宝蔵寺の寺宝展で、若冲の弟子と思われる意冲が描いた2作品が飾られていた。初公開の「菊慈童図」と「山寺図」。この山寺図は水墨画のような雰囲気である。
山水画独特の、下から上へと続く山、その後ろに高い山が見え、さらにその向こうにも山のシルエットが薄っすらと墨の濃淡で表現され、いわゆる遠近法で描かれている。
私の興味は、意冲の画もさることながら賛として添えられている漢詩。解読は無理だけど、文字を辿るとなんとなく想像できる。山の情景と、奥深い山にある寺のことが書かれてあるのだろう。
説明ボードには、賛は皆川湛園(みながわきえん)とあった。皆川湛園は江戸中期の儒学者で、
絵画は円山応挙に学び卓越し技能を有し高い評価を受けている画人でもある。
その漢詩を和訳にしたものがボードにあったので、それを書き写した。
靄は山々の小道に深く垂れ込め
風は他の谷の梢を鳴らして吹き渡る
雲のかかった峰に残照がとどまるなか
幾層もの仏塔だけが
ひときわ高くそびえている
このような掛軸は、煎茶席でゆるりとした気分で語り合いながら眺めるのがいいような気がする。
リポート&写真/ 渡邉雄二 撮影は同寺院了承(寺宝展) 場所/ 宝蔵寺(京都)
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