無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「サンライズ・サンセット」

2025-01-31 | 2025映画評

「サンライズ・サンセット」 岸善幸監督 ✗

 楡周平原作の小説を実写映画化しました。

 コロナ対策が厳しくなる頃、空き家問題に直面する三陸の町で職員の桃香(井上真央)は空き家になっている別宅を試しにSNSにアップするとリモートワークになったので、と西尾(菅田将暉)が訪れます。東京からコロナを運んでくる、と恐れられていたので「絶対に外を歩かないように」と厳命しますが、釣り好きの西尾はこっそり海辺へ行ってしまいます。近所の一人暮らしの女性(白川和子)から親切にされる一方、「桃香を守る会」の地元メンバーからあれこれ脅されるのでした。

 移住がテーマの作品で、その上コロナの始まりの頃で5年経つと「あんな時代もあったね。」と懐かしい場面もありました。実は311震災の被災者を描く作品でもあり、「コロナ」「空き家」「移住」「被災者」といった重いテーマを脚本の宮藤官九郎が得意の笑いの小ネタを絡ませながら考えさせる作品にしました。

 個人的には桃香の職場のちょっと嫌味な同僚を池脇千鶴が好演していました。

 タバコは、冒頭の漁に出る船の上で桃香の父親役の中村雅俊(1951生)がタバコを持っていました。持っているだけでも命がけですね。声が出なくならないといいですね。他には若者がパチンコ屋に並んでいるときにタバコを持っていました。

 *ちょっとひとこと

「移住」がテーマの作品が続きましたが、今(1月30日)埼玉県では下水管の腐食が原因で大きな事故になり周辺住民が大きな影響を受けています。こういうときにすぐに避難できるような場所を田舎に確保しておくこともこれからは必要なのではないかと思いました。地震や台風だけでなく事故に対しても危機管理能力が問われていますね。

 


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「366日」

2025-01-29 | 2025映画評

「366日」 新城毅彦監督 ◯

 沖縄出身のバンドHYによる同名楽曲をモチーフに“「366日」物語委員会”が制作しました。

 沖縄の高校生湊(赤楚衛二)は卒業間近に母親を亡くし進学も将来の夢も考えられない日々に美海(上白石萌歌)と出会います。音楽という共通の趣味の話をすることで「音楽の道に進む」という力を取り戻し東京の大学へ進学します。その2年後には「死んだ母親のような通訳になる。」という目的で東京へ進学し二人は幸せな日々をおくりますが、突然湊は美海の前から去ってしまうのでした。

 20年経っているにしては制服から私服になった程度の変化しかないのはちょっと工夫が足りないのでは。特に湊役は髪型などもっと変えたほうがよかったのではないでしょうか。主に女子高校生対象のラブロマンス作品ではありますが、部屋代とか入院費とか経済的な話が全く出ないのは現実感がなさすぎです。都会生活はそんなに甘くないですよ。

 沖縄の海は期待以上にきれいでした。ま、それだけでもいいかな。

 平日の午後でしたが、大きめのスクリーンが中高生中心に8割ほどの入りでした。映画ファンに育つといいですね。

 映画館での髪型ですが、頭のてっぺんでお団子にするスタイルはやめてください。前の席の女性がてっぺん団子だったのでスクリーンに常に黒い丸が邪魔をしていました。

 タバコは、なし。無煙です。たまたま筆者は現在那覇市にいて外を歩くとあちこちからタバコの煙が流れてきて喫煙率の高さに閉口していますが、半分沖縄が舞台の作品が無煙でよかったです。

 


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「山逢いのホテルで」

2025-01-26 | 2025映画評

「山逢いのホテルで」 R15+ マキシム ラッパズ監督 スイス、フランス、ベルギー合作 ✗✗✗

 スイスアルプスを望む小さな町で洋裁をしながら障害のある息子を一人で育てているクロディーヌ(ジャンヌ バリバール)は週に一度白いワンピースに化粧とサングラスで山の上のリゾートホテルを訪れます。そこで後腐れのない男を選び一度だけの関係を楽しむのでした。ある時その一人の相手と再会しお互いに恋心が芽生えてしまうのでした。

 見どころは主演のジャンヌ バリバールの演技です。特に表情筋のすべてを緻密に使った表情の変化はセリフも動作もなく内面を表象します。

 アルプスの景色はそれほどでもなくちょっと残念でしたが、女性の生き方について勉強させてもらいました。

 タバコは、時代がダイアナ妃が事故死する頃なのですが、それにしてもタバコが常に漂っているような作品でした。出会いの場面でタバコをきっかけにするなどタバコにまつわる演出が20世紀でした。

 


