都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ふくしま 藁の文化」 福島県立博物館
福島県立博物館
「ふくしま 藁の文化~わらって、すげぇんだがら~」
2021/10/9~12/19
福島県立博物館で開催中の「ふくしま 藁の文化~わらって、すげぇんだがら~」を見てきました。
イネ科の植物を乾燥させた藁は、燃料や建築資材、それに飼料などに利用されるだけでなく、しめ飾りといった神聖なものとしても尊ばれ、人々の暮らしと深く関わってきました。
その藁にまつわるコレクションを紹介するのが「ふくしま 藁の文化」で、衣食住にまつわる藁の道具からしめ飾り、はたまた藁で作られた人形などが一堂に公開されていました。
まず冒頭で紹介されているのが「わらわら、神さま大集合!」題した東日本のわら人形で、福島の会津やいわきをはじめ、秋田や岩手、さらには茨城から千葉へといたるさまざまな人形が並んでいました。それらは大きく手を広げては、どこかコミカルな表情をしていて、神さまであるにもかかわらず人懐っこく見えました。
田村市屋形のお人形様 田村市船引町屋形
福島県田村市屋形のお人形さまとは、同地の村を守るべく作られた人形で、毎年4月に面を塗ったり髭をつけるといった衣替えが行われてきました。そして屋形ではいまも技術の継承に努めるべく、わら細工の講習会が行われているそうです。
「辻切り(道切り)」のダイジャ 千葉県市川市堀之内
市川市堀之内の「辻切り」のダイジャとは、利根川流域の埼玉から千葉、あるいは茨城県に伝わるオビシャと呼ばれる神事に合わせて作られる大蛇で、耳には琵琶の葉を入れ、目には線香の灰が紙に包まれていました。オビシャとは一年のうちの豊作を占う神事で、地域により内容を変えていまに伝えられてきました。
「けんだい」 会津若松市北会津町下荒井虚空蔵堂
しめ飾りやしめ縄で目立っていたのは、会津若松市北会津町の虚空蔵堂へ年末に奉納される「けんだい」と呼ばれるしめ飾りで、大きな渦巻状の藁がそれこそ大蛇のようにトグロを巻いていました。元々は正月のみ飾られていたものの、現在は次の年末まで1年間飾られているとのことでした。
「大わらじ(信夫三山暁まいり)」4分の1模型 福島市御山
福島市信夫山の羽黒神社の境内に奉納された大わらじも目立っていたのではないでしょうか。実に長さ12メートル、重さ2トンにも及ぶ日本最大のわらじで、市内の農家から調達される2000束もの藁で作られました。展示品は4分の1サイズの模型で、実際に奉納された光景も写真パネルで紹介されていましたが、もはや塔のように巨大でした。
左下:「花嫁づっと」 会津坂下町坂本平井
この他にも藁に関する道具としては、かつて結婚式の後に祝儀の料理を入れて土産にしていた「花嫁づっと」や、割れやすい皿を保管していたという「皿いじこ」なども興味深いのではないでしょうか。
「猫の巣」 南会津町
南会津町の古民家に残され、家人が飼い猫のために作ったという「猫の巣」もかわいらしく思えました。
現代の生活において昔に比べると藁を使うシーンは減っていますが、それでも藁と作り手が生みだした文化の重みを感させるものがありました。藁を通して人々の暮らし、あるいは祈りのあり方を見るような展覧会といえるかもしれません。
なお同館が誇る「東日本のわら人形コレクション」が新収蔵資料を交えて一度に公開されたのは、1988年の企画展「境の神・風の神」以来、実に30年以上ぶりのことになります。
常設展においても藁を用いた資料がいくつも展示されていました。こちらもあわせて見ておきたいところです。
撮影が可能でした。12月19日まで開催されています。
「ふくしま 藁の文化~わらって、すげぇんだがら~」 福島県立博物館(@fukushimamuseum)
会期:2021年10月9日(土)~12月19日(日)
休館:月曜日。
時間:9:30~17:00
*入場は閉館30分前まで。
料金:一般・大学生800(640)円、高校生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:福島県会津若松市城東町1-25
交通:JR線会津若松駅よりまちなか周遊バス「ハイカラさん」にて約20分。三の丸口下車すぐ。
「ふくしま 藁の文化~わらって、すげぇんだがら~」
2021/10/9~12/19
