お馴染み、知る人ぞ知るレコード付き絵本:ドレミファブック(1970年代初頭 世界文化社発行)には、いい音楽が盛りだくさん。
そして、こどものココロを刺激するいい絵も、実に盛りだくさんだったのだ~。
当時、「ドレミファブック」の発行にあたり、この企画の担当者さん方がどれだけ心血を注いでいらしたか
そうそうたる顔ぶれの作詞・作曲・挿絵の先生方のお名前の連なりを見れば、ここからでも想像ができる。
子どもたちに、最高にいいものを与えたいという思いを込めて編集されたことが
絵本を開けば、レコードに針を落とせば、ちゃんと伝わってくる。数十年後の今でも。
ドレミファブックで育った大勢の元チルドレンの、端くれのひとりとしてお礼を言いたいくらいです。
たくさんのたいせつなことを、ドレミファブックの中の歌や絵から教えてもらったような気がします。
ココロに残る絵は、挙げて行けばきりがないけれど、
中でもこの絵にはものすごくものすごく引き込まれていたものです。
「ぐるーん・ぽん」という体操の歌のために描かれた、安野光雅氏の数枚の絵。上の絵はその中のひとつ。
自分がかけているレコード盤と同じ絵なのに、なんと 捲ると海があるんだよ!
こんなフシギな世界が繰り広げられて描かれていることが、子ども心にスゴイ衝撃だったのだなあ。
小学校1~2年生の頃、レコードもかけずにこの不思議な絵の数々に眺め入っていたことをよく覚えている。
安野光雅氏の描くフシギな絵とは、それから数年後に引っ越した町で
ともだちと毎週土曜の午後、バスに揺られて通った図書館で再会する。
絵本「ふしぎなえ」と、「ふしぎなサーカス」 これは名作中の名作。
今でもこの絵本を開くと、あの町のちょっと薄暗い図書館の匂いと、
ものすごく沈み込む大きな古いソファーに座ってこの絵本のページをめくる小さな自分を思い出す。
あの頃すごく仲良しだったあの女の子と一緒だったから、あれは四年生の頃だったんだなあ。
なにも先入観を持たない小さな頃に、絵を眺めていろんなことを想うって、ものすごく贅沢な時間。
外でも十分遊んでいたのに、こういうゆとりの時間もたっぷりあったということは、
昔の子ども時間って、現代よりもゆっくり時間が流れていたような気がしちゃう。
DVDやゲームの目まぐるしい映像に慣れっこになっている現代の子どもたちにこそ、
そんなふうにゆったりと流れる時間を、たまには持たせてあげたいものだなあ。