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無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

白ゆき姫殺人事件

2014-03-31 | 2015以前の映画評


「白ゆき姫殺人事件」 中村義洋監督 △ ☆

 湊かなえ原作のサスペンス小説の映画化です。 
 白ゆき石鹸の美人OL三木典子(菜々緒)が惨殺されて発見されます。テレビ局の契約社員赤星(綾野剛)のもとに白ゆき石鹸に勤める学生時代の友人から「犯人は同僚の城野美姫(井上真央)」との情報がはいります。それをネットに流したことから「白ゆき姫殺人事件」としてネット上で情報が錯綜していきます。その上、赤星が関わるテレビのワイドショーではまるで城野が犯人であるかのような番組を流すのでした。真犯人は城野なのでしょうか。
 ネット社会に踊らされている人々の動きとワイドショーでの事件の取り上げ方の怖さが良く出ていました。こうやって事件は作り上げられていくのでしょうね。
 良く練られた内容です。いくつもの異なる証言を再現するたびにそれぞれ違う表情を見せなければならないのですが、どの俳優たちもそのあたりをたいへんうまく演じ分けていました。
 タバコは、職場の飲み会の帰りにタクシーを待つ場所がJTの喫煙エリアで、そこでタバコを吸おうとライターを点ける音と同時に後ろを向く場面がありました。多分タバコは吸っていないと思われます。別の再現では同じ場面でタバコを手にしているような様子は映りましたが吸ってはいませんでした。タバコの実質的な被害はなかったかな。でも、なぜ喫煙エリアを映さねばならなかったのかわかりません。タクシーを待つならベンチでもよかったのではないでしょうか。
 

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乙女のレシピ

2014-03-30 | 2015以前の映画評


「乙女のレシピ」 三原光尋監督 ○

 「よみがえりのレシピ」JK版とでもいいましょうか。場所は鶴岡市の高校で女子高校生が「炊き込み御飯」コンテストに応募するという、お話です。鶴岡をはじめ山形県のおいしいものが次々紹介されます。また、庄内映画村でのロケシーンもあり、食と映画とがばっちりコラボした作品です。
 ストーリーは「炊き込み御飯」コンテストに参加する料理部の4人が前日になって内容が給食調理員チームとかぶってしまい、あわてて他のメニューを考えるという話しです。山形応援映画としてだけ楽しめばいいのかもしれません。ただ、時間は短いし(56分)、内容も宣伝映画ならせめて「つや姫」2合袋くらいのサービスが欲しかった・・・。
 タバコはなし。無煙です。高校が舞台ですから一般的には無煙が当たり前ですね。


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怒れ!憤れ!ステファン・エセルの遺言

2014-03-28 | 2015以前の映画評


「怒れ!憤れ!ステファン・エセルの遺言」 トニー ガトリフ監督 仏 △ ☆

 2013年2月に亡くなったエセル博士の遺言とも言えるパンフレットを映像化しました。
 反戦や反グローバル企業そして移民政策へのデモがにぎやかに繰り広げられているヨーロッパ各地の映像と、一方でアフリカから着の身着のまま密入国してきた若い女性がどこにいるのかさえ理解しないままヨーロッパを転々と移らされていくようすを交互に描いています。ラスト近くデモの参加者たちと主人公の女性はつながりますが、それは一瞬のことで再びひとりで次の場所へ移動していくのでした。ストーリーらしいものはなく時々エセルのことばが紹介されます。単なるドキュメンタリーでもなくドラマでもないプロパガンダ映画の新形態と言えるでしょう。大変興味深い作品でした。(☆)デモはテロではありません!
 タバコは、デモ参加者の群衆の中にタバコを手にしている人が映りました。

