50年余来の友人M君、の奥さま(Sさん)への、お見舞いから
コンコン、
「・・・ハイ~・・・」
「こんにちは~」
「・・・」
「ほら、旧姓が、Kさんよ~」
「・・・・・・~・・・あぁ~」
「わかった」
「・・・あぁ~、Kさんね・・・」
この夏に 脳梗塞で倒れたSさん,、お見舞いに行った日の会話だ。
救急車で入院、手術をうけて、現在2軒目へ転院。
リハビリを重ねてと回復への道が開いた。
ようやく普通の会話が交わせるようになり、
ご家族も、一安心されたと聞いて、遅いお見舞いとなっての今日のことである。
「今、なにがしたい?」
「・・・なんにもない,退屈で、これから、どうなるのやら~」
「手は動く? あ、できるね。 鉛筆握れる? あら、出来るやん!!」
「ええ、どうにかね」
やっと笑顔がでた。
2人部屋、髪は白くなり伸びて、初めは人違いかと思うほどだったが・・・話しているうちに、以前の表情がもどってきて、ほっとした。
「ちょっと待っててね、すぐにまた来るからね」といって病室を、
近くの大型スーパーへ
B5のスケッチブック(表紙は厚めのを探した)1冊
4Bの鉛筆2本(ユニ)と、大きな消しゴム、それにクレパス12色を揃えた。
店員さんに、鉛筆はきれいに削ってもらい助かった。
少しだけ病気の話。
「病気は自分で治すのよ」
昨年、我に言われたようなことを、Sさんにゆっくりと伝えた。
「うん、~なんだか気が楽になったような・・・いい気持よ~
」
Sさんの表情に変化がみられたのが、私にも分かった一瞬であった。
「なんでもいいから、描いてみてね」と、スケッチブック一式を手わたして、病院を後にした。
翌日の朝、M君から電話があった。
「昨日はありがとう、スケッチブックに妻のSが、描いていたよ
『本日は、楽しかった』ってね、俺もうれしかったよ・・・」声だ。
たどたどしい文字が、とても力強く感じたと、ほっとしたような明るいM君の声。
あ~、行ってよかった、私も。
あまり丈夫ではないM君が 「俺、もう酒やめるよ・・・」とも言った。
なんだか、私たち夫婦と同じようだなぁ・・・
「凍結していた小学校の同級会、計画練ってみるから、又やろうね」
だって・・・
さてさて、またひとつ、幹事の一員としての忙しいことが始まったね、でもうれしい。
私も、昨年の春浅き頃に入院、秋には退院できた。
Sさんも、あと少しの辛抱かなぁと思いながら、帰り道を急いだ・・・ M君とSさん、がんばらなくてもいいのよ・・・