
「草原の椅子」 成島出監督 ××
離婚後、大学生の娘と二人暮らしの遠間(佐藤浩市)は職場では中間管理職として嫌な仕事もしなければなりません。家庭では娘は何か隠し事があるようです。そんな時、取引先の社長富樫(西村雅彦)から「親友になろう」と懇願され、付き合い始めます。また、ふと見かけた陶器店経営の貴志子(吉瀬美智子)に惹かれます。一方、娘がバイト先の上司から母親の虐待により心を閉ざした4歳の圭輔を預かってきます。なりゆきで遠間は圭輔とともに富樫の故郷を訪れます。その後、1冊の写真集がきっかけとなり遠間、圭輔、富樫、貴志子の4人で写真集の地フンザへ、これからの生き方を探しに出かけるのでした。
50歳になって親友になるとか、一目ぼれの相手とうまくいくとか、大人のためのメルヘンとも思えます。とはいえ本当にこんな風に新しい家族になるというのもあってもいいかもしれません。小池栄子の自己中心の母親役が抜群にうまいです。富樫の父親(井川比佐志)は障がい者のための椅子づくりをしていますが、その仕事に対する姿勢も美しいです。たまにはこのようなほんわかとしたドラマもいいですね。
タバコは、気を使いつつも主役の佐藤が何度かタバコを手にします。実際に口にするのは1、2回です(×)が、灰皿の上でくゆらせたり、吸わないけれど手にしたりという動作が目立ちました(×)。笑えるセリフは圭輔の父親が「香水のにおいに耐えられない」といって仕事を止める報告を遠間にするのですが、そのとき遠間が吸っているタバコの煙は問題にしないというのが奇妙です。香水の匂いが嫌だということを言ったのは評価できますが、香水がいやならタバコはもっといやでしょう、一般的には。
ただ、タバコに対して神経を使っているということは感じられました。今後は受動喫煙や残留タバコ煙などにも気を付けていただきたいものです。