無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

先生と迷い猫

2015-10-23 | 2015以前の映画評


「先生と迷い猫」 深川栄洋監督 ☓☓ PPたばこ組合

 気難しい元校長が迷い猫との触れ合いを通して人間的に成長していく物語です。
 「校長センセ」(尾形イッセー)は退職後も偉そうで堅苦しく生きています。妻にもすでに先立たれていて当然孤独です。そんなセンセのところへ迷い猫がやってくるようになりました。猫を可愛がっていた妻を思い出すので猫を追い出しますが、何日かすると姿を見せなくなり今度はそれが気になります。するとその猫はよそでも可愛がられていたらしく「迷い猫」のチラシがはられていました。そこで校長センセは彼女たちとともに猫を探すのでした。
 半ノラの猫は、肯定される存在か否定される存在かはなかなか難しい生き物です。飼えないけれど猫は好きという人も多く、そういう人には精神的な癒しの対象でもあります。ですが困った存在でもあることも否めません。この作品にも施設の子どもが登場しますが彼には誰も関心を向けません。猫をかわいがる暇と経済的余裕があるなら人間の子どもをもっと可愛がることが先なのではないか、と個人的には常に考えている筆者にとってはこの作品のラストにはそういう製作者の思いも感じさせました。
 尾形イッセーは少しアクションがおおげさ、そうでなくても目立つからもっと抑えた演技をしたほうが映画では自然です。
 タバコは、駄菓子屋兼何でも屋の店主ピエール瀧が喫煙(☓)。尾形も辛い時に隠していたタバコを吸いました(☓)。何でも屋の壁に「たばこ組合」の看板がきちんと映っていました。


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沖縄 うりずんの雨

2015-10-22 | 2015以前の映画評


「沖縄 うりずんの雨」 ジャン ユンカーマン監督 ◯

 日本人よりも日本を知っているアメリカ人監督が沖縄の戦後70年をドキュメンタリーにしました。
「うりずん」とは草木が芽吹く3月から5月の頃を指す言葉です。1945年4月1日にアメリカ軍が上陸し、6月23日の「沖縄慰霊の日」まで、この時期は何年たっても沖縄の人々の心が落ち着かなくなる季節なのです。
 監督は、沖縄の人々やアメリカの元軍人たちからたくさんの証言を引き出し、沖縄の近現代史を掘り起こします。また、米軍の映像資料なども紹介され、アメリカ軍が沖縄をどう捉えているのかがよくわかります。沖縄では米兵による犯罪が後を絶ちませんが、軍人教育の中ですでに沖縄人や女性を差別した教育をしていることなどが問題の根深さを浮き彫りにしています。軍隊は善良であるはずの一般人を殺人者に育てる組織であることがわかります。
 沖縄は米軍にとってペリー提督上陸から続くアジア等への出撃基地という認識があり、日本を守るのではなく米国本土を守る防波堤であることも理解できます。このままの植民地状態を続けさせていいのかという問題提起でもあります。
 タバコは、古いフィルムの中で登場していましたが、現代の場面では出なかったので◯です。


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徘徊 ママリン87歳の夏

2015-10-22 | 2015以前の映画評


「徘徊 ママリン87歳の夏」 田中幸夫監督 ☓

 認知症の母親と娘との不謹慎にも爆笑してしまう日常をドキュメンタリーにしました。
 大阪の繁華街近くに認知症の87歳の母と自宅でギャラリーを営む娘が住んでいます。母親は娘のことを「アッコ姉ちゃん」と呼び、親子であることや住んでいるところが自宅だという意識もなく、「なんで刑務所に入ってんやろ」と何度も訪ねたりします。娘の章子さんはそんな母親への接し方も見事で模範的とも言える対応をとっています。一方、ママリンの方は徘徊が始まると故郷の門司へ帰るべくその道を探し歩き続けます。会話が巧みなママリンは道がわからなくなると「交番はどこですか。」と信頼を置く交番を訪ねます。何度もお世話になってはいるものの地域の中でママリンは徘徊しながらも人生を全うするのでしょう。
 母娘ふたりともかなり教養があり会話がちぐはぐではあるものの上方漫才を聞いているようなおかしさがあります。現実的には笑える状態ではないのでしょうが、思わず笑ってしまいます。娘の章子さんは「10年付き合う覚悟をした。」と言っていましたが、昼間からのアルコール摂取と喫煙は大変気になりました。
 タバコは、前述のように章子さんが喫煙者で度々喫煙しています。「認知症の親を見ているから自分は認知症にならないため今から気をつけている。」と言っていましたが、そのためにはまず禁煙ではしょうね。それとも認知症になる前に肺がんで死んでしまおうという、ブラックユーモアなのでしょうか。