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「雪の花〜ともに在りて〜」

2025-01-25 | 2025映画評

「雪の花〜ともに在りて〜」 小泉堯史監督 ◯ 松竹

 天然痘撲滅のための種痘の実践に取り組んだ町医者を主人公にした吉村昭原作の小説を映画化しました。

 幕末期、疱瘡の脅威は京の都だけでなく福井の村にまで犠牲者を出していました。医師の笠原良策(松坂桃李)は漢方医学の限界を知りなんとか蘭方医学を学びたいと思っていました。妻(芳根京子)の理解と協力で私財をなげうって京の蘭方医(役所広司)のもとで種痘という予防法を学ぶのですが・・・。

 市井に埋もれた偉人物語です。今では当たり前ですが、種痘が福井藩からどのように全国に浸透していったのか描かれていると医学史の勉強にもなったかもしれません。室内の同じような場面が繰り返される一方、京への往復を歩く姿は必要以上に延々描かれちょっと退屈しました。

 褒めるとすれば赤ちゃんたちが必要なところではちゃんと泣いて会話の場面ではみんな大人しくしていたのが役者魂(?)を感じました。

 うらぶれた通りの演出で風に舞うホコリを使いますが、実際に何かを飛ばしているのでしょうか、健康に悪そうです。CGですよね。

 芳根さん太鼓のお稽古お疲れ様でした。

 タバコは、なし。無煙です。

 


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「勇敢な市民」

2025-01-24 | 2025映画評

「勇敢な市民」 PG12 パク ジンピョ監督 韓国 ✗

 キム ジョンヒョンの人気Web漫画が原作です。

 元女子ボクシングのオリンピック代表候補だったシミン(シン ヘソン)は非常勤教師としてセレブが通う高校に派遣されます。そこは暴力と権力を手にした生徒スガン(イ ジュニョン)が教師ともどもすべてを支配していました。スガンたちは一人の生徒を生贄のように毎日いじめていました。シミンは憤りを感じますが正規職員になるためには「見ざる言わざる聞かざる」を通すよう同僚から言われるのでした。しかし、ある方法を思いつきトレーニングの成果を不良退治に動き始めますが・・・。

 悪役が本当に憎たらしくなるほどうまいです。ただ、一人をヒーローにするのではなくもっと周囲がさり気なく本気にむかっていったほうが物語としては面白かったのではないかと思います。ラストでは拍手しましたけど。

 タバコは、不良たちが校内でも喫煙していました。ちなみにスガンは昔の暴力事件で学校に通えず成人年齢の高校生ですが。

 


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「室町無頼」

2025-01-23 | 2025映画評

「室町無頼」 PG12 入江悠監督 ◯

 垣根涼介原作の時代小説を実写映画化しました。

 1461年、京の都は疫病と飢饉により飢餓に彷徨う人々や行倒れがあふれていましたが、時の権力者たちは何の対策もせず自身の享楽を貪っていました。自由人の蓮田兵衛(大泉洋)は自分の腕と才覚と豊富な人間関係で立ち上がるときを待っていました。たまたま野盗共に殺されかけていた少年(長尾謙杜)を拾い老剣士(柄本明)に預け1年後に才蔵という一の手下に育てます。一方かつての仲間であった骨皮道賢(堤真一)とは敵対し決戦のときを迎えるのでした。

 ぼうぼうと埃が舞う演出は観客までマスクがしたくなるほどリアルでした。ときどきスモークを出しすぎか、と思う場面もありました。実際に自然の中での霧とか霞の出方をもっと体験したほうがいいでしょう。

 お金と人をたくさん使って一体何を伝えたかったのかはあまりよくわかりませんでした。とはいえ、西部劇を思わせる音楽や演出はそれなりに楽しく娯楽映画としては楽しめます。

 聞き取れないセリフがほとんどありませんでした。さすがベテラン監督です。

 個人的には題字が説得力ありました。

 タバコは時代的にもありませんでした。

 


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「型破りな教室」

2025-01-20 | 2025映画評

「型破りな教室」 PG12 クリストファー ザラ監督 メキシコ△ ☆

 犯罪と貧困が隣り合わせのアメリカとの国境近くのメキシコの小学校教師が試みた授業を描きました。

 セルヒア(エウヘニオ デルベス)は出産した教師の代理で学力は国内最低、教育設備も教師のやる気もないマタモロスの学校に赴任しました。彼の教育方法は生徒の意識を変えることで自発的に学ぶ力、学ぶ方法を育むことでした。テストの点数を上げることが教師の役割だと勘違いしている他の教師からは疎まれますが校長(ダニエル ハダット)はセルヒアにうまく乗せられ協力してくれます。生徒たちの表情が変わり軌道に乗りつつあったクラスの中で悲しい出来事が起きるのでした。

 冒頭の軍隊のような「従順で秩序正しい国民になるための」朝礼とは真逆の、教室を海に見立てボートに全員が乗って助かるためにどうしたらいいか?という問い掛けから始まる授業は確かに型破りですが、子どもたちからのさまざまな角度から生じる疑問に対応するのは教師の力量も試されています。