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コーヒーをめぐる冒険

2014-03-20 | 2015以前の映画評


「コーヒーをめぐる冒険」 ヤン オーレ ゲルスター監督 独 ×××

 親には内緒で大学をやめ「考える日々」を過ごしているニコ(トム シリング)は恋人の部屋で朝を迎え、コーヒーを飲み損ねてしまいます。その日は免許を取り上げられるし、親には退学がばれて生活費がもらえなくなるし、憂さ晴らしに親友と出かけると中学時代の同級生と偶然出合い「あなたにいじめられていたの」と告白され、彼女の妙な演劇を見に行くはめになり・・・とその間にコーヒーを飲みたくても、様々な理由で飲めなかったのです。大変な一夜が明けてやっと一杯の暖かいコーヒーを手にすることができたのでした。
 モノクロの懐かしさのある映像に音楽もさりげなく流れ、登場人物はみんな一癖あってクスリと笑える場面もあります。ラストでニコがコーヒーを手にすると観客も一緒にほっとしてニコに「お疲れさま」と声をかけたくなるような作品です。
 タバコは、冒頭にトースターでタバコに火を付ける場面で「ぎょっ」とさせ、(×)いつも人から火を分けてもらっている主人公でした。(×)バーでも平気で喫煙していました。病院でも禁煙マークのある入口付近で患者や職員が喫煙していました。(×)お金がないのになぜかタバコだけはあるという不思議な現象はドイツも日本も同じ構造ですね。
 なお、この作品を観たときは映写のトラブルがあり、途中で中断してしまいました。「コーヒーが普通に飲める幸せ」同様「映画が普通に観られる幸せ」を噛み締めさせられた一日でした。


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まちや紳士録

2014-03-19 | 2015以前の映画評


「まちや紳士録」 伊藤有紀監督 ×× ☆

 町家とは、歴史的町並みにおいて商人、職人などが居住し、生業している建物で表通りに面し軒を連ねている。その中の福岡県八女市福島地区の町家を記録したドキュメンタリーです。
 高度経済成長期に各地の古い町家は解体され新しい建物に変わっていきましたが、八女市の元職員を中心に古い建物を修理し、空き家にはよそから移住者を募集して町家を維持する活動が行われていました。監督自身移住したひとりで、痛んだ建物の「つくろいなおし」のようすや「町家を残そう」と奔走する人々に興味を持ち記録し始めました。修復では従来の工法を踏襲し伝統の維持にも貢献しています。また、解体された古民家の梁を再利用する知恵などは今の使い捨てのプレハブ工法では考えられませんね。なお、移住者の一組に福島原発の放射能からの避難者を紹介したことは評価できます。(☆)
 タバコは、大工さんがくわえタバコで仕事をしていました。(×)燃えやすい木材を扱っているのですから勤務中は禁煙が当たり前だと思います。タバコに関しては最近の建築業界の方が「勤務中禁煙」とか建設現場に張ってあるところも見かけ、意識改革はされているようです。
 また、まちやを残すために一生懸命になっている人も宴席で喫煙し、全然紳士的ではありませんでした。「まちや親父録」だな。(×)

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ホビット 竜に奪われた王国

2014-03-15 | 2015以前の映画評


「ホビット 竜に奪われた王国」 ピーター ジャクソン監督 米 ×

 トールキン原作の「ホビットの冒険」を3部作に映画化したその2作目。
 「指輪物語」からずっと延長されている映画なので、登場人物や怪物もよく知られています。今回のニューフェースは大きな毒蜘蛛や黄金の中で眠る竜で火を吹くプテラノドンといったところでしょうか。毎回大自然の風景と明らかに人工的に創造(想像)されたファンタジーの世界がうまく融合されています。ただ、どうしても戦いの場面が多くなってしまうのは仕方が無いとはいえ、残念です。
首が飛んだりしていましたがPGなどの制限がありません。ファンタジーならいいのかな。
 タバコは冒頭の場面でパイプを吹かしたり、タバコ袋を落としたり、タバコの存在を印象付けていました。このシリーズは毎回タバコが出てきます。私にはそれが一番不思議です。

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ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅

2014-03-13 | 2015以前の映画評


「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」 アレクサンダー ペイン監督 米 △

 「100万ドル当選」というインチキな手紙を信じ込んだ老いた父親とともに息子がアメリカのモンタナ州からネブラスカ州まで4州を旅するお話です。
 ちょっとボケてきた父親は100万ドルを受け取りに歩いて出かけ警察のお世話になります。説得に応じないため息子のデイビットは父親と車で旅に出ます。途中、母親と兄のロスも加わり、両親が育ち住んでいた故郷の町を訪れます。100万ドル当選者の噂は町中に広がり、とんだトラブルに見舞われます。またそこでは若かった両親の秘密を知ったりするのでした。そして想像を超えたラストが観客の心を暖めてくれます。
 タバコは、ワイオミング州のバーで隣の席に喫煙者がいました。(△)その他の州ではバーの外に喫煙者がいました。州によって違うのですね。