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岸辺の旅

2015-10-21 | 2015以前の映画評


「岸辺の旅」 黒沢清監督 日仏 ◯ ☆

 カンヌ映画祭で「ある視点」部門グランプリ受賞作です。 
 3年間失踪していた夫優介(浅野忠信)が突然帰ってきました。探し疲れていた妻瑞希(深津絵里)は喜びますが、夫はすでに死んでいたのです。そしてふたりは優介が死んでから妻の元へたどり着くまでにお世話になった人々を尋ねるたびに出るのでした。自分の死を受け入れられず出て行った妻を待っている老人(小松政夫)、12歳で死んだ妹を叩いてしまったことを後悔し続けている女性、死んだことが受け入れられず妻を苦しめる亡霊の夫など、優介を通して瑞希はそれらの人と出会います。そして、それぞれの苦しみをふたりで溶かしていくのでした。やがて瑞希も優介の死を受け入れ、見送ることになるのでした。
 死んでいるとは言っても姿は全く普通で食べ物も食べるし生きている時と変わらない幽霊なので不気味さはほとんどありません。優介が田舎の集会所で宇宙についての講義をしますが、その話を聞いていると、生きていることと死んであちらの世界へ行ってしまったことと、137億年の時とを重ねるとそれほど変わらないのかと思えます。深津と浅野、そして出演者それぞれの演技がすばらしい作品です。
 タバコは、なし。無煙です。


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マイ・インターン

2015-10-21 | 2015以前の映画評


「マイ・インターン」 ナンシー マイヤーズ監督 米 ◯ 

 退職後妻を亡くし、退屈な日々を送っていた70歳の男性がシニアインターンとして再就職し、豊富な経験を活かして女性社長を公私にわたって支えていく物語です。
 ベン(ロバート デ ニーロ)はアパレルのネットショップで急成長した会社のCSRのひとつとして制度化されたシニアインターン生に応募します。誠実な人柄と豊富な経験が評価され社長のジュールズ(アン ハサウェイ)のアシスタントとして採用されます。ジュールズは仕事と家庭の両立をパワフルにこなしていましたが実はストレスもたくさんありました。ベンは人生の先輩として彼女の問題を少しずつ解消させていくのでした。
 妻が仕事をし、夫は主夫として家庭を守ることの難しさや仕事ができる女性への社会的な偏見などの問題も提起されていてアメリカ社会の勉強になります。ただ、登場人物が仕事は忙しいもののみんな学歴もあり経済的に恵まれている人々ばかりなので「ミドルクラス」の現状だけですが。
 タバコは、なし。会社のお抱えマッサージ師の「椅子に座ってするデスクワークは喫煙の次に体に悪い。」というセリフがありました。また、エンドロールには、「タバコ会社とは関係なし。」

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靴職人と魔法のミシン

2015-10-21 | 2015以前の映画評


「靴職人と魔法のミシン」 トム マッカーシー監督 米 △

 人生を諦めていた靴職人の男が「魔法のミシン」の力で違う自分と出会いますが・・・ 
 ニューヨークの下町で代々続く靴職人のマックス(アダム サンドラー)は毎日退屈な仕事と家では認知症の母親の世話をするだけの面白くもない日々を送っていました。ある時、ミシンが壊れてしまい、先祖伝来の旧式ミシンを使います。すると不思議な事にそのミシンで仕上げた靴をはくと持ち主の姿に変身するのです。はじめは気味悪く思っていたマックスも他人の人生を疑似体験する快感に溺れていくのでした。隣の床屋のジミー(スティーブ ブシェミ)は落ち着きをなくしたマックスを心配します。そして、マフィアとのトラブルに巻き込まれるのでした。
 大人が主役のファンタジーです。こういう奇跡はありえませんが、きっかけとなるのが、「家をノックした貧相な老人を暖かく迎えたら実はその老人は神様だった。」という経緯は古今東西どこにでも伝わるお伽話なのですね。誰にでも優しく接するときっといいことがあるのでしょう。
 出演者が2つの人格をうまく演じ分け俳優の演技力が試される作品でした。
 タバコは、「(タバコの)火あるかしら?」が2回ほど使われていました。この手で近づくのはもう古いですね。


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バクマン。

2015-10-19 | 2015以前の映画評


「バクマン。」 大根仁監督 ☓☓ですが、マイナスイメージ強いので△

 少年ジャンプ連載を目標にした漫画家志望の高校生二人の姿を描きました。
 真城(佐藤健)は高木(神木隆之介)に誘われ漫画家になることを目指し、最初の目標に少年ジャンプに連載することを掲げます。気になっているアズキ(小松菜奈)にもそれを告白し将来も約束するのでした。編集者の服部(山田孝之)にも認められ、仲間とともに天才高校生漫画家のエイジ(染谷将太)とも出会います。それぞれが影響をし合いながら漫画を描くのですが、無理がたたって入院するはめになってしまうのでした。 
 「モテキ」の監督らしいポップな音楽と映像が楽しい作品で、特にペンの音が大変効果的に聞こえました。一方、アンケートの順位至上主義や連載の締め切りに追われる漫画家の世界の苛酷さも描かれています。
 タバコは、真城に影響を与えたおじさん(宮藤官九郎)が子役の前で喫煙しました。(☓)しかし、常に咳き込んでいたかとおもったら39歳で死んでしまいます。真城も同じように倒れますがこちらは再起できました。やはり喫煙者は免疫力が低いのでしょうね。ちなみに吸い殻が山にようになっている灰皿が映った時後ろの席の高校生が「吸い過ぎだよ~。」とつぶやいていました。タバコはマイナスイメージになったようです。その他漫画を読むエキストラの場面やラーメン屋での喫煙、建設現場の車内での喫煙などがあり気になりました。(☓)


