三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

映画「シン・デレラ」

2024年10月27日 | 映画・舞台・コンサート
 映画「シン・デレラ」を観た。
映画『シン・デレラ』公式サイト

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 シンデレラの物語にはたくさんのバリエーションがある。昨年日本公開されたノルウェー映画の「シンデレラ 3つの願い」はほのぼのしたストーリーであったのに対して、本作品はグリム童話の意図に近い、人間のおどろおどろしい本性をホラーにしている。

 ただ、覚醒後のシンデレラの恐ろしさが、ちょっと弱い。ゴア描写は何度も出てくるが、スプラッターと呼ぶほどの生々しさはない。テンポも悪いし、殺し方も凡庸だ。スティーブン・キング原作の映画「キャリー」のような面白さはない。

 復讐相手が若い義姉たちであれば、まず手脚を切り、切り口を焼いて血を止めれば、死なない上に自殺もできない。そうした上で、顔の表面を切り刻んだり鉄で殴ったりして、見るも恐ろしいほど醜く変形させてから、本人に自分の姿が見えるように鏡の前に放り出すなどして、自尊心を粉々にするやり方もあったはずだ。義母に対しては、簡単に殺すのではなく長時間苦しみ続けるような、三角木馬のような拷問道具を使ってもよかった。王子の場合は男根を切り落とすとか。
 要は、グリム童話のように、シンデレラの欲深さと残忍さをこれでもかと見せつけて貰えば、いろいろな意味で溜飲が下がったのではないかと思うし、製作者の意図もそのあたりにあったと思う。役者陣は何度も絶叫するなど体当たりで頑張っていたが、いかんせん低予算でVFXを使えなかったのだろう、製作者の意図が上手く実現できていなかった。結局、ホラー作品としても、リベンジストーリーとしても、中途半端で終わってしまった感じだ。