都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
『博物館に初もうで 2023』 東京国立博物館
東京国立博物館
『博物館に初もうで 2023』
2023/1/2~1/29
お正月に際し、吉祥主題や干支に因んだ作品などを公開する『博物館に初もうで』も、今年で20年目を数えるに至りました。
まず平成館の企画展示室では特集「兎にも角にもうさぎ年」が開かれていて、兎に角うさぎ、月のうさぎ、波に乗るうさぎをはじめとする5つのテーマより、うさぎをモチーフとした日本や東アジアの造形作品が紹介されていました。
『染付水葵に兎図大皿』 伊万里 江戸時代・19世紀
『染付水葵に兎図大皿』は、幕末に焼かれた伊万里焼の大皿で、会話をしているようなかわいらしい2羽のうさぎがレリーフ状に表されていました。前面のうさぎと水葵や流水による賑やかな背景とのコントラストも魅力かもしれません。
『染付兎形皿』 御深井 江戸時代・19世紀
『染付兎形皿』とは、名古屋城内に築窯された御深井焼の一種とされる皿で、胴体を桃のような形にとり、正面を向いたうさぎを象っていました。くり抜かれた両目の眼差しもユニークで、ちょうどうさぎが伏せて丸まっているようなすがたに見えました。
『金茶糸素懸威波頭形兜』 江戸時代・17世紀
波とうさぎを意匠にした『金茶糸素懸威波頭形兜』も目立っていたかもしれません。うさぎは素早く、多産であることから戦国武将にも好まれていて、こうした大胆な造形を見せる兜が作られました。
『仏涅槃図』 鎌倉時代・14世紀
「うさぎはどこだ」として紹介された鎌倉時代の『仏涅槃図』も興味深いのではないでしょうか。釈迦が亡くなった時の様子を描いた作品には、身を横たえる釈迦とともに菩薩や羅漢、それに多くの動物たちが描かれていて、馬の近くにはうさぎのすがたも見ることができました。
尾形光琳『竹梅図屏風』 江戸時代・18世紀
こうした特集「兎にも角にもうさぎ年」の他にも、本館の各展示室では日本や東洋の吉祥模様の作品が展示されていて、松竹梅より竹と梅を表した尾形光琳の『竹梅図屏風』や白梅と布袋を描いた酒井抱一の『扇面雑画』に魅せられました。
酒井抱一『扇面雑画 白梅』 江戸時代・18〜19世紀
また通常、新春に国宝室にてお披露目される長谷川等伯の『松林図屏風』は、江戸の屏風などを展示する本館7室にて公開されていました。
長谷川等伯『松林図屏風』 安土桃山時代・16世紀 展示風景
昨年に開催された『国宝 東京国立博物館のすべて』でも人気を集めた東博屈指の名品だけに、これを目当てに『博物館に初もうで』を訪ねる方も多いのかもしれません。
伊藤若冲『玄圃瑤華』 江戸時代・明和5(1768)年
一方の国宝室では伊藤若冲の『玄圃瑤華』全48図のうち「蕪・鳳仙花」や「紫陽花・冬葵」など数点が公開されていて、若冲ならではの大胆な構図や植物や虫の生き生きとした様態を見ることができました。
伊藤若冲『玄圃瑤華』 江戸時代・明和5(1768)年
仙人の居どころである玄圃、そして玉のように美しい花の瑤華を意味する同作は、草花や野菜、昆虫などを組み合わせて描いた拓版画で、若冲53歳の時に制作されました。とりわけ穴の開いた葉をはじめ、渦を巻くような植物の茎やつたなどに若冲の遊び心と画才が感じられるかもしれません。
『振袖 紺平絹地御簾檜扇模様』 江戸〜明治時代・19世紀
出展作品により展示期間が異なる場合があります。詳しくは博物館の公式サイトをご覧ください。*『松林図屏風』は15日まで公開。
今年もコロナ禍前に行われていた獅子舞や和太鼓の演舞は取りやめとなりました。来年こそはより華やかなお正月を迎えられればと願ってなりません。
1月2日よりはじまった特別企画『大安寺の仏像』が想像以上に見応えがありました。改めて別のエントリにてご紹介したいと思います。
1月29日まで開催されています。
『博物館に初もうで 2023』 東京国立博物館(@TNM_PR)
会期:2023年1月2日(月・休)~1月29日(日)
休館:月曜日。ただし1月3日(月)、1月10日(月・祝)は開館。1月4日(火) 、1月11日(火)。
時間:9:30~17:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000円、大学生500円、高校生以下無料。
*総合文化展観覧料
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR線上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分。
『博物館に初もうで 2023』
2023/1/2~1/29
お正月に際し、吉祥主題や干支に因んだ作品などを公開する『博物館に初もうで』も、今年で20年目を数えるに至りました。