 謎を解く面白さ、仮説を検証する科学、生きることを問う哲学・・・。現実的には犯罪に加担したり、母親代わりのヤングケアラーで学校に通えなかったりする子もいますが、なんとかそれぞれが持つ可能性を育てたいものです。

 直接子どもの教育に携わる人だけでなく社会全体で教育を考える参考にするためにもおすすめの作品です。(☆)

 タバコは、犯罪者たちが吸っていたかもしれませんが、マイナスイメージなので△です。


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「不思議の国のシドニ」

2025-01-19 | 2025映画評

「不思議の国のシドニ」 エリーズ ジェラール監督 フランス、ドイツ、スイス、日本合作 ◯ ☆

 フランス人の小説家が寡黙な日本人編集者と日本各地を訪れ、深い喪失感から立ち直り再生する姿を詩情豊かに描いています。

 作家のシドニ(イザベラ ユペール)は日本の出版社からデビュー作の重版を機に招待されます。夫を亡くし気が進まないものの無事大阪へ着き編集者の溝口(伊原剛志)と出会い各地を回りサイン会などをするのですが、最初のホテルで奇妙なことが起こります。次の旅館では夫が現れるのです。実はシドニは過去に交通事故で自分以外の家族全員と結婚してから夫を亡くしていました。幽霊の夫や溝口と話す中で自分を取り戻していくのでした。

 訪れる関西方面の有名な観光地なのに他に人がほとんどいなくて二人だけの場面が多くどうやって撮影したのだろう、という素朴な疑問は湧きましたが、どこも日本人が見ても素晴らしいところでした。

 電車内でひとりいびきをかいて眠る人がフランス人にはありえない不思議なことだったのでしょう。

 美味しそうなお料理もチラッと映すだけで食べる場面はなく、やたら食べ物ネタが多く、タレントが平気で大口開いて食べる日本のテレビ番組がなんだかみすぼらしく感じました。

 男女の官能的な場面も直接的ではなくたいへん芸術的でした。映画はアートだ。

 詩情豊かと表現しましたが音楽貢献度が高いです。(音楽 ジェラルド マッシーニ)(☆)

 タバコは、なし。無煙です。

 


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「ビーキーパー」

2025-01-16 | 2025映画評

「ビーキーパー」 PG12 デビッド エア監督 米英合作 ✗

 養蜂家(ビーキーパー)として暮らす男が世話になった女性の復讐に乗り出すリベンジアクション(そういうジャンルがあるらしい)映画です。

 仕事を引退し片田舎で養蜂業を営むアダム クレイ(ジェイソン ステイサム)は納屋を貸してくれ世話になっている女性がフィッシング詐欺にあい全財産をなくし自殺してしまいます。実はアダムは世界最強の秘密組織「ビーキーパー」に属していたのです。善良な市民から金を巻き上げている社会の悪を排除するために立ち上がるのでした。

 久しぶりに「ダイ・ハード」を思い出させるドンパチにドッカーン!の連続技の作品を見ました。人類が農業を始めて以来の深いかかわりがある蜂たちですが、健全な蜂を絶やすことなく育てる(ビーキープ)と、社会を健全な構成員で保たせようというテーマが面白いです。

 冒頭の詐欺の手法ですがパソコンがいきなりブラック・アウトして警告音がなり続けるという全く同じ体験をしたので(詐欺被害にはあいませんでしたが)他人事とは思えませんでした。集めた金が結局は政治家にわたっているということは日本でもきっと同じなのでしょう。気をつけましょう。

 音楽が効果的でした。

 平日の午後の時間でしたが珍しくほぼ満席の入りでした。

 タバコは、適役が喫煙しました。誰というとネタバレになるのでヒミツです。

 


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「フード・インク ポストコロナ」

2025-01-15 | 2025映画評

「フード・インク ポストコロナ」 ロバート ケナー、メリッサ ロブレド監督 米 ◯

 2009年制作で大ヒットした食を扱うドキュメンタリー映画「フード・インク」の続編です。コロナパンデミック中に露見されたアメリカのフードシステムの脆弱性をさまざまな人々へのインタビューなどで明らかにしていきます。

 巨大食品企業による市場の独占は貧富の差を拡大しました。15ドルほどの時給で生活も成り立たないような労働者や、南米などからの半奴隷的な移民労働者、彼らからの搾取抜きにはいわゆるファストフードは成り立たちません。その上添加物まみれの超加工品をこれでもかと食べさせられる子どもたちは肥満や糖尿病といった健康リスクを抱えています。

 一方、持続可能な農業を考える農民も登場しファーマーズマーケットなどで企業を通さない生産流通システムも広がっています。政治家や活動家の姿も紹介されます。

 枠の中で身動きもできず、食べて寝るしかできない豚の姿には同情します。大企業のロビイストたちが政治家を都合のいいように動かし政治家は貧しい市民からの血税を大企業のために使い、儲けるのは資本家と大企業の役員という構造そのものが「資本主義」への懐疑を強くしています。

 タバコは、なし。無煙です。

 


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