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2013年度無煙映画大賞受賞作品評

2014-03-12 | 2013年度無煙映画大賞関連
2013年度無煙映画大賞受賞作品評

<作品賞>
「はじまりのみち」 原恵一監督 
「木下恵介生誕100年記念」映画です。戦争末期に病身の母親(田中裕子)をリヤカーに乗せて疎開させた時のことを描いています。木下(加瀬亮)は公開された「陸軍」が軍情報局から「女々しい」と非難され、「もう監督を辞めよう」と故郷の浜松へ帰りました。しかし、空襲は激しくなり、より山奥へと疎開することにしました。母親をリヤカーに乗せ、兄(ユースケ サンタマリア)と荷物を運ぶ「便利屋」の青年(濱田岳)とで出発します。雨も降り峠越えは難儀しますが、なんとか無事到着することができました。そして母親から「夢をかなえなさい。」と励まされ、もういちど監督として歩み始めるのでした。
 
見どころは「便利屋」とのやりとりです。戦争が終わったら「カレーライスを食べたい」と、食べるしぐさをする濱田の演技は見事です。また、「便利屋」は木下が撮った作品とは知らず、「映画『陸軍』を見て泣いた。」と語る場面も泣かせます。「陸軍」のラストで母親役の田中絹代が出征の行進をする息子を追っていく姿が感動的でした。この場面を映すためにこの映画を作ったとでもいえるのではないでしょうか。
 
木下の作品の名場面がいくつも紹介されますが、「新・喜びも悲しみも幾年月」でやはり母親役の大原麗子が海上保安庁の職員となった息子に「戦争に行く船じゃなくてよかった。」というセリフがラストのセリフとなり木下の思いを伝えました。
 
タバコは本編上では無煙でした。ただ、木下作品を紹介する中の「香華」という作品でキセルをブハーと吹かす場面がありました。

<主演女優賞> 前田敦子
「もらとりあむタマ子」 山下敦弘(のぶひろ)監督 
23歳のタマ子(前田敦子)は大学卒業後甲府の実家に寄生しています。髪はボサボサ、ジャージで一日中漫画を読んでごろごろしています。一緒に暮らす父親(康すおん)はスポーツ店を営みながら三食を用意するだけでなく、家事のすべてをこなしています。タマ子は店も家事も手伝わず、父親から一言言われただけで逆ギレします。しかし、父親に女性の姿がちらつき始めるとタマ子は落ち着かず行動を開始するのですが・・・。
前田が「もらとりあむタマ子」のイメージ通りの絶妙な演技をしています。モデルのオーディションを受けようと企んでいたときは温野菜しか食べなくて、それをあきらめるとまたガツガツ何でも食べるようになったり、はじめはストーブの給油を父親にやらせていたのを言われなくても自分でするようになったり、行動が微妙に変化して行く様子をさりげない行動で表現していて、脚本もよくできていますが、それ以上に前田が自然に動いていました。特にタマ子の洗濯物の干し方は最高です。タマ子に関わる中学生(伊東清矢)も「天然コケッコー」の岡田将生を彷彿させる名演技でした。前田とともにこれからが楽しみです。
タバコはなし。無煙です。昨年「苦役列車」、一昨年「マイ・バック・ページ」と2年連続の「汚れた灰皿賞」の山下監督ですが、「山下君、きみもやればできるタイプ、じゃないか。」とほめてあげたいです。
印象に残った場面は、テレビを見ていたタマ子が「ダメだな!この国は」とつぶやくと、父親はダメなのはおまえもだといった顔をします。その表情がすごくいい。2度目には言葉に出していいますが。

<主演男優賞> 大地康雄
「じんじん」 山田大樹監督 
「ガマの油売り」の大道芸役者の銀三郎(大地康雄)は気楽な一人暮らしをしています。子どもの頃一時期住んでいた北海道の地に幼馴染がいて田植えの季節に手伝いに行きました。絵本で町おこしをしている剣淵町にはちょうど東京から高校生が農業体験で来ていました。そこで銀三郎は6歳の時に別れた娘と出会うのでした。
 
