『日本そばにこだわる』15杯目。今回も天ぷらそばについて。前回は立食い蕎麦のおか田さんについて書いたが、天ぷら蕎麦乗る元祖とでも言うべき店にお邪魔した。蕎麦の老舗には『やぶ(薮)』『さらしな(更科)』『砂場』などがあるが、このうち砂場の中でも老舗の『室町砂場』にお邪魔した。
室町砂場本店はその名前の通り日本橋室町にある。創業が明治2年だからもう150年の歴史があり、天ぷらそばと天もりの発祥の店である。
前回立食い蕎麦と普通の蕎麦屋の違いを述べたが、発祥の店であるこの店には『種込天ぷらそば』(2800円)と『天ぷらそば』(1600円)の2種類があり、種込にはさいまき海老の天ぷらとかき揚げ、普通の天ぷらそばにはかき揚げが乗ってくるのである。
注文して待つこと7分、出された美味いお茶を飲んで待っていると天ぷらそばが振りネギに山葵が添えられて出てくる。
狐色に揚げられたかき揚げには小海老と小柱のみが入っていてごま油の香りが素晴らしい。この店の蕎麦は2種類あるが、使われているのは挽きぐるみ。細く、上品な喉越しを楽しめる。ただ、難点はそばの量がいかんせん少ない。
ツユはキリッと辛め、七味も入れるので結構刺激的。そのため、ちゃんとかけそばであっても蕎麦湯が付いてくる。もう5〜6年はきていなかったが、何も変わらない。
親父に連れて来られた50年前からも何も変わっていない。飲食業は進化が必要などというが、フロアの真ん中に炭が赤く燃えている大きな火鉢がある風景、今も季節毎にオリジナルマッチを作ることなどに変化はいらないような気がする。
とはいえ、元祖の天ぷら蕎麦はかき揚げなのである。ご馳走さまでした。
室町砂場本店
中央区日本橋室町4ー1ー13
0332414038