まず平成館の企画展示室では特集「兎にも角にもうさぎ年」が開かれていて、兎に角うさぎ、月のうさぎ、波に乗るうさぎをはじめとする5つのテーマより、うさぎをモチーフとした日本や東アジアの造形作品が紹介されていました。
『染付水葵に兎図大皿』 伊万里 江戸時代・19世紀
『染付水葵に兎図大皿』は、幕末に焼かれた伊万里焼の大皿で、会話をしているようなかわいらしい2羽のうさぎがレリーフ状に表されていました。前面のうさぎと水葵や流水による賑やかな背景とのコントラストも魅力かもしれません。
『染付兎形皿』 御深井 江戸時代・19世紀
『染付兎形皿』とは、名古屋城内に築窯された御深井焼の一種とされる皿で、胴体を桃のような形にとり、正面を向いたうさぎを象っていました。くり抜かれた両目の眼差しもユニークで、ちょうどうさぎが伏せて丸まっているようなすがたに見えました。
『金茶糸素懸威波頭形兜』 江戸時代・17世紀
波とうさぎを意匠にした『金茶糸素懸威波頭形兜』も目立っていたかもしれません。うさぎは素早く、多産であることから戦国武将にも好まれていて、こうした大胆な造形を見せる兜が作られました。
『仏涅槃図』 鎌倉時代・14世紀
「うさぎはどこだ」として紹介された鎌倉時代の『仏涅槃図』も興味深いのではないでしょうか。釈迦が亡くなった時の様子を描いた作品には、身を横たえる釈迦とともに菩薩や羅漢、それに多くの動物たちが描かれていて、馬の近くにはうさぎのすがたも見ることができました。
尾形光琳『竹梅図屏風』 江戸時代・18世紀
こうした特集「兎にも角にもうさぎ年」の他にも、本館の各展示室では日本や東洋の吉祥模様の作品が展示されていて、松竹梅より竹と梅を表した尾形光琳の『竹梅図屏風』や白梅と布袋を描いた酒井抱一の『扇面雑画』に魅せられました。
酒井抱一『扇面雑画 白梅』 江戸時代・18〜19世紀
また通常、新春に国宝室にてお披露目される長谷川等伯の『松林図屏風』は、江戸の屏風などを展示する本館7室にて公開されていました。
長谷川等伯『松林図屏風』 安土桃山時代・16世紀 展示風景
昨年に開催された『国宝 東京国立博物館のすべて』でも人気を集めた東博屈指の名品だけに、これを目当てに『博物館に初もうで』を訪ねる方も多いのかもしれません。
伊藤若冲『玄圃瑤華』 江戸時代・明和5(1768)年
一方の国宝室では伊藤若冲の『玄圃瑤華』全48図のうち「蕪・鳳仙花」や「紫陽花・冬葵」など数点が公開されていて、若冲ならではの大胆な構図や植物や虫の生き生きとした様態を見ることができました。
伊藤若冲『玄圃瑤華』 江戸時代・明和5(1768)年
仙人の居どころである玄圃、そして玉のように美しい花の瑤華を意味する同作は、草花や野菜、昆虫などを組み合わせて描いた拓版画で、若冲53歳の時に制作されました。とりわけ穴の開いた葉をはじめ、渦を巻くような植物の茎やつたなどに若冲の遊び心と画才が感じられるかもしれません。
『振袖 紺平絹地御簾檜扇模様』 江戸〜明治時代・19世紀
出展作品により展示期間が異なる場合があります。詳しくは博物館の公式サイトをご覧ください。*『松林図屏風』は15日まで公開。
特集「#博物館に初もうで 兎にも角にもうさぎ年」では、今年の干支「#うさぎ」にちなみ、「兎に角うさぎ」、「月のうさぎ」、「波に乗るうさぎ」など5つの切り口から、東アジアの造形作品に表されたうさぎの魅力に迫ります。*平成館 企画展示室にて1月29日(日)までhttps://t.co/d6XPnZeOUl pic.twitter.com/jYgjN7prsc
— 東京国立博物館(トーハク) 広報室 (@TNM_PR) January 4, 2023
今年もコロナ禍前に行われていた獅子舞や和太鼓の演舞は取りやめとなりました。来年こそはより華やかなお正月を迎えられればと願ってなりません。
1月2日よりはじまった特別企画『大安寺の仏像』が想像以上に見応えがありました。改めて別のエントリにてご紹介したいと思います。
1月29日まで開催されています。
『博物館に初もうで 2023』 東京国立博物館(@TNM_PR)
会期:2023年1月2日(月・休)~1月29日(日)
休館:月曜日。ただし1月3日(月)、1月10日(月・祝)は開館。1月4日(火) 、1月11日(火)。
時間:9:30~17:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000円、大学生500円、高校生以下無料。
*総合文化展観覧料
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR線上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分。
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