詰将棋のよいところは頭の中だけで完結すること。詰将棋が多少上達すれば、盤も駒も不要、手を動かさず、頭の中だけで読み切ってしまうことができる。ジグソーパズルにはない魅力である。
脳内で読みに集中していると他のことを忘れることができる。あるいは、少し工夫すれば他のことをしながら問題に当たることも可能だ。脳内だけで進められるということは、傍目には何をしているかわからないということでもある。
私は以前、虚空をみつめながら詰将棋を解いていたことがある。自分の中では充実した時間だった。
「大丈夫ですか?」隣人の声に私ははっとした。その人は私の体調を心配している様子だった。どうも心を病んでいるように映ったらしい。
何も持たず全く動くことなく長時間虚空をみつめている。その姿勢が奇妙な誤解を生む可能性はあるのだ。(詰将棋のよいところ。そして危険なところ)たとえフェイクでも、詰将棋を解く時には本を持っておくというのは、有力な一手である。
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盤の前に胡座をかいている人は一見何もしていないようにみえる。平和なひと時。完全に怠けているようにもみえる。果たしてそうか。みるからに忙しなく動き回っているようで、実際には何もしていないという場合がある。わかりやすい見た目に騙されてはいけない。
一日の対局で棋士は2キロも体重が落ちることがあるという。昼食の寿司やおやつのケーキを主に目にした人には理解し難いことだろう。
人間の脳内でどれだけのことが起きているか。それはただ眺めているだけではみえないことである。
想像してみよう。
表には現れない物語もあるのだと思って、深く読みを入れてみよう。
それがあなたの未来をつくる、新しい次の一手になるだろう。