「石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー

ギンザ・グラフィック・ギャラリー
「SURVIVE - EIKO ISHIOKA /石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか」
2020/12/4~2021/3/19



ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の「SURVIVE - EIKO ISHIOKA /石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか」を見てきました。

1938年に生まれ、アートディレクターやデザイナーとして世界的に活躍した石岡瑛子は、広告キャンペーンにおいても時代を切り開く表現を続けてきました。

その石岡の日本での活動を紹介したのが「グラフィックデザインはサバイブできるか」で、主に1980年代にニューヨークへ渡る前に手がけた広告ポスターが展示されていました。



まず一階では「グラフィックアート編」とした3分の映像が公開されていて、周囲には「着地は熱情であらねばいけない。」や「デザインは感覚や技術ではなく、考え方を表現するひとつのきちんとした手段である。」などの石岡の言葉が紹介されていました。



グラフィックアートの鮮烈なイメージはもとより、石岡のメッセージも力強く感じられて、何とも言い難い熱量に飲まれるかのようでした。



一方で地下の展示室には、資生堂やパルコ、角川書店などの広告ポスターなどが所狭しと並んでいて、石岡の膨大でかつパワフルなまでの仕事の一端を目の当たりにすることができました。



こうした一連の広告ポスターとともに目を引いたのは、ブックデザインやマイルス・ディヴィスのアルバムのアートワークなどの仕事でした。



資生堂の高級石鹸「ホネケーキ」の広告では、石岡の手書きによるメモも残されていて、1つの仕事の制作プロセスを追うこともできました。なお同広告は、商品(石鹸)を真っ二つに切るという斬新なデザインゆえに、当初社内から強い反対を受けました。結果的には石岡のADとして実質初めて担ったデビュー作となり、1965年のADC賞を受賞しました。



石岡が資生堂入社試験の際、面接に持参したという「裸体のクロッキー」も興味深い作品でした。石岡は芸大時代、粘土を練っては陶器を焼いたり、塑像を造ったりしながら、自己の内面を見つめる時間を大切に考えていたそうです。



ラストインタビュー「グラフィックはサバイブできるか」からの約30分の音声も大いに耳を引きました。これは2011年、ニューヨークで入院中だった石岡が病院を抜け出し、自室のマンションにてインタビューを受けたもので、半年後に亡くなったために事実上、最後の生の声となりました。全部で4時間も収録したそうです。



いずれのポスターやデザインには、人間の強く根源的な魂の叫びが内包されているかのようで、類い稀な生命感に満ちていました。

会期は前後期の2期制です。それぞれ前期を「広告・キャンペーン」、後期を「グラフィックアート」をテーマとして作品が入れ替わります。

前期(広告・キャンペーン):2020年12月4日(金)〜2021年1月23日(土)
後期(グラフィック・アート):2021年2月3日(水)〜3月19日(金)

現在、東京都現代美術館においても質量ともに圧倒的な「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」が開かれていますが、合わせて見ておきたい内容と言えそうです。



後期も追いかけたいと思います。3月19日まで開催されています。(前期展示は1月23日まで)

「SURVIVE - EIKO ISHIOKA /石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー
会期:2020年12月4日(金)~2021年3月19日(土)
 *前期(広告・キャンペーン):2020年12月4日(金)〜2021年1月23日(土)、後期(グラフィック・アート):2021年2月3日(水)〜3月19日(金)
休廊:日曜・祝日。年末年始(12月28日〜1月5日)
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
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