映画「花嫁はどこへ?」を観た。
前日に観たインド映画「ハヌ・マン」はあまり面白くなかったが、同じインド映画でも、こちらはとても面白かった。
インドでは未だにカーストなる身分制度が幅を利かせていて、そのせいで女性の地位が低い状況にある。嫁入りの際に持参金を夫側に渡さなければならないし、男性有利、年長者優遇の家父長制度が生きている。身分の低い女性に、自由はない。だからなのか、インド映画には、女性が無理解な夫や理不尽な境遇から脱出するパターンの作品が多いように思う。
本作品は、たまたま見合い相手を気に入ったカップルの夫が、急いで電車を乗り換えるときに相手を取り違えてしまったことをきっかけに、女性の自由、自立といった問題が湧き上がる。法律では身分制度に基づく差別は禁じられているが、身分制度そのものはまだ生きているようだ。
人口が世界一になったインドも、ピークを過ぎて人口減少に転じている。人口減少は経済も文化も縮小に転じる。つまり下り坂だ。下り坂を下るのが大変なことは、日本が先に体験しているが、インドは人口の規模が違うし、パラダイムも決定的に異なる。インドでは家父長制が生きたまま下り坂になるわけで、高齢者が溢れかえって、困窮する未来が目に見えている。
すると、これまでの価値観では共同体を維持できず、新しい価値観が求められることになるだろう。そのとき活躍するのは、女性に違いないと思う。本作品みたいな映画がたくさん製作されて、多くの女性が勇気づけられれば、インドに未来はある。