『菅木志雄「有でもなく無でもなく」』 スパイラル

スパイラル
『菅木志雄「有でもなく無でもなく」』
2022/6/29〜7/11



スパイラルにて開催中の『菅木志雄「有でもなく無でもなく」』を見てきました。

もの派のメンバーとして知られるアーティスト、菅木志雄(1944年〜)は、木や石、金属やロープなどを用い、さまざまな場所を取り込んだ作品を作り続け、毎年個展を開くなど精力的に活動してきました。



その菅の新作を中心に構成されたのが『有でもなく無でもなく』とした個展で、会場には木を素材とした立体作品などが展示されていました。



さて「同じことはやらない」と語り、常に異なる関心を持って制作に取り組んできたという菅でしたが、私が今回とりわけ興味深く思えたのは、螺旋のスロープのある空間に置かれた『積層空間』なる作品でした。



ちょうど空間の中央にただ1つ、透明のケースにて包まれた箱のようなかたちのオブジェが置かれていて、上の方は白く、また下の方は茶色を帯びているなど異なった色が重なっていました。まさに地層のようにも思えましたが、遠目では一体、中に何が入れられ、どのように作られているのか見当すらつきませんでした。



これは1968年、菅が実に24歳の時に初めて制作した作品で、おがくず、綿、灰、プラスチック、土などによって出来ていました。そして当時、菅は作品を展覧会に出展せず、当時居住していたという川崎市内にて野展、すなわち屋外展示として発表していて、昨年の岩手県立美術館での個展にて再制作されたものでした。つまり53年ぶりに展覧会にて公開された作品というわけでした。

それこそ地層ならぬ大地の一部分を切り取り、中へと詰め込めたようなイメージも浮かび上がっていて、木や石などを用いる作品とはまた異なった雰囲気をたたえていました。

なお菅は現在、小山登美夫ギャラリーでも同名のタイトルによる個展を開催中です。(7月9日まで)

菅木志雄「有でもなく無でもなく」@小山登美夫ギャラリー六本木 6月11日(土)〜7月9日(土)



こちらでは茶色い紙を重ねて四方をちぎり、木を組み合わせた新作『集分化』などを公開していました。表参道と六本木での2つの展示を見ていくのも良いかもしれません。


入場は無料です。7月11日まで開催されています。

『菅木志雄「有でもなく無でもなく」』 スパイラル@SPIRAL_jp
会期:2022年6月29日(水)〜7月11日(月)
休館:会期中無休
時間:11:00~20:00
料金:無料
住所:港区南青山5-6-23
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅B1出口すぐ。
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