10/31)
・「あざみ野コンテンポラリー vol.12 對木裕里 ばらばらの速度」 横浜市民ギャラリーあざみ野(10/9~10/31)
・「美男におわす」 埼玉県立近代美術館(9/23~11/3)
・「川端龍子 vs. 高橋龍太郎コレクション ―会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・山口晃―」 大田区立龍子記念館(9/4~11/7)
・「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない! 人生絵日記」 世田谷美術館(9/4~11/7)
・「速水御舟と吉田善彦―師弟による超絶技巧の競演―」 山種美術館(9/9~11/7)
・「特別展 浦上玉堂」 東京黎明アートルーム(10/13~11/13)
・「生誕110年 香月泰男展」 神奈川県立近代美術館 葉山(9/18~11/14)
・「伝教大師1200年大遠忌記念 最澄と天台宗のすべて」 東京国立博物館(10/12~11/21)
・「ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス」 Bunkamuraザ・ミュージアム(9/18~11/23)
・「棟方志功と東北の民藝」 日本民藝館(10/1~11/23)
・「キューガーデン 英国王室が愛した花々 シャーロット王妃とボタニカルアート」 東京都庭園美術館(9/18~11/28)
・「小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌」 東京ステーションギャラリー(10/9~11/28)
・「縄文2021―東京に生きた縄文人―」 江戸東京博物館(10/9~12/5)
・「学者の愛したコレクション —ピーター・モースと楢﨑宗重—」 すみだ北斎美術館(10/12~12/5)
・「ゴッホ展—響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」 東京都美術館(9/18~12/12)
・「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」 パナソニック汐留美術館(10/9~12/19)
・「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」 SOMPO美術館(10/2~12/26)
・「福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧」 千葉市美術館(10/2~12/19)
・「和田誠展」 東京オペラシティ アートギャラリー(10/9~12/19)
・「白井晟一 入門 第1部/白井晟一クロニクル」 渋谷区立松濤美術館(10/23~12/12)
・「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×森村泰昌 M式「海の幸」―森村泰昌 ワタシガタリの神話/石橋財団コレクション選 印象派―画家たちの友情物語」 アーティゾン美術館(10/2~2022/1/10)
・「ミニマル/コンセプチュアル:ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960–70年代美術」 DIC川村記念美術館(10/9~2022/1/10)
・「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」 国立科学博物館(10/14~2022/1/12)
・「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」 森美術館(4/22~2022/1/16)
・「梅津庸一展 ポリネーター」 ワタリウム美術館(9/16~2022/1/16)
・「イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 ― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン」 三菱一号館美術館(10/15~2022/1/16)
・「ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」 ポーラ美術館(9/18~2022/3/30)

【ギャラリー】

・「火の国 篠塚聖哉展」 日本橋三越本店コンテンポラリーギャラリー(9/29~10/11)
・「The Absurd and The Sublime ギイ ブルダン展」 シャネル・ネクサス・ホール(9/8~10/24)
・「石田恵嗣 : FLOW」 アートフロントギャラリー(10/8~10/24)
・「今津景 Mapping the Land/Body/Stories of its Past」 ANOMALY(10/2~11/7)
・「第15回 shiseido art egg 菅実花展」 資生堂ギャラリー(10/19~11/14)
・「奈良原一高 写真展 宇宙への郷愁」 東京工芸大学写大ギャラリー(9/13~11/20)
・「ギルバート&ジョージ《CLASS WAR, MILITANT, GATEWAY》」 エスパス ルイ・ヴィトン東京(10/14~2022/3/6)
・「妹島和世+西沢立衛/SANAA展 環境と建築」 TOTOギャラリー・間(10/22~2022/3/20)

まずは東中野にある小さな美術館に注目したいと思います。東京黎明アートルームにて「特別展 浦上玉堂」が行われます。



「特別展 浦上玉堂」@東京黎明アートルーム(10/13~11/13)

これは江戸時代後期の水墨画家である浦上玉堂の画業を辿るもので、初公開作品を含む約40点の書画が展示されます。なお昨年は玉堂の没後200年にあたりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って記念展が見送られ、今年改めて開催されることになりました。


また東京黎明アートルームでは本展初日に合わせ、地下1階にカフェ「SUZU COFFEE」がオープンします。そちらも楽しみにしたいところです。

続いては現代美術です。アーティゾン美術館にて「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×森村泰昌 M式「海の幸」―森村泰昌 ワタシガタリの神話」が開かれます。



「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×森村泰昌 M式「海の幸」―森村泰昌 ワタシガタリの神話」@アーティゾン美術館(10/2~2022/1/10)


今回のジャム・セッションに登場するのは、自画像的作品で知られる森村泰昌で、かねてより密かな想いを寄せていたという青木繁の「自画像」と「海の幸」に向き合い、青木への想いを語る新作などが展示されます。ジャム・セッションといえば、昨年の鴻池朋子も会場を大胆に用いた構成で注目を集めましたが、また森村も驚きや発見に満ちたような展示を行うかもしれません。

ラストは民藝ファン待望の展覧会です。東京国立近代美術館にて「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」が開催されます。



「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」@東京国立近代美術館(10/26〜2022/2/13)

ここでは民藝運動の変化と社会の関係を踏まえながら、1910年より1970年代への史的展開を辿るもので、柳の蒐集した陶磁器、木工、染織などから大津絵、さらには同時代の出版物や写真に映像など、実に400点を超える作品が公開されます。


晩年の柳は国立近代美術館の開館に際し、批判的な文章を綴ったそうですが、以来70年あまり経過した現在、当面は望めそうもない民藝の一大展覧会となりそうです。

縄文から印象派、「美男」まで!10月のおすすめ展覧会5選
https://irohani.art/event/5219/

WEBメディア「イロハニ・アート」にも今月のおすすめの展覧会を寄稿しました。そちらもご覧いただければ幸いです。


それでは今月もよろしくお願いいたします。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 「森に棲む服... 「杉浦非水 時... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。