福島県立博物館で開催中の「ふくしま 藁の文化~わらって、すげぇんだがら~」を見てきました。
イネ科の植物を乾燥させた藁は、燃料や建築資材、それに飼料などに利用されるだけでなく、しめ飾りといった神聖なものとしても尊ばれ、人々の暮らしと深く関わってきました。
その藁にまつわるコレクションを紹介するのが「ふくしま 藁の文化」で、衣食住にまつわる藁の道具からしめ飾り、はたまた藁で作られた人形などが一堂に公開されていました。
まず冒頭で紹介されているのが「わらわら、神さま大集合!」題した東日本のわら人形で、福島の会津やいわきをはじめ、秋田や岩手、さらには茨城から千葉へといたるさまざまな人形が並んでいました。それらは大きく手を広げては、どこかコミカルな表情をしていて、神さまであるにもかかわらず人懐っこく見えました。
田村市屋形のお人形様 田村市船引町屋形
福島県田村市屋形のお人形さまとは、同地の村を守るべく作られた人形で、毎年4月に面を塗ったり髭をつけるといった衣替えが行われてきました。そして屋形ではいまも技術の継承に努めるべく、わら細工の講習会が行われているそうです。
「辻切り(道切り)」のダイジャ 千葉県市川市堀之内
市川市堀之内の「辻切り」のダイジャとは、利根川流域の埼玉から千葉、あるいは茨城県に伝わるオビシャと呼ばれる神事に合わせて作られる大蛇で、耳には琵琶の葉を入れ、目には線香の灰が紙に包まれていました。オビシャとは一年のうちの豊作を占う神事で、地域により内容を変えていまに伝えられてきました。
「けんだい」 会津若松市北会津町下荒井虚空蔵堂
しめ飾りやしめ縄で目立っていたのは、会津若松市北会津町の虚空蔵堂へ年末に奉納される「けんだい」と呼ばれるしめ飾りで、大きな渦巻状の藁がそれこそ大蛇のようにトグロを巻いていました。元々は正月のみ飾られていたものの、現在は次の年末まで1年間飾られているとのことでした。
「大わらじ(信夫三山暁まいり)」4分の1模型 福島市御山
福島市信夫山の羽黒神社の境内に奉納された大わらじも目立っていたのではないでしょうか。実に長さ12メートル、重さ2トンにも及ぶ日本最大のわらじで、市内の農家から調達される2000束もの藁で作られました。展示品は4分の1サイズの模型で、実際に奉納された光景も写真パネルで紹介されていましたが、もはや塔のように巨大でした。
左下:「花嫁づっと」 会津坂下町坂本平井
この他にも藁に関する道具としては、かつて結婚式の後に祝儀の料理を入れて土産にしていた「花嫁づっと」や、割れやすい皿を保管していたという「皿いじこ」なども興味深いのではないでしょうか。
「猫の巣」 南会津町
南会津町の古民家に残され、家人が飼い猫のために作ったという「猫の巣」もかわいらしく思えました。
現代の生活において昔に比べると藁を使うシーンは減っていますが、それでも藁と作り手が生みだした文化の重みを感させるものがありました。藁を通して人々の暮らし、あるいは祈りのあり方を見るような展覧会といえるかもしれません。
なお同館が誇る「東日本のわら人形コレクション」が新収蔵資料を交えて一度に公開されたのは、1988年の企画展「境の神・風の神」以来、実に30年以上ぶりのことになります。
常設展においても藁を用いた資料がいくつも展示されていました。こちらもあわせて見ておきたいところです。
今朝の河北新報様に取り上げていただきました!わら人形大集合、4mの「ショウキサマ」も 福島県立博物館で企画展 | 河北新報オンラインニュース https://t.co/R7JLByDf77
— 福島県立博物館【公式】 (@fukushimamuseum) November 6, 2021
撮影が可能でした。12月19日まで開催されています。
「ふくしま 藁の文化~わらって、すげぇんだがら~」 福島県立博物館(@fukushimamuseum)
会期:2021年10月9日(土)~12月19日(日)
休館:月曜日。
時間:9:30~17:00
*入場は閉館30分前まで。
料金:一般・大学生800(640)円、高校生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:福島県会津若松市城東町1-25
交通:JR線会津若松駅よりまちなか周遊バス「ハイカラさん」にて約20分。三の丸口下車すぐ。
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