わたしのすきな木
この木に触れるだけで
小さかった子どもたちの姿やはしゃぐ声、そして元気だった頃の母の楽しげな笑顔が全部甦ってくる。
春の桜の舞う頃も
赤いモミジを拾う頃も
麦わら帽子の虫捕りの頃も
この木のそばにシートを敷いて母が握ってきてくれたおにぎりを食べたっけ。
子どもたちはこの木に登ったりぶら下がったり思い思いに遊んでた。
木もれ陽の下、赤ん坊だった末娘を膝に乗せてわたしも枝に腰掛けさせてもらったものだ。
ここへ立ち寄るたびに
わたしはひとりこの木の幹に触れて話しかける。
たいせつな想い出をたくさん預かってくれているこの木。
ありがとう。
ずっとずっと元気でいてください。