大地康雄がずっとあたためていた作品が地域の手で映画化されました。大地演ずる銀三郎はどう見ても「寅さん」なのですが、考えてみれば今の観客は同時代に渥美清を見ている人は少なくなってきているのでしょうから、第2の寅さんが出てきてもいいころですね。寅さんをまねているようでもありますが、嫌みがなく大地康雄としての心を揺さぶる演技がさえていたのではないでしょうか。
 
北海道の自然の美しさや剣淵町の町おこしを背景に、父と娘の関係、絵本のすばらしさで笑わせたりほろりとさせたりします。後半の顛末も単純な決着にはならず、脚本もよくできていました。また、もう一つの舞台が震災から復興しつつある松島なので製作者の震災に対する思いも伝わってきます。
 
ちなみにタイトルの「じんじん」というのは「感動が脈打つように心身に染み入る様のこと」です。
 
ちょうど札幌にいる時に先行上映で観ることができ、思い出の作品となりました。
 タバコはなし。無煙です。

<監督賞> 吉田康弘 
「旅立ちの島唄 ~十五の春~」
沖縄の離島、南大東島が舞台です。人口1200人余りのこの島には高校がありません。ほとんどの子どもは中学卒業と同時に島を出て那覇で暮らします。主人公の仲里優奈(三吉彩花)は中学3年生になり、少女民謡グループ「ポロジノ娘」のリーダーとして母から譲られた三線を手に卒業の時に唄う「アバヨーイ(さようなら)」の練習に励んでいます。父親(小林薫)はサトウキビ農家、母親(大竹しのぶ)は兄と姉が進学で那覇へ行ったときについていったまま、島にはほとんど戻っていません。家族にはそれぞれの事情があったのです。
 
離島の四季の生活を織り交ぜながら十五歳で人生の決断を迫られる優奈の1年を描いています。都会とは全く違う島の生活が生き生きと描かれています。主役の三吉は民謡も披露し、衣装や髪型が大変よく似合っていました。三吉が魅力的で、今後が期待できます。南大東島に行ってみたくなりました。
 
島がいまTPPで揺れていることにも触れています。「サトウキビは島を守り、島は国を守る」という標語が印象的です。日本列島にはこのような小さな島がたくさんあり、そこにはいくつもの「一五の春」があるのでしょうね。
 
タバコはなし。無煙です。島での宴会や漁師の集まりなどでもタバコを出さずとてもよかったです。

「江ノ島プリズム」 
仲良し3人組の修太(福士蒼汰)、朔(野村周平)、ミチル(本田翼)が高校生になったある日、朔が急死してしまいます。原因が自分にあるのではないかと苦しむ修太は朔の三回忌に「タイムトラベル時計」を手にします。そして2年前にタイムスリップして、なんとか朔が死なないように奔走するのでした。そんな時、学園に取り残されたタイムプリズナーの「今日子」(未来穂香)に出会います。そして彼女からは「過去を変えることは思い出も消えてしまうことになる」と忠告されます。それでも朔を救うことができるのでしょうか。
 
全編に江ノ島付近の景色が流れ、ちょっとレトロな江ノ電が効果的です。タイムトラベラーものでは名作の「時をかける少女」を彷彿させる作品です。若手の俳優が好演していました。狂言回しの役割をする「今日子」がどうして学園にいることになったのか、もうひとこと説明が欲しかったです。
 
タバコはなし。無煙です。ただ、街中を自転車で疾走する場面でタバコの自販機が映りました。なお、江ノ電の禁煙表示などが映りました。
 
吉田監督は、「旅立ちの島唄 十五の春」につづく無煙映画作品です。

<特別賞>
「いのちの林檎」 藤澤勇夫監督 
新築した家に引っ越してシックハウスが原因で化学物質過敏症となり、近所のゴルフ場で撒かれる農薬、歩きタバコの煙、芳香剤などを感じるたびに呼吸が苦しく動くこともできなくなる症状に苦しめられている早苗さんが主人公です。そして、無農薬、無化学肥料で育てた木村秋則さんの林檎と出会い救われる、というドキュメンタリーです。早苗さんの症状は想像をはるかに超えていました。空高く飛ぶ飛行機の低周波音や水にまで反応し苦しむ姿は正直に言うと「今までよく生きてこられた」と逆に感動してしまいます。同じく化学物質過敏症でもある母親の献身的な介護があればこそです。さまざまな化学物質が充満し、一見便利になったような今の世の中が本当の意味で人類を幸せにしたのかを問いかける秀作です。
 
