三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

映画「search/#サーチ2」

2023年04月26日 | 映画・舞台・コンサート
 映画「search/#サーチ2」を観た。
映画『search/#サーチ2』 オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

映画『search/#サーチ2』 オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

『search/サーチ』シリーズ、待望の第2弾! デジタルプラットフォームを通じて展開する一級のサスペンス・スリラー

映画『search/#サーチ2』 オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

 阿佐田哲也の麻雀小説の中で、ベテラン雀士がバイニンについて教える台詞がある。「不器用だな、下手だなと思わせる打ち手に注意しろ。そいつはバイニンだ」という台詞だ。牌の扱いが下手に見せたり、間違って捨てたとぼやいてみせたりすることで、注目を外すのが目的である。牌を覚束ない手付きで積んでいる様子を見て、誰も積み込みをしているとは思わない。しかし親になって配牌を揃えた瞬間、素っ頓狂な声を上げて「捨てる牌がないぞ」と騒ぎ出す。天和だ。
 コンマン(詐欺師)についても、同じことが言える気がする。柔和で優しそうで控えめで腰が低い人。話し方が流暢ではなく、訥々と語る人。誰もが信用できそうな人だと思い込む。詐欺師は警戒させないように、そんなふうな態度を取る。

 本作品は5年前の同タイトルの作品とは一線を画していて、SNSで他人にどう思われたいかという点には重点が置かれていない。監督も脚本も違うから、当然と言えば当然だ。5年前の作品の主人公は暴力的で反省のない父親だったが、本作品は割とニュートラルな考え方をする18歳の娘である。プロットもよく出来ていて、誰を信用していいのかが二転三転する展開に、主人公ともども翻弄される。驚きがたくさんある楽しい作品だ。
 もちろん同タイトルだから、ネットサーチのシーンがとても多い。画面のそこかしこを注視する必要があるから、字幕を追いきれなくなる人もいるかもしれない。キーワードは直感だ。
 ネットサーチでもっとも重要な点は、直感である。調べながら、何かおかしいとか、何かあるぞと感じるのが重要で、検索が上手な人は直感に優れた人である。本作品のジューンの直感は大したもので、ネットから得られる画像、動画、言葉を見ながら、直感によって真相に近づいていく。盛り上がる展開だ。

 コロンビアと言えば、メデジン・カルテルをはじめとする麻薬の密売組織が真っ先に思い浮かぶ。Googleで「コロンビア」のあとにスペースを入力すると「危険」と出てくる。あまり行きたい国ではないが、それなりに観光スポットはあるのだろう。
 本作品に登場するコロンビア警察を見ると、拳銃ではなくて突撃銃を持っている。ほとんど軍隊だ。それだけ危険な地域であることは間違いない。ジューンの母親はどうしてこんな国に旅行に行ったのか。その理由は、真相とともに明らかになっていく。よく出来たエンタテインメント映画だ。