
79、「私たちの時代」 今村亮監督 ○ ☆☆☆
2007年3月「能登半島地震」が門前町を直撃しました。大人たちの落胆と絶望の中、石川県立門前高校のソフトボール部のメンバーはひたむきに練習を続けるのでした。指導をするのはソフト部の大先輩の監督とコーチです。「物はまた働いて買うことはできる、命はお金では買えない。」と励まします。
彼女たちには化粧はもちろんのこと日焼け止めすら禁止です。都会では絶滅してしまった真面目な高校生たちがすがすがしいです。そして全身全霊で指導する教師(監督とコーチ)の姿があります。ライバル校との息づまる試合の様子を織り交ぜ感動的な青春ドキュメンタリー作品となりました。この劇的ともいえる試合の展開は作り物では描けないほどの想像を超えた迫力あるものになっています。
高校の卒業式の答辞で「生きる指針が見えない。何を信じたらいいのでしょうか。」とまで言わせてしまうような絶望的な社会にしてしまったわれわれ大人はどう責任をとったらいいのでしょう。3年後の今もまったく変わっていないのです。
3.11以降を生きるすべての人々にあきらめずに未来へ向かう勇気を与えてくれる極上の1本です。
タバコは冒頭、高校生が乗る路線バスの運転手がバスから離れたところに立ってタバコを手に持っていたようにみえますが、煙は見えなかったので無煙とします。
ドキュメンタリーですが特別賞をあげたい秀作です。