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お盆の弟

2015-10-01 | 2015以前の映画評


「お盆の弟」 大崎章監督 ☓

 群馬県出身の俳優を中心に群馬で撮影した群馬県ご当地映画です。
 売れない映画監督タカシ(渋川清彦)は兄のマサル(光石研)が入院したことがきっかけで故郷に戻って看病をしていました。その間に妻(渡辺真起子)は母子での自立した生活にすっかり満足してしまい、夫の荷物を次々と実家に送り返してきていました。タカシはいい映画さえ撮れれば妻の気持ちも戻ってくるだろうと親友のシナリオライター藤村(岡田浩暉)と新作の構想を練るのでした。しかし、藤村は彼女ができ、そちらにゾッコン。ついでにタカシにも彼女を紹介してやるからとおせっかいをし、涼子(河井青葉)と合わせるのでした。青春はとうの昔に過ぎたこの40歳前後のおとなたちの関係はどう発展するのでしょうか。
 地味だけれど実力派の俳優がモノクロームの映像の中で、心優しい大人たちがそれぞれを思いやりながらもちょっとちぐはぐで笑わせてくれます。個人的にはタカシの妻役の渡辺真起子のセリフにはかなり共感を覚えました。「離婚しても子供の父親であることは認めるから」という言葉はなんと愛情のある言葉でしょう。暴力シーンがほとんどなくそういう点でも爽やかでした。
 タバコは、兄のマサルがガン患者でありながら医師から「タバコとお酒と脂っこいものは控えるように」と言われた矢先に喫煙と飲酒をしていました。(☓)満たされない人生にはタバコがつきものなのでしょうか。

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あの日のように抱きしめて

2015-10-01 | 2015以前の映画評


「あの日のように抱きしめて」 クリスティアン ベッツォルト監督 独 ☓☓

 こちらもユダヤ関連映画の一つです。
 1945年、歌手のネリーは顔に大怪我を負いながらも奇跡的に収容所から生還しました。顔の再建手術は成功しましたが以前と少し違う顔になりました。生き別れていた夫のジョニーを探し出しますが、ジョニーはネリーだと気づかず、なんということか「ネリーになりすまし財産を横取りする」計画をたてるのでした。ジョニーの真意がわからないままネリーは言われるまま本人でありながらなりすますという演技を続けるのでした。そして親族と再会させるその日がやってくるのですが・・・。
 別人となったことで夫の本性が見えてしまった妻の苦悩、そしてそこから再生するという物語で原題は「フェニックス(不死鳥)」です。邦題はちょっとメロドラマ風過ぎます。
 タバコは、主役を含め女性たちの喫煙頻度が多い作品でした。(☓)当然のことながら兵隊たちも喫煙しています。(☓)

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ふたつの名前を持つ少年

2015-10-01 | 2015以前の映画評


「ふたつの名前を持つ少年」 ぺぺ ダンカート監督 独仏 ☓☓
 
 8歳の少年がナチの手を逃れ、さまざまな困難を乗り越え終戦までの3年間を生き抜いた実話に基づく作品です。
 ユダヤ人収容所から逃げ出した8歳のスルリックは、飢えと寒さから行き倒れとなり、パルチザンの農婦に助けられます。農婦はスルリックが賢く正直なことに気づき一人でも逃れられるよう、キリスト教徒としての知識を与えます。そのかいがあってスルリックは名前をポーランド風のユレクに変え農家を転々と働きながら生き延びるのでした。時には森のなかで一人で過ごすこともありましたが同じような境遇の仲間たちから学んだことを活かし一日一日を生き延びていくのでした。
 8歳の少年をたくさんのドイツ兵が犬までけしかけながら追い回す姿には狂気すら感じさせますが、戦争とはそういうものなのかもしれません。
 ユダヤ物には世界中に多くの需要があるのか洋画に占める割合も結構高いですが、いつも感じるのは「こんなにひどい目にあっているのになぜ今同じことをパレスチナ人にしているのか。」という単純な疑問です。人間は愚かなのでしょうか。
 タバコは、兵隊たちが喫煙していました。(☓)また、子役を載せた車内での喫煙場面が何回かあり大変気になりました。「タバコ1本で車内はガス室。」という事実を知らないのでしょうか。(☓)


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