おもしろい、というか ありえない光景ってすごくすきだ。
小さい頃から夢想の中で遊ぶようなところがあったせいか
はっきりと光景を覚えているのに
それが現実だったのか、夢でみたのか、
はたまた寝惚けていたのか
確かめようのない記憶がいくつかある。
そんな記憶の中のひとつ。
いつのことか定かではないのだけれど
電車の中で黒い大きなコウモリ傘をさす男の人を見た。
悠々と大きな傘をさして立つひとりの男。
なんともフシギなありえない光景がわたしのこころに焼きついている。
けれども、わたしの脳内でいつしかそれは
車窓の外から遠くガラス越しに見ている構図に変わる。
これは記憶の改ざんか?
それともはじめからわたしの夢の中の出来事だった?
どうにも確かめようがないんだよね。
山高帽のダークスーツの男だったような気がするのは
マグリットの絵をすきになってから記憶が塗り替えられたに違いない。
遠い記憶と夢想の世界の境界線なんて曖昧なものだ。
その曖昧さ、いい加減さがわたしの実体をつくっているのだとしたら・・・
わたしの実体は、この世にあって ないような?
所詮すべてはユメの如し。