眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

インタビュアー最接近

2020-07-12 09:49:00 | 夢追い
 確信のないコーヒーに何となく手を伸ばして飲んでしまった。ベンチに眠り込んだ先生の姿はどこか新鮮に思えたし、なかなか声をかけにくかった。後になって自分のためのコーヒーだとわかり安心した。

 本棚が降りてくるのは終わりの合図のようだった。逃げるように、だけど少し得意げに、キーホルダーのついた紐をぶんぶんと回しながら歩いた。出口の前で腰を下ろしコーヒーを飲み干した。風を受け歩き出すと唇が少し濡れている感じがした。

 駐車場ではリモートコントロールされた車が足下を執拗につついてきた。ジャンプしてかわすと車もジャンプしてアタックしてきた。小さな攻撃でも繰り返しあびるとダメージになる。スニーカーも傷みそうだった。すぐ近くにコンビニがあったがそこに避難することは躊躇った。袋の鼠になることが怖かった。僕は走って逃げ出した。街は暗かった。恐ろしい宣言が出たからだ。人魂が飛び交っている。

(くる!)

 リモートコントロールしていた親玉が姿を現す予感が走った。僕は橋を渡り切らずに浮遊した。陸よりも川の方に活路を求めた。水よりもじゅんさんの方を恐れた。人気ない古民家の屋根からじゅんさんがぬーっと浮き上がって現れた。わーっ! 加速が違う。瞬く間に距離を詰められた。顔に強烈な圧がある。じゅんさんは更に巨大化した。ああ……。

(インタビューされる!)

「どうやってるの?」
 それはテレビショーのパワーだろうか。
「お宅こそどうやってるんですか」
 じゅんさんはつっこみながらネタばらしに入った。全部リモートコントロールされていたということだ。
「車がしゃべるわけないでしょ」
「……」
 じゅんさんは車がしゃべったと主張した。
 落ち着くと足に痛みを覚えた。

コメント
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