無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

ぼけますから、よろしくお願いします。

2019-02-28 | 2019日本語映画


「ぼけますから、よろしくお願いします。」 信友直子監督 ◯ ☆

 映像作家の監督がアルツハイマー型認知症になった87歳の母親と95歳で主夫となった耳が悪い父親の姿を記録したドキュメンタリー作品です。
 写真が好きだった母親が撮影した幼い頃の監督と父親、70歳代の元気な頃の生き生きとした母親の姿、そして夫に思いが伝わらず怒り出す妻に、叱りつける夫という現在、をカメラは捉えています。
 重いテーマですが、全体の雰囲気はふたりの人柄が反映されてそれほど辛い作品ではありません。しかし、戦争体験者の世代である夫は耳が悪いこともあり、妻の病気に対する不安を受け止めることができません。怒り出す妻に夫は「気位が高い!」と一喝する場面は「老老介護に疲れ殺人」という新聞記事が頭に浮かぶような厳しい場面でした。美しいだけの映画にしなかった監督の強い意志が感じられます。
 福祉職のみなさんの対応には頭が下がります。
 さまざまなことを考えさせられる秀作です。ご両親に拍手! ☆
 この作品の映画評の中で、「桜坂劇場ファンクラブVol,164号(2月号)」のSHINOさんの紹介文が大変的を射ています。夫婦とは?を問う内容です。この文章にも感動しました。拍手!
 タバコは、なし。無煙です。
 

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アリータ バトル・エンジェル

2019-02-27 | 2019外国語映画


「アリータ バトル・エンジェル」 ロバート ロドリゲス監督 米 △

 木城ゆきとのSFコミック「銃夢(ガンム)」が原作です。
 数百年後の世界、大きな戦争後人々は安全な空中都市と貧しい地上に別れて暮らす歪んだ社会になっていました。サイボーグ専門医師のイド(クリストフ ワルツ)は空中都市から捨てられたゴミの中からまだ脳だけは生きているサイボーグを見つけます。イドはとっておきの体を与えアリータ(ローサ サラザール)と名付けます。しばらくは記憶が欠落していましたが、さまざまなきっかけで最強の兵器だった記憶を取り戻していくのでした。
 どこまでが実写でどの部分からがCGなのかまったくわかりませんが(例えばアリータの大きな瞳)、そういうことは考えず、あるがままを愉しめばよいのではないかと思いました。さまざまなサイボーグが登場し、タイトルