いつも誕生日には特別なブログを書くことにしている。昨年は『1958年10月の時刻表』、2年前は『周りで63歳で亡くなった人のエピソード』等々。今年のテーマは『現代の還暦は60歳ではなく、65歳にすべきではないか』ということである。
私は日本の年齢による区切り方は間違っていると常々思っている。成人の日は20歳で迎えるが、これだけ大学に行く人が増えると大学2年生が3年生で迎える人が殆ど。でも、ここからはお前は成人と言われても中々ピンと来ない。実際に成人式に行っても、全く自覚は湧かず、堂々と酒やタバコ、選挙権がついて来たくらいのものであった。
確かに犯罪を犯すと、三面記事に顔が出ることもなく、大っぴらに酒が飲め、タバコが吸えることは大したことでもない。やはり本当の成人は就職して社会に出たタイミング。勤めるといやが応にもすぐに会社という看板を背負って責任が問われるようになる。土日を除く毎日朝から晩まで働くことの大変さ、給料のもらえる有り難み、ようやくここにきて私は成人したことの自覚した。
還暦も同じこと。以前は定年が60歳という企業が多かったが、今は年金受給年齢が伸びることにより大多数の人は65歳まで働く。このため、65歳の誕生日がターニングポイントとなるのである。
まずは介護保険、それまでは給与の際に天引きされるのだが、年金受給額が年間18万円に満たない場合は納付書で支払うことに変わる。これも区役所から保険証が送られて来た。しかし、この保険証、実際にはいつ使うのか、はっきりしないものが取り敢えず保管しろとやってくるのである。
また、失業手当が高齢者求職給付金に変わり、これは年金を受給していても受け取れる。
さらに老齢年金、これは受取手続きをしないと貰えないのだが、老齢基礎年金の受給資格が得られる。しかし、色々と書いてある書面を見てもかなり難しく、相談に行かないと不安なことだらけである。
65歳を超えるとサラリーマンでは退職をする人が増える。これは役員定年や延長勤務の期限を65歳に設定している企業が多いからなのである。因みに65歳以上の就職率は2019年で19.6%、うち正規雇用は114万人、非正規雇用は389万人と3倍以上となっている。私の周りでもセカンドキャリアの会社の役員定年規定に従い、リタイアする人がかなりいる。ただ、これを自分の話として置き換えた時に、今までのルーティンがほぼなくなった後、何をするべきなのかを考える時間があまりにないというのが現実なのである。
私は銀行に長く勤め、55歳で役職定年なるものを迎えた(今はかなり変わっている)。ここで新しい職を紹介してもらい、全くの異業種である広告代理店に10年以上勤務している。しかし、若い世代のように転職を自ら積極的に考えたためしもなく、ここに来て放り出されようとしているのである。
選択肢は2つ、新たな分野の仕事にチャレンジするのか、リタイヤして好きなことや家庭のことに注力する、この判断が求められていることにようやく気づき始めたのである。