三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

映画「マッド・ハイジ」

2023年07月28日 | 映画・舞台・コンサート
 映画「マッド・ハイジ」を観た。
映画『マッド・ハイジ』公式サイト

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 出だしから笑える。パラマウント映画のパロディになっているのだ。星の代わりにチーズ。円盤状のゴーダチーズ風のホールチーズが二十数個、山の周囲に弧を描き、Paramount の代わりに Swissploitation の文字が出る。Swiss と Expoitation を掛け合わせた造語だろう。Sexploitation や Nunsploitation、Nazisploitation など、このジャンルは意外に奥が深い。

 日本のアニメ「アルプスの少女ハイジ」では、アルペンホルンとヨーデルのイントロから「くちぶえはなぜ とおくまできこえるの」の歌いだしで有名な「おしえて」が主題歌になっている。本作品でも大人のハイジとペーターが山道を移動するシーンがあるから、てっきり「おしえて」が流れるのかと期待したが、残念ながら聞けなかった。家庭教師のトライのCMでハイジのパロディが使われるくらいだから、本作品にオープニング曲を提供してもよかった気がする。金銭面での折り合いがつかなかったのだろうか。

 アルペンホルンのシーンはあるが、ヨーデルは聞けない。ヨーデルの代わりに残虐なシモネタシーンがある。軍隊の腕章が赤地に白十字のスイスの国旗の模様になっているのは、どこかナチの軍隊と似せているように思える。どこまでも人を食った映画である。
 登場人物の精神状態が振り切っていて、暴力に対していささかの躊躇いもないところがいい。能書きはいらない、殺すのみだ。殺し方のバリエーションにも凝っていて、観ているこちらの鬱憤晴らしにもなる。
 ジャッキー・チェンのカンフー映画や、コロッセオが舞台のグラディエーター映画のパロディみたいなシーンがあって、面白おかしく鑑賞できる。次作?らしい「ハイジとクララ」が万が一公開に漕ぎつけるようなら、是非観てみたいものだ。