都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
渋谷区立松濤美術館にて『津田青楓 図案と、時代と、』が開かれています
日本画、洋画、工芸や書など幅広いジャンルで作品を残した津田青楓は、明治時代に京都で多くの図案集を出版するなど、図案家としても活動しました。
その青楓と同時代の図案家の作品をたどるのが『津田青楓 図案と、時代と、』で、展示の内容についてPenオンラインに寄稿しました。
designの和訳として生まれた“図案”とは? 眼福の『津田青楓 図案と、時代と、』展|Pen Online
まずはじめに紹介されるのが青楓の手がけたさまざまな図案で、本田雲錦堂や山田芸艸堂から刊行された図案集や漱石や鈴木三重吉といった本の装飾図案などが並んでいました。
16歳にして最初の図案集を出版した青楓は、約10年の間に13タイトル、計40冊の図案集と図案雑誌を刊行していて、既存の伝統的なモチーフだけでなく、「うづら衣」といった自らのアイデアのもとに図案を生み出した作品も作られました。
ここで興味深いのは、青楓の図案が同時代において必ずしもすべてが高く評価されていたわけではないことで、例えば「うづら衣」ではユニークなモチーフが職人らが使いにくかったとされ、売れ行きは芳しくありませんでした。
こうした青楓の図案に続くのが、青楓の師の谷口香嶠や当時人気を博していた神坂雪佳、それに画家で図案の教育にも努めた浅井忠らの図案で、古谷紅麟や下村玉廣、それに荻野一水といった今ではあまりよく知られていない図案家にも魅惑的な作品が少なくありませんでした。
明治時代にヨーロッパの美術やデザインが日本にて知られると、元々職人の仕事とされていた図案制作へ多くの画家らも携わるようになり、さまざまな図案が生み出されるようになりました。青楓も明治40年にパリへと留学すると歴史画家のジャン=ポール・ローランスに学び、帰国後に洋画を描きながら新たな表現を志向しました。いわば図案に芸術化が図られた変革期とも呼べる時代でした。
青楓の展示といえば、2020年に練馬区立美術館にて「背く画家 津田青楓」と題した回顧展が開かれ、青楓の制作の全体像が示されましたが、今回はキャリア初期の図案のみに焦点を絞った内容でした。
図案家としての青楓と同時代の図案の潮流を、海外からの影響や図案教育の観点などを盛り込んで丹念に紹介した好企画といえるのではないでしょうか。見応えに不足はありませんでした。
展示替えの情報です。会期中、前後期にて一部作品が入れ替わります。
前期:6月18日(土)~7月18日(月・祝)
後期:7月20日(水)~8月14日(日)
土、日曜、祝日、および8月9日以降の最終週は日時指定予約制だ導入されました。専用WEBサイトよりあらかじめ来館日時を指定する必要があります。
8月14日まで開催されています。おすすめします。
『津田青楓 図案と、時代と、』 渋谷区立松濤美術館(@shoto_museum)
会期:2022年6月18日(土)~8月14日(日)
休館:月曜日。但し7月18日は開館。7月19日、8月12日。
時間:10:00~18:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般800(640)円、大学生640(510)円、高校生・65歳以上400(320)円、小中学生100(80)円。
*( )内は渋谷区民の入館料。
*渋谷区民は毎週金曜日が無料。
*土・日曜、祝日は小中学生が無料。
場所:渋谷区松濤2-14-14
交通:京王井の頭線神泉駅から徒歩5分。JR線・東急東横線・東京メトロ銀座線、半蔵門線渋谷駅より徒歩15分。
その青楓と同時代の図案家の作品をたどるのが『津田青楓 図案と、時代と、』で、展示の内容についてPenオンラインに寄稿しました。
designの和訳として生まれた“図案”とは? 眼福の『津田青楓 図案と、時代と、』展|Pen Online
まずはじめに紹介されるのが青楓の手がけたさまざまな図案で、本田雲錦堂や山田芸艸堂から刊行された図案集や漱石や鈴木三重吉といった本の装飾図案などが並んでいました。
16歳にして最初の図案集を出版した青楓は、約10年の間に13タイトル、計40冊の図案集と図案雑誌を刊行していて、既存の伝統的なモチーフだけでなく、「うづら衣」といった自らのアイデアのもとに図案を生み出した作品も作られました。
ここで興味深いのは、青楓の図案が同時代において必ずしもすべてが高く評価されていたわけではないことで、例えば「うづら衣」ではユニークなモチーフが職人らが使いにくかったとされ、売れ行きは芳しくありませんでした。
こうした青楓の図案に続くのが、青楓の師の谷口香嶠や当時人気を博していた神坂雪佳、それに画家で図案の教育にも努めた浅井忠らの図案で、古谷紅麟や下村玉廣、それに荻野一水といった今ではあまりよく知られていない図案家にも魅惑的な作品が少なくありませんでした。
明治時代にヨーロッパの美術やデザインが日本にて知られると、元々職人の仕事とされていた図案制作へ多くの画家らも携わるようになり、さまざまな図案が生み出されるようになりました。青楓も明治40年にパリへと留学すると歴史画家のジャン=ポール・ローランスに学び、帰国後に洋画を描きながら新たな表現を志向しました。いわば図案に芸術化が図られた変革期とも呼べる時代でした。
青楓の展示といえば、2020年に練馬区立美術館にて「背く画家 津田青楓」と題した回顧展が開かれ、青楓の制作の全体像が示されましたが、今回はキャリア初期の図案のみに焦点を絞った内容でした。
図案家としての青楓と同時代の図案の潮流を、海外からの影響や図案教育の観点などを盛り込んで丹念に紹介した好企画といえるのではないでしょうか。見応えに不足はありませんでした。
【開催中!】designの和訳として生まれた“図案”とは? 眼福の『津田青楓 図案と、時代と、』展https://t.co/IhIBBKMYQj pic.twitter.com/eZM2ZktkNd
— Pen Magazine (@Pen_magazine) July 1, 2022
展示替えの情報です。会期中、前後期にて一部作品が入れ替わります。
前期:6月18日(土)~7月18日(月・祝)
後期:7月20日(水)~8月14日(日)
土、日曜、祝日、および8月9日以降の最終週は日時指定予約制だ導入されました。専用WEBサイトよりあらかじめ来館日時を指定する必要があります。
8月14日まで開催されています。おすすめします。
『津田青楓 図案と、時代と、』 渋谷区立松濤美術館(@shoto_museum)
会期:2022年6月18日(土)~8月14日(日)
休館:月曜日。但し7月18日は開館。7月19日、8月12日。
時間:10:00~18:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般800(640)円、大学生640(510)円、高校生・65歳以上400(320)円、小中学生100(80)円。
*( )内は渋谷区民の入館料。
*渋谷区民は毎週金曜日が無料。
*土・日曜、祝日は小中学生が無料。
場所:渋谷区松濤2-14-14
交通:京王井の頭線神泉駅から徒歩5分。JR線・東急東横線・東京メトロ銀座線、半蔵門線渋谷駅より徒歩15分。
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