彼はくる日もくる日も、鼻を押され続ける。
毎日じっとそこにいるだけの仕事だけれど、すごい重要任務だよ。
鳥取でピアノの先生をしている従妹のEちゃん。
時々、懐かしい鳥取の風景をケータイに送ってくれる。
鳥取といえば砂丘!
この写真は砂の美術館という、サンド・アート展からの
一枚を送ってくれたもの。
今年のテーマは「アフリカ」ということらしく、
見事な砂のアフリカの動物たち!
素晴らしいなあ!観てみたい。
子どもの頃は、毎年夏休みを母の故郷、鳥取で過ごした。
たくさんの親戚や知人が出入りするオープンな日本家屋で、
Eちゃんとは、夏だけの姉妹のように一緒に成長してきた。
美しい山陰の砂浜。松林。因幡の白兎。そして砂丘。
こうして、夏になるとまたあの頃のように子どもに戻って、
今はなきブルートレインに乗って鳥取に行きたくなるよ。
1966年 チェコ・スロヴァキア作
映画「ひなぎく」
[幻の60年代女の子映画の決定版!]というコピーと
斬新なパッケージに惹かれて、図書館のビデオ・コーナーで
借りてみた。
ストーリーはともかく、(!)
映像がとってもおもしろい。
1966年、わたしが生まれた年。
なのに、全然古臭さを感じさせない斬新さ。
ふたりの主人公のオンナノコがつぎつぎと
勝手気ままな、わけのわからん好き放題なことを
してゆく映画なのだけれど、
お化粧にしても、ファッションにしても、
いまの女の子にも十分そのまま通用しそう。
映像の色がカラーからモノクロームに、
青や黄や緑一色へと、次々変わったり、
スライド写真を見ているように
目まぐるしく画面が移り変わったりもする。
これはもう映画というより
コラージュ・アート!?
ドアと錠前が次々と映し出される場面はすきだな。
この映画は公開当時、チェコ・スロヴァキア当局に睨まれ発禁処分となり、
このヒティロヴァーという監督は、一時期活動を停止させられたという。
ふうん。そうなんだ。
女の子たちに好き勝手な振る舞いをさせることで
自由を主張していたのかな。
冒頭の、戦闘シーンが織り交ぜられているシーンも
なにやら、反戦モード・・・?
当時のチェコ・スロヴァキアの情勢に通じていないと
この映画の根っこを完全に理解するのは現代人には
難しいのかもしれないね。
まあ、難しく構えて観るよりも、
わたしみたいに、たまたま惹かれて手にとって、
単純にアートとして観る方が面白いかも。
それにしても、ここに出てくるワンピース、
わたしも着てみたくなっちゃった。
すごくシンプルで可愛くて、着心地もよさそう。
小学校にケイトウの花が咲いていた。
赤いケイトウを見ると、なぜかいつも思い出しちゃう。
小さいころに読んだイソップ物語、
「あかいけいとうとしろいばら」(確かそんな題名)
赤いケイトウは、
そばに咲く、可憐でいい香りを放つ白いバラに憧れる。
「あなたは美しくていい香りで、すてきですね」とケイトウが言うと
白いばらは「わたしは長く咲いていられるあなたのほうがうらやましいわ」と言う。
美しいバラに羨ましいといわれ、心底驚くケイトウの花。
バラは、美しくとも命は短い。
ケイトウは、皆に愛でられるほど可憐ではなく、
いい香りも持たないけれど、健やかに長く咲いていられる。
そして、すぐにやってくる別れ。
「さようなら」
はらはらと散りゆく白いバラのそばで
涙をながす赤いケイトウ。
そのふたりの(二本の)挿し絵がとてもけなげで愛らしく、
キレイなこころを持つそのふたりのお話が、わたしはとてもすきだった。
小さいころ、この本を何度も読み返したものだ。
この寓話の美しさは、それぞれが羨ましく思うだけでなく
きちんと言葉にして相手を褒めているところ。
そして、褒められたことで自分の良いところを知る。
自分が自分らしくあること。
ひとを羨むことで自分を貶めないこと。
今は言葉に置き換えることができるけれど、
小さいころは、小さいなりに、コトバではなく感覚で
ちゃんと感じ取っているものだ。
けいとうはけいとうらしく。
自分は自分らしく、生きてゆけたらいいな。