2011.4.25(月)曇、雨
鬼伝説というサブタイトルで続けてきたが、大唐内のは大蜘蛛伝説であって鬼じゃないなということになる。思えば玖珂耳の御笠も麻呂子親王が討ったのも鬼ではない。正真正銘の鬼は酒呑童子ぐらいである。十四世紀頃の絵巻に「土蜘蛛草子」というのがある。源頼光と渡辺綱が土蜘蛛を討っているのである。この絵の土蜘蛛、コオロギのようなのだが確かに足が八本あって蜘蛛である。ところがまわりにいる、小さな土蜘蛛は足が六本でまるで蟻である。何か深い意味があるのだろうか。それはともかく、頼光と綱なら鬼退治だろうと思うのだが、ここでは土蜘蛛退治である。このように鬼も土蜘蛛も対象としては同じもので、いわゆる「まつろわぬもの」である。ただ、古い伝説は土蜘蛛で新しいものは鬼ということも言えよう。土蜘蛛は記紀にも登場している。
さてこの鬼伝説シリーズも中間まとめをしておきたい。もちろんまだまだ調べたいことはあるので、将来的にも「鬼伝説」はつづくのだが次の課題「イモリ岳」に進みたいので一応の中締めとしたい。
大唐内の大蜘蛛退治伝説の意味するものはなにか?
あまりにローカルな伝説であるためだろうか、そのことに対する論はいまのところ見たことがない。この伝説の背後にある事件とは一体何だろうと考えた人は幾多あろうかと思うが、公に発表した人は居ないのではないか。
近隣の青葉山における玖珂耳之御笠に関する伝説、大江山の麻呂子親王伝説、そしてメジャーともいえる酒呑童子伝説について述べてきたが、そのいずれについても、決定的な歴史的事件や歴史的背景は述べられていない。伝説や説話というものはそういう性格のものなのだろう。
玖珂耳之御笠、麻呂子親王伝説は古墳時代から飛鳥時代のヤマト政権の地方制定伝説ととれるが、いずれも金属鉱山地帯である大江山が舞台となっており、採鉱権をめぐる争いとして良いのではないか。
庄から草壁をのぞむ。
大唐内の地が金属採鉱の地である可能性は数々の状況証拠を示してきたが、大蜘蛛討伐の出陣の地が草壁(日下部)であるということは、ヤマト政権の息のかかった部民が大唐内の採鉱権を奪ったという風に考えてはどうだろう。つづく
(大唐内のこと(48)は2011.4.19)
【作業日誌 4/25】
道具収納棚つくり
薪割り
今日のじょん:ボールが取れないでイライラするとき、木の枝などがあったらそれを囓っている。これは何を意味するんだろう。枝を退けようとしているのか、それとも苛ついているのか、おもしろい現象である。