ただ、どうしても気になるのは木村さんの喫煙習慣です。さすがに映画の中では喫煙していませんが、ちらっと映ったポケットの中のタバコの存在が納得できません。
 

「ラブ 沖縄@辺野古・高江・普天間」 藤本幸久、影山あさ子監督 
1995年の少女暴行事件から始まった普天間基地返還と辺野古移転に反対する県民の闘い、そして高江に建設しようとしているオスプレイ用のヘリパッド基地建設反対闘争、それに対する日本政府の対応を描いたドキュメンタリーです。
 
沖縄防衛局の職員、沖縄県警の警察官、そして映画「海猿」では人々の命を体を張って守ろうとしている海上保安庁の職員たちまでもが、なぜか反対をしている市民に牙をむいています。ここには米軍基地のために日本人同士がいがみ合うという不条理があります。
 
沖縄には日本の米軍基地の74%が集中し、沖縄本島の20%が戦後60年も経つというのに、いまだに米軍に占領され続けています。これはどう考えてもおかしなことです。沖縄では、以前から日本政府による差別という言葉が出ていましたが、いまやそれは多くの人たちの共通の言葉となっています。
 
2011年2月、高江での沖縄防衛局と反対派住民との攻防のシーンでは、筆者がちょうど座り込みに参加していたときに激しいぶつかり合いとなり、作業をさせまいと走り回ったことが思い出されます。
 
辺野古での海上でのカヌーややぐらにへばりついての阻止行動、高江での体を張った抵抗行動、そして普天間でのゲート前での闘いはどれも現場を知るものとしては命を懸けたたたかいでもあったのです。
 
ある人の言葉が印象的です。「私がここで阻止しなければ、イラクの子どもたちを殺している行為の加害者となるのです。」
 
タバコはなし。昨年、「誰も知らない基地のこと」という映画で紹介された「高江」の場面ではそこだけ喫煙シーンがあってがっかりしたのですが、今回は同じ人が映っていましたがタバコは映っていませんでした。やんばるの森にタバコの煙は似合いませんからね。
 
最後に、この映画の後半で歌われた「沖縄を返せ」の歌詞を。70年代では、本土復帰を求めてよく歌われていました。<固き土を破りて 民族の怒りに燃える島沖縄よ 我らと我らの祖先が 血と汗をもて守り育てた沖縄よ 我らは叫ぶ沖縄よ 我らのものだ沖縄は 沖縄を返せ 沖縄を返せ> これを1995年頃、石垣市生まれの大工哲弘さんは、<沖縄を返せ 沖縄へ返せ>と歌い、いま普天間では、<普天間を返せ 沖縄へ返せ>と歌っています。

「いのちが いちばん 輝く日 ~あるホスピス病棟の40日~」 溝渕雅幸監督 
滋賀県近江八幡市にあるホスピス「希望館」の、2011年12月から40日間のドキュメンタリーです。ガンの終末期を迎えた人が過ごしています。細井医師は白衣を着ないで「患者と医師」の関係ではなく、「人間と人間」の関係をめざしています。人生最後の日々をいかに人間らしく尊厳を持って過ごすことができるのかを医師として患者に提案します。そして最後の日はできるだけ家族とともに迎えられるよう助言します。そうすることで「いのち」がつながれてゆくのです。
患者とその家族のことを真剣に考えケアしている細井医師と出会えたことがこの映画を成功させたといえます。世の中には「患者様」と呼べば患者を大切にしていると勘違いしている大病院も多い中、終末期医療にかかわる人だけでなく、スタッフも患者も医療に関わる人には是非見てほしい秀作です。
タバコはなし。「敷地内禁煙」の看板が何回か映りました。終末期なのだから「好きなようにさせてやろう」と誤解して肺がん患者にタバコを吸わせるような施設もあるようですが、「希望館」のように「最後まで人間らしくウェルネスライフを」という考えが素晴らしいです。
なお、タバコが主な原因であるCOPDの患者さんもひとり登場していますが本当に辛そうでした。
(注)ウェルネスライフ・・・幸福で充実した人生を送ることを目標とし、そのために自分の生活習慣を見直し気付いたところから改善していこうという健康の概念(本作パンフレットより)

