大阪維新の会の政党名を「維新党」か「維新の会」にするか調整中というが、明治維新で賊軍の汚名を着せられた多くの東北人にとっては、抵抗のある党名ではなかろうか。とくに会津人にとっては、戊辰戦争から何年と言うのが普通で、明治維新から何年とは、口が裂けても言わない。怨念があるかどうかよりも、ためらいが先に立ってしまうだ。そんなことはおかまいなしに、橋下徹大阪市長が「維新」にこだわるのは、西の方の人間だからだろう。もう一つ私が気になってならないのは、昭和維新に決起した者たちを、橋下市長らがどう考えているかだ。三島由紀夫が指摘しているように、彼らの思想は天皇崇拝、農本主義、反資本主義であった。つまり、その根本にあったのは反近代なのである。しかし、大阪維新の会のブレーンの顔ぶれは、新自由主義の旗を担いでいる竹中平蔵、古賀茂明らではないか。日本の国の歴史や伝統を重んじるのではなく、グローバリズムの崇拝者なのだから、「維新」とは似ても似つかない連中なのである。かつて日本人がどんな思いで「維新」という言葉を用いたか、私たちはそれを無視すべきではないだろう。薩長の藩閥政府を正当化するためであったし、天皇を中心とした国を目指すための合言葉でもあったのだ。今の大阪維新の会は武力革命とは無縁だし、バタ臭い集団でもあるわけだから、「日本進歩党」の方がふさわしいのである。
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