「盛りこぼし」と「角うち」なんて書くとほとんどの方が「なんだそれ」と思うでしょうか。
以前にも書いたのですが、井伏鱒二のエッセイの中に昭和初期の東京郊外の生活の中で出てきます。
盛りこぼしがいいと嬉しいとか、高名な文筆家でもそうだったのかとうなずきます。
先日、高校の時の実験仲間と同窓会を催したいつもの居酒屋もそうです。
いまどき、盛りこぼしなんて、若い女の子では「汚い・・・」と言われそうですが、還暦過ぎのお爺さんたちでは、盛りこぼしが多いと嬉しいものです。
角うちもそうです。
私が小学校に上がる前には、父親とよく銭湯に行きました。
その帰りに、酒屋に寄り父親はよく酒屋のカウンターで美味しそうに焼酎を飲んでいました。
この年になるとわかるのですが、風呂上りの一杯は何物にも代えがたい飲み物です。
まあ、小学生なら、冷えたコーヒー牛乳に相当したのでしょうか・・・
銭湯の帰りに、酒屋の角うちでなみなみとした盛りこぼしの焼酎。
昭和の30年代の初期の埼玉の辺地でした。