<311特別記憶賞>
「朝日のあたる家」 太田隆文監督 
静岡県湖西市、自然に恵まれた町に平田一家は暮らしていました。父親(並樹史朗)はハウスでイチゴ栽培をする農家、母親(斉藤とも子)は主婦、長女のあかね(平沢いずみ)は地元の大学生、妹の舞(橋本わかな)は中学生でごく普通の家族でした。そこに、震度5の地震が発生しました。そして、60キロ離れた山岡原発が福島と同じような事故を起こしてしまったのです。避難勧告、避難所の生活、はっきりしない政府の態度、などなど福島と全く同じ後手後手の対応に、家族は翻弄されていくのでした。
沖縄に住む叔父役の山本太郎は映画のなかで電力会社が莫大な広告費でメディアをコントロールしていたことなどを話します。「競争する会社もないのに電力会社は800億の広告費を使っている。」と言っていましたが、ちなみにJTの広告費は147億円(広告宣伝費)と1012億円(販売促進費)です(数字は村田陽平著「受動喫煙の環境学」より)。説得力のあるいい場面でした。
真実を伝えるのがドキュメンタリー映画ですが、ドキュメンタリーでは伝えきれない真実をドラマだからこそ伝えることができるという作品です(☆☆)。多くの人に見てほしいのですが、なかなか上映してくれる映画館がないそうで、これもまた哀しい日本の現実ですね。
タバコはなし。無煙です(○)。ただ、空き巣犯が残したと思われる吸い殻が一本荒らされた部屋にありました。監督はタバコのことは意識していなかったと言っていましたが、本当に自然にタバコのない作品が当たり前になることを予感させる作品でした。太郎さん、禁煙しましたか。

「なみのこえ」 酒井耕、濱口竜介監督
 311の記憶を福島県新地町と宮城県気仙沼市に暮らす人々が語る作品です。
 インタビューの形式が大変独創的でそれだけで興味深く213分という長さを感じさせません。「話す」という行為が人を変えていくことがよくわかります。このあたりは編集の巧みさでしょう(☆)。
 タバコはなし。無煙です。



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家路

2014-03-12 | 2015以前の映画評


「家路」 久保田直監督 ×× PPポスター

 原発事故で住めなくなった故郷に、事情があって故郷を捨てていた息子次郎(松山ケンイチ)が帰ってきました。電気も水道もないけれど沢の水とろうそくの灯り、食料は母が遺した漬け物があり、鶏は玉子を生むというある意味では充実した生活を始めました。一方、長男の総一(内野聖陽)は妻と娘そして母親と4人で狭い仮設住宅に住んでいます。総一はこのさきどうなるのか、どうすればいいのか思い悩んでいます。この家族の未来はどうなるのでしょうか。
 ドキュメンタリーを撮っていた監督初のドラマ映画ですが、そのせいかドキュメンタリーを観ているような作品でした。ただ、方言がよく聞き取れず台詞が理解できなかったことが大変残念でした。
 タバコは、総一役の内野が何回か喫煙(×)、妻役の安藤サクラも喫煙しました。(×)コンビニ入口近くに椅子が2脚置いてある喫煙所の場面があり、後ろにはタバコのポスターも映りました。(PP)
 3・11から3年の同じ日に観ましたが、あの地震と津波で助かった命をもっと大切にしてほしいものです。


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2013年度無煙映画大賞は

2014-03-11 | 2013年度無煙映画大賞関連
2013年度無煙映画大賞の発表

 2013年に上映された日本語映画は127本観ることができました。このうち完全な無煙作品は54本、目立たない形でちらっと映ってしまった作品は19本ありました。また、モクモクと言われるものは減少傾向にありますが、それでもまだ18本近くありました。映倫にはタバコシーンのある映画をR指定するように申し入れしてきた成果でしょうか、未成年者の喫煙を理由にPG12に指定する作品もでてきています。
 
表彰は6月1日のタバコフリーデーのイベントで。会場は渋谷区文化総合センター大和田さくらホール。

<作品賞>「はじまりのみち」原恵一監督 
 映画監督木下恵介が戦中に病の母を大八車に乗せ山を越えて安全なところへ疎開させた時の経緯を加瀬亮主演で映画化しました。一昔前の、映画監督といえば「くわえタバコ」というイメージを払拭させる無煙の作品です。母への深い愛が全編にあふれています。便利屋役の濱田岳の好演も光ります。

