時間のしずく time drops 

たいせつなもの。すきなこと。

秋のおとしもの

2023-10-31 | essay

あまりに気持ちの良い秋晴れ。
仕事前にちょっとヨリミチを。

ひと気のない神社。
黙って木を見上げていると
途切れ途切れに
こつーん、こつーんと音がする。
あっちで こつーん
こっちで こつーん

石畳の上にどんぐりが墜ちる音だ。
秋限定の音。
この音を聴くのがわたしはすき。
木は生きてる。
わたしも。
あなたも。



今日は次男坊の誕生日。


旅館建物室礼美術館 河鹿園

2023-10-28 | 古い建物 のこと

今月初旬に再訪した元山里会席料理旅館「河鹿園」さん。

現在は「旅館建物室礼美術館 河鹿園」

こちらはいつの頃か、偶然訪れてからのお気に入りの場所。






建増しを重ねた古い旅館の迷路感が大好物な者には垂涎ものな場所。
ワクワクしながら各部屋を隈なく見て廻り、その建築美と窓からの河の流れにココロ洗われ、それぞれにしつらえてある生け花や掛け軸に見惚れる。
なんと贅沢な時間。
これまで訪れたのは4度程か。いつも平日に訪れるので、ほとんど他のお客様と顔を合わせることもなくのんびり見て廻れる。
現役の旅館だったらこのように各部屋は観れないもの。。
旅館そのものが美術館、というのはかなり特異なのではないかな。

いつもとても丁重にお迎えしてくだる園主樣。。
ご健康をお祈りするとともに、「河鹿園」がいつまでもこのままこうして在り続けられますように…とこころから願います。

「旅館建物室礼美術館 河鹿園」
所在地/東京都青梅市御岳本町335
秋季館蔵展は2023年11月5日まで開催





テレビの向こう

2023-10-26 | essay
テレビの画面に映るリアルな戦争。

ニュースでガザ地区の子どもたちが自分で自分の腕に名前を書き込む映像を観た。
ナレーションが「自分が死んだ時に身元がわかるように」と告げる。

この瞬間も自分の死を意識しながら生きる子どもたち。。。
改めて戦争の現実を突きつけられた。

ニュースを見ながら、今日も安全な家の中でご飯を食べている自分。
テレビの向こうの戦禍の子どもたちに何もしてあげられない無力な自分を情けなく思ってしまうけれど、それはただの同情に過ぎないこともわかっている。

ここでわたしが戦争の理不尽さを、ニンゲンの愚かさを憂いで泣いていても何の足しにもならないのだ。
その代わりに
眼の前の自分の日々を、眼の前の周りの人々を如何にたいせつにして生きるか。
自分にできることはそれしかない。

手の届く範囲の今日のしあわせをちゃんと目を開けて見つけよう。












海をみていた午前

2023-10-23 | MUSICのこと

東京湾の近くのマンションに家族で暮らしていた頃
ベランダに干した布団に覆いかぶさって布団と一緒に陽に当たりながら
遠くの海を滑っていく船を長いこと眺めていた。
多分日曜日のお昼前。
あまりに気持ちがよくて荒井由実の「瞳を閉じて」をエンドレスでひとり口ずさんでいた。。。

その光景が突然甦ってきて何だか切なくなる。

両親がいて、わたしはまだ学生で、時間は永遠にあるように思われて、とても平和な気持ちでのんきに歌っていたムスメ時代のあの日あの時のジブン。

わたしの人生、これまでいろんなことがあったけれど、こんな何でもないけれどしあわせな想い出もこうして何十年分も積もっているんだな。と気付かせてもらった。

記憶はフシギだ。
こんなにとおくまで来てしまったけれど10代のわたしのキモチをここにこうして映し出してくれる。

ところで、何故思い出したのだろう。
と、遡ってみると
「サンデー・モーニング」の関口宏さんの降板を今朝聞いたところに辿り着いた。
ずっと観てきた番組だったので、何だかひとつの時代が終るようで切ない。

最初はどこで観ていたのか記憶を辿っていてあのマンションを思い出したんだ。
家族で観ていたのが最初。
その後、ひとり暮らしの日曜日の朝も結婚してからの日曜日の朝も、あのメロディとともにあった。

番組は無くならないらしいけれど、関口さんなしでは別番組のように思えてしまうことだろう。

遠くの海を滑る船を眺めていたあの頃のわたし。
なんと、正に今の末っ娘とほぼ同年代だ。

改めて、関口さんスゴイ!
長いこと本当にお疲れさまでした。
(3月降板とのことです)

ユーミン聴きたくなっちゃったなぁー

















敬愛するブラック・ジャックさま

2023-10-19 | 展覧会・アート のこと

積年の推し!孤高の医者ブラック・ジャック。

六本木ヒルズTokyo City View「ブラック・ジャック展」へ。

初めて観る原画に感動!!
修正の跡や、吹き出しの切り貼りがとてもリアル。

今は静かにそこに並んでいるたくさんの原画たち。。。
こうして出来上がるまでには手塚治虫氏ご本人を始めたくさんのアシスタントの方々や編集者さんの汗と涙、締め切り前の焦りやら緊迫感やら怒号やらに包まれていたのだろうなぁと思うと
一枚一枚凄味が伝わってくる。

中学生の頃ブラックジャックに夢中になり、お小遣いで一冊一冊買い揃えた単行本全巻は今もわたしの愛読書であり宝物。
(長男も一時期ハマっていた。)
何度も読んでいても、読むたびココロに深く刺さる名言は数知れず。

「ブラック・ジャック」
間黒男(はざまくろお)
彼に憧れた思春期真っ只中の中学生のわたし。
今ではすっかり彼の年齢を追い越してしまったけれど、今も変わらず敬愛している。

