先日古本市で見つけた、小林秀雄著「ゴッホの手紙」を読み進めるうちに
巨匠ゴッホを人間としてとても身近に感じ始めた。彼の不器用さ、情熱、そして深い苦悩…。
まだ全部読み終えてはいないのだけれど、思い立って六年生の次男を連れて観にいってきた。
国立新美術館。没後120年の「ゴッホ展」
休日で混雑しそうなので、ひとの少なくなるお昼時をめがけて入場。
絵はなるべく自分のペースで観たいもの。
息子がヘッドフォンの音声ガイドを聞きたいというので、わたしも音声ガイド初体験!
ナレーションはなんとアナウンサーの安住さん。なるほど~よくわかりやすい。子どもにもあれはいいね。
ゴッホの人生の転機となった絵、「じゃがいもを食べる人々」を感慨深く眺める。
ゴッホが黄色に取りつかれていたのは有名だが、
ふたりとも目を見張ったのは、とことん黄色の「マルメロ、レモン、梨、葡萄」。
これには驚いた。キャンバスだけでなく、なんと周りの木枠の額装まで黄色で塗りたくられている。
そうせずにはいられない気迫と、止まらない絵筆の勢いが伝わるようだ。
もう一枚、今回の展覧会でとてもこころ惹かれたのは「ゴーギャンの椅子」。
ゴッホのささやかなしあわせが詰まっている絵・・・。
彼が芸術家達との共同生活を夢見たアルルの「黄色い家」。
音声ガイドによると、ゴッホは自分用には質素な白木の椅子を、
友人ゴーギャンにはひじ掛けのついた立派な椅子を用意したという。
そんな 楽しい暮らしの期待にも破れ、この後、彼は「耳切り事件」を起こす。
そして「黄色い家」からゴーギャンが去り、状況は一変してゆく。。。
「100年後の人々にも、生きているかの如く見える肖像画を描いてみたい」
と手紙にのこしているゴッホ。 その願いは叶ったよね。
たった37歳で自ら命を絶ってしまったけれど、彼の絵と書簡の言葉は永遠にのこる。。。
どこまでも繊細なゴッホ。彼が生涯で、ただただ欲しかったものは、
安らげる愛のある場所だったんじゃないかな…。
「ゴッホ展」 2010年12月20日まで。