眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

どこからか吹く風

2020-07-10 20:38:00 | 幻日記
雨脚がゲームを止めたネット裏
昔話でつなぎましょうか



 パン屋さんの旗が風に煽られて揺れていた。だんだん強くなって、食べ終えたパンの下に敷いてあった紙などが飛ばされてしまいそうだった。こちらに被害が及ばないように、テーブル周りを整えた。その風はどこから吹いてくるのだろう。地下からか、地上からか、天井からか、あるいはどこかの搬入口が開いたところから、ここぞとばかりに入ってきたのだろうか。よくわからない風というものがある。

 病院の近くの食堂に入った時のことを不意に思い出した。漫画がたくさん置いてあった。店主は少し年を取っていただろうか。どこか奥の方の扉が開いていて、そこからずっと風が入り込んでいた。夏の少し前でそう暑くはなかった。ずっと遠くから吹いてくるような風だと思った。山の奥から、あるいは遠い過去から、吹いてくるような風。涙腺を刺激する風だった。パタパタとメニューが揺れていたが、倒れることはなかった。
 何を食べたかは思い出せない。
 風のことだけはしっかり覚えているのに。

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折句未来予想図、和歌、短歌、いかがでしょうか

2020-07-10 15:33:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
感情がか細く伸びた未来人
「いいから全部Siriにたずねて」

(折句「鏡石」短歌)


雨上がり
指示待ちさんの
タブレット

(折句「あした」俳句)

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まわる助け船「X」

2020-07-10 09:07:00 | 忘れものがかり
元気な時は踊ることができた
元気がなくなって踊ることを忘れてしまった

「踊ることによって元気が出ます」
と学者は言った

だけど、矢印を逆にするためには
「元気」と「踊る」だけでは足りていない

その時、あの「歌」が流れてきた
踊らずにはいられなくなるような、あの歌が

それは親でも先生でも友達でもない
全く別の力を持った未知のXだった

まわりまわって 音楽をつくる人は
医者と同じように 治しているのだ


あなたのしている仕事/仕草だって

まわりまわって 
誰かを助けているのかもしれない

まわりまわって
誰かを救うのかもしれない

まわりまわって
僕がいま 笑えたように


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袋麺選挙スペシャル・インタビュー

2020-07-10 01:49:00 | 短い話、短い歌
「みなさんは袋麺と聞いて何を思い浮かべますか?」

「サッポロ一番みそラーメン」
「まあ、そうでしょうね。これは誰でも一度は食べたことがあるのではないでしょうか」

「マルちゃん正麺」
「そうですね。これは出ると思ってました。一時期これは革命的とまで言われた商品ですね」

「揖保乃糸」
「なるほど。そうきましたか。素麺もありということですね」

「出前一丁」
「ああ、それもありましたね。これも袋麺の故郷と言っていいでしょう」

「ベビースターラーメン」
「なるほど。言われてみればそれも袋に入ってますね。これは私も勉強になりました」

「サッポロ一番塩らーめん」
「そうですね。これは最初に同じシリーズの物が出ていますので。塩を忘れては困る、ということでしょうか」

「十割そば」
「なるほど。和そばもありましたか。人が変われば意見も変わると、こういうことでしょうか。なるほど。十割とは徹底されてますね」

「こうしてみると、一口に袋麺と言っても、実に様々な系統があるんですね」

「エースコックのワンタン麺」
「なるほど。まだまだ欠かせないところがありましたか。貴重な意見をありがとうございました」

「藤原製麺のえび塩ラーメン」
「ほー、まだありましたか。これは絶品だという意見です。私も試してみようと思います」

「tabeteのだし麺」
「へー、そういうのもあるんですか。どの味がおすすめでしょうか。ああ、そうですか。食べてみろと。まことにごもっともな意見ありがとうございました」

「こうしてみると、袋麺だけで私たちの食卓を占めていくこともできそうですね。ところであなたはいつもラーメンを食べていると思うんですが、人気はこれからも続くと約束されるんでしょうか」

「ラーメンもいいけど、健康にも気を配りたいと思います」
「なるほど。わかりました。そういう答え方をするんですね」
「えーっ……、何がわかったんでしょうか?」
「そうですか。ラーメンはいいということがよくわかりました」




笑むほどにごっつ旨かぁマルタイの
袋ラーメン食べて寝るっちゃ

(折句「エゴマ豚」短歌)


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