晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

獣害対策 12/9

2011-12-09 | 日記・エッセイ・コラム

2011.12.9(金)曇、雪、雨、晴れ

 朝の外気温2℃、今季最低の気温で朝の内霰が降っていたが、やがて霙になり、今日が初雪と言っていいのでしょう。やっと普通の冬がやってきたという感じです。
 念道の防獣ネットも精力的に張り巡らされ、念道橋に至る道など恒久的なネットになろうとしています。ネットが張り巡らされるにつれて直接的な獣害は減少しているのかも知れませんが、あの赤さびのネットが実は自分自身の心の周りに張られていくように思うのはわたしだけでしょうか。
 先日獣害に対して対処療法ばかりで根本治療がなされていないという記事を書きましたが、それでは根本治療というのはどのようなものなのでしょうか。
 山と里の間に緩衝地帯を設ける、というのがあります。これは山、ブッシュから獣が里に出て来にくいという意味で大きな効果があるようです。しかしこれだけをやっていても効果は続かないと思います。つまりこれだけでは対処療法と変わらないのです。P1000504
P1000507_3 恒久的なネット工事と右岸の果てしないネット。


 では根本治療とは何でしょう。山と里を50年前の状態に戻すことです。
 50年前の状態を思いだしてください、里に猪が現れましたか、鹿や猿を見たことがありますか?。山中には彼らは居たのです、わたしたちの父母は山で猪を目撃しています。わたしも猟師さんに撃たれて担がれて山を降りてきた猪を見ました。それでも里で、田んぼや畑では決して彼らを見かけることはありませんでした。
 ところがわたしの年齢を50年前に戻せないと同様、里や山の環境を50年前に戻すことは不可能です。
 しかし面を張っている膨大な金の一部を循環型農業、循環型林業への回帰のために使用すれば、少なくともネットよりは効果があるのではないかと素人考えながら思うのです。
 12月2日の讀賣新聞の立命館大講座「日本文化の奔流」に東北芸術工科大教授の田口洋美氏が眼から鱗の講義をされていました。
 獣害などに対してわたしたちは「もともと獣達のいた山野に人間が侵入し、彼らのすみかを奪って開発を推し進めた。獣害は追いつめられた彼らが食料を求めて里に出てくるのだ」という風に理解しています。マスコミも動物愛護団体などもおおかたこういった風の考え方なのではないでしょうか。
 ところが田口氏の言われるところは狩猟と農耕のバランスが重要で、例えばクマが里に出てくるのは人間とクマとの圧力の問題であると言われています。これだけでは一体何のことか解らないと思いますので明日続いて御紹介したいと思います。つづく

【作業日誌 12/9】
机上収納棚改良、ブックエンド代わりの小物置き棚やキーフックを付ける。P1000530 P1000531

こういうものが無いと横から本が落ちるのです。




 今日のじょん:じょんのびフォトブック「じょんとも」ができあがり、是非見に来てちょうだい。なお、登場犬のプリントも用意してあるワン。P1000533

表紙はじょん君のジャンプ。

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雨読 たたら 12/8

2011-12-09 | 雨読

2011.12.8(木)曇、雨

 歴史を観る上で、鉄は不思議な物質です。稲(農耕)とともに歴史の主役であるはずなのに、影が薄いのです。鉄が日本の歴史に登場するのは稲と相前後していますが、稲もそうであるように鉄ももっと以前から存在していたという説もあります。
 古代において国家の成立に鉄が大きく寄与したと同様に現代に於いてもやはり産業の基礎は鉄が担っていると言ってもいいのではないでしょうか。日本に稲が無かったとしてもそれなりの穀物がその代用をしただろうと思いますが、鉄の代用はあり得ないのではないでしょうか。そんな鉄なのにわたしたち一般的には大変疎い存在なのです。
 日本一周自転車旅行で東北釜石周辺の磁鉄鉱、中国山地のたたら製鉄など初めて知りました。そして学習するにつれて、全国各地に製鉄遺跡があり、わたしの地元にさえ鋳物師が存在したことが解りました。
Img_4667
たまたま見つけた隠地たたら跡(島根県横田町)


 それなのに鉄、製鉄についてわたしたちが疎いのは、近世までの製鉄は山中で一部の熟練した集団が行っていたし、明治以降になると大企業による独占的な製造が行われていたからだと思います。つまり稲作などのように誰でもが行い、身近に見聞きできる産業ではなかったからでしょう。
 鉄のことが知りたくて多くの書物を集めました。その中のひとつです。P1000525

鉄に関する本、まだ読んでないのが5冊。


 「たたらー日本古来の製鉄技術」黒岩俊郎著 玉川大学出版部 1976年第一刷
定価950円 購入価1,000円

 黒岩氏は東大工学部冶金学科を1950年に卒業された技術系の博士です。本書は技術史の立場からたたら製鉄について書かれているのですが、大変解りやすく書いてあります。たたらの歴史については工学的な面と歴史的な書物、多くの資料を駆使して書かれています。
 最も興味深いのは三章で各地域のたたらと題して、東北から南九州まで旅行記風にまとめられており、地域のたたらが具体的に理解できます。この中にも鉱石や鉄滓の化学分析などが盛んに登場し、科学者らしい説得力があります。
 高師小僧(たかしこぞう)と同様の沼鉄鉱である鳴石(なるいし)なども登場し、古代の製鉄にも想像を馳せるものがあります。
 本書を通して氏の資源や環境に関する主張が見られ、単にたたらの技術的な解説書ではないことが頼もしく感じられます。
 この本だけでわたしの持つ疑問がすべて解けるわけではありませんが、鉄やたたらについてもっともっと知りたいという欲求を呼び起こす一冊でした。

【作業日誌 12/8】
山林用道具収納箱作り、経費ゼロ。

今日のじょん:いくみちゃんが帰ってしまってこころなしかしょぼんとしている。写真を見ていたらこんなの出てきた。こういう甘え方はわたしたちには決してしないのであるよ。P1000514

 ごろにゃーん

 

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