<主演女優賞>・・・若い女優のこれからに期待して 前田敦子 
 出演映画「もらとりあむタマ子」山下敦弘監督
 前田の演技はいわゆるアイドル路線をかなぐり捨て、口だけは生意気で生活に関することは何もできないパラサイト娘を一挙手一投足まで計算されただらしなさで好演しました。これからもタバコの害を避け健康で映画界で活躍されることを期待いたします。 
      
<主演男優賞>・・・ベテランの活躍に敬意を表して 大地康夫
 出演映画「じんじん」山田大樹監督
 2013年は中高年の俳優の活躍が目立っていたのでその一年を代表し、選びました。「じんじん」の演技は日本の映画界を代表するコメディアン渥美清の後継者として、今後の活躍が期待できます。これからもタバコの害を避け健康で1本でも多くの作品に出演されることを期待します。

<監督賞> 
吉田康弘 監督作品「旅立ちの島唄~十五の春~」「江ノ島プリズム」
 どちらの作品も青春期に入ろうとする男女を主役にし、瑞々しい映像で「かつての青年たち」にも遠い記憶を掘り起こし、気分を若返らせてくれました。「美しい青春にタバコは似合わない」と無煙の作品にしたことを評価し、監督賞を授与いたします。これからもタバコ規制枠組条約を遵守し活躍されることを期待します。 

<特別賞> 社会的に大きな問題となっている分野のドキュメンタリー作品からそれぞれ選びました。
 
「いのちの林檎」藤澤勇夫監督 
貴作品は、化学物質過敏症の人が無農薬のリンゴと出合って救われると言う内容で、映画の中ではタバコは化学物質過敏症の原因物質として登場し、過敏症の原因としてのタバコの有害性を訴えました。ここに無煙映画賞特別賞を授与し、その栄誉をたたえます。

「いのちがいちばん輝く日 ~あるホスピス病棟の40日~」溝渕雅幸監督 
 貴作品は、終末医療に関わる敷地内禁煙のホスピスでの「最後まで人間らしくウェルネスライフを」という考えが大変すばらしいドキュメンタリーでした。ここに無煙映画賞特別賞を授与し、その栄誉をたたえます。

「ラブ沖縄@辺野古・高江・普天間」藤本幸久、影山あさ子監督 
多くの基地を抱える沖縄を舞台にしたドキュメンタリーはいくつかありますが、そのほとんどにタバコが度々出てきていました。この作品ではタバコの場面はなく無煙の作品としたことはすばらしいことです。これからも無煙のドキュメンタリーを制作されるよう祈念し、ここに特別賞を授与し、その栄誉をたたえます。


<311記憶賞> まだまだ風化させてはいけません。そこで今回は新設です。

「朝日のあたる家」太田隆文監督 原発事故を扱ったドラマ
福島と同じような原発事故が起きた町で、はっきりしない政府の態度に翻弄される家族を描き、ドキュメンタリーを超えた真実に迫るドラマで原発事故の悲惨さを観客に伝えました。また、電力会社が莫大な広告費でメディアをコントロールしているという事実を伝え、同じ手法をタバコ会社がしていることを観客に気づかせました。
福島を伝える多くのドキュメンタリーでは喫煙者が必ず登場するのですが、この作品は無煙で、出演者をタバコに含まれているポロニウム被爆から守りました。

「なみのこえ」酒井耕、濱口竜介監督 津波被害者のその後を追ったドキュメンタリー
311の記憶を福島県新地町と宮城県気仙沼市に暮らす人々が語る作品です。インタビューの形式が大変独創的で話している人に観客が共感しやすく興味深い作品となりました。
「つらいときにはタバコ」という刷り込みを払拭させる無煙の作品です。

<汚れた灰皿賞>(モクモク賞) 
 ・「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」橋本一監督 PG12(これはタバコによる指定ではありません。)
 ・「夏の終り」熊切和嘉監督
 ・「謝罪の王様」水田伸生監督
 ・「ばしゃ馬さんとビッグマウス」吉田恵輔監督
 ・「俺はまだ本気出してないだけ」福田雄一監督 

以上を代表し、「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」に授与します。

(注)映倫では未成年者が喫煙した場合はPG12の指定をしているようですが、大人の喫煙はまだR指定にはなっていません。したがって、これからも要望は出し続けます。


     

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