明治、大正、昭和と京都画壇で活躍した日本画家の都路華香(つじかこう)が臨済禅師を描いた画(写真は複製)である。見てのとおり、大きな口を開けて吠えている姿。「喝」という表題がついている。「喝」というのは、禅師が禅の神髄を端的に示した言葉といわれている。
先日、京都散策で雲龍院のあとに、訪れた建仁寺の書院に掛けられていたお軸に画である。
その横に、臨済禅師の「喝」と題した解説パネルがあった。
それによると、喝は物事の意味を示さないが、四つの働きがある、と記されていた。
その四つとは、
・煩悩・妄想の迷いを断ち切る喝
・目覚めよ。と、ふるいたたす喝
・かかってこい。と、本気にさせる喝
・平常心是れ喝。と、大きな喝
これを読むと、一番目の煩悩・妄想は宗教的な観点から捉えた「喝」に思えるが、他の三つは社会性に富んだ「人間向上への足掛かり」の喝のように思える。教育、スポーツ、仕事などの場面で「己との闘い」に欠かせない働きをもつ言葉である。それを平易で直接的な言葉で表現されている。非常にわかりやすい「喝」だと思い、改めてお軸を見返した。
大きな口だな~、この口から「喝」という吹き出しが透けて見えてきた。
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