彼の人柄は一言では言い表せられない。
そしてブラック・ジャック全話が、哲学であり倫理学であり、深く濃い人間ドラマだ。
何十年経とうとストーリーは全く色褪せることがない。

ぜひ現代の子どもたちにも読んでもらいたいものだなぁ。
ブラックジャックと東京タワー。
急遽誘ってみた旧友Zちゃんとブラック・ジャック展堪能後にヒルズ地下のカフェでランチ&お喋り。
ここのラザニアとパスタとプリン最高に美味しかったなぁ。
食べ物は、美味しそうですぐぱくついちゃうので写真を撮る習慣はないのだけれど、健忘録として撮ればよかった〜

「ブラック・ジャック展」は2023年11月6日まで開催中です





レモンマルメロナシブドウ

2023-10-16 | 本 のこと
原田マハ氏の
「リボルバー」を読んで以来史実に基づくフィクションの面白さにハマってしまった。

「楽園のキャンバス」では、時間の流れを逆走してハラハラしつつ、先が知りたいような読み終えたくないようなフシギな感覚を与えてもらい、「たゆたえども沈まず」では、自分がテオになってしまったかのように感じさせられ、兄フィンセントに対しての愛情と歯痒さに翻弄させられてしまった。

原田マハ氏の本には、瞬時に本の中の世界のその時代に読者を連れ去る魔法が隠れているような気がする。

或いはわたしの読書の癖なのか。

「たゆたえども沈まず」を読み終えた時、ゴッホの強烈な印象の一枚の絵を思い出していた。
その絵は「レモン、マルメロ、梨、葡萄」
エネルギー溢れる黄色い静物画だ。
自ら木枠で額装し、その額までもが黄色で塗りたくられている。
絵に対する情熱を自分でも止められない、とでもいうような圧倒される作品だ。
目にしてから10年以上経つ今でもあのエネルギーは忘れられない。

哀しい最後を迎えたゴッホだが、彼の中にあった確かな生きるチカラを感じることが出来る一枚だからこそ、この本を読み終えた時にわたしの脳裏に浮かび上がってきたのかもしれない。

当時六年生だった次男を連れて観に行った「ゴッホ展」でふたりして目を見張ったことをよく覚えている。
丁度その頃、小林秀雄の「ゴッホの手紙」に出逢い深く感じ入っていたから相乗効果もあったのかもしれない。

いずれにしても目で観た実物の持つチカラってスゴイ。

改めてあの名著を読み返してみようかな。
フィンセント・ファン・ゴッホ「レモン、マルメロ、梨、葡萄」
(2010年11月自分の過去記事の写真より)




コスモス畑と父のキャップ

2023-10-12 | essay

思い立って
コスモスの咲くあの広場へと
自転車を飛ばす。

コスモスは可憐だな。
そよぐ秋風に上手にしなって柔らかく揺れる。
ウィンクしてるみたいなこ。

いろんなことがあるけれど
毎年こうしてキレイな姿をみせてくれてありがとう。

父の遺したキャップを被ってコスモスの野原を歩く。

お洒落好きな父はキャップがすきでお気に入りがいくつもあり、どのキャップにもピンバッジが並んでいる。
半分くらいはかつてわたしがあげたものだ。

一番のお気に入りのデニムのキャップは、父が被って旅立った。

88歳で父が旅立ってから5ヶ月。。。
あちらでもきっとあのデニムキャップを被っていることだろうな。

未だに何だか「死」を実感しないのは、散骨するための父のお骨を少し持ち帰って家に置いているせいなのかもしれない。

酒枡に入れた小さなお骨を包んだ箱の上には、父のトレードマークのレイバンのサングラスを乗せてある。

でも、夜になると鳴っていたLINE電話の着信音が聞こえないことに気付いてしまうと不意に寂しくなる。
亡くなる前日まで毎日やり取りしていたLINEのメッセージが届くことはもうない。

父とは色々あって
連絡を断った時期もある。
たくさんの葛藤の末に許すことを選択したのはいつ頃のことだっただろう。
いつの間にか、父のこころの良き理解者になっていたのは本質のところでわたしが父に似ていたからなのだろう。

父の故郷の山陰の海に
春になったら父を還してあげようと思っている。











しるし

2023-10-10 | essay

雨上がり
みるみる晴れゆく朝
久しぶりに彩雲が浮かぶのをみた。

彩雲は幸運がやってくるしるし。
と、勝手に決めている。

心配はいらない。
ということにしておく!

赤の季節がやってきた。






「暮しの手帖」第一号の表紙原画

2023-10-05 | 展覧会・アート のこと
ここで花森安治さんの原画まで観れるとは!
先日、「土方久功と柚木沙弥郎」展へ出掛けて行った際、同時展示の「雑誌にみるカットの世界」展へも何の前情報もなしに立ち入ってみたら…!
これはこれはこれは!
雑誌「世界」と「暮しの手帖」の貴重なカット原画や表紙絵の原画などがズラリ。
いい感じのレトロな色合いの絵や素朴なのに何とも洗練されたカットの数々にうなります。
お腹がすいてたけどスルーしなくてよかった!

さて、ここ世田谷美術館への道中、散歩道になっている「いらか道」を初めて通ったのですがなんとも文化的ですてきな通り!
地面に百人一首が刻まれているのです。
詠みながら毎日歩いたら、すっかり文化人の仲間入りになれちゃうかも。
すきな一首をパチリ。
「瀬をはやみ 岩にせかるる滝川の われても末に逢わんとぞ思ふ」崇徳院


「雑誌にみるカットの世界」
世田谷美術館にて2023年11月19日まで開催中です








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