映画「シェアの法則」を観た。
当方が鑑賞したのは公開10日目だが、上映後に舞台挨拶があった。本作品は単館上映なので、毎回舞台挨拶をしているようだ。登壇した岩瀬顕子が、シェアハウスの住人である加奈子を演じていたのはわかったが、この人が脚本も書いたということに少し驚いた。多彩な人である。
世界観は単純だ。パターナリズムの夫と、多様な価値観を受け入れる妻を対比させて、シェアハウスの人々が織りなす人間模様の中で、頑なな夫の価値観が徐々に変わっていくというものだ。とは言え、夫の変化は僅かである。その辺はとてもいい。人はそう簡単に変わるものではない。
主演の小野武彦にとっては、パターナリズムの昭和の男は、やり慣れて堂に入った役柄だと思う。観ていて既視感があった。同じく宮崎美子も、いつもの優しい役である。この人のこういう役も、何度か観た気がした。
そういう面で、安心感のある作品だ。ドラマにするためには危機が訪れなければならないから、プチ危機を設定して、一波乱を演出する。そして収まるべきところに収まる。あまり心を揺さぶられるところはないが、ホッとする物語である。こういうほのぼのした作品も、たまにはいい。古い頭の持ち主は、気づかされる部分もあるだろう。家父長主義が蔓延する日本の政治家も、本作品を観て少しは変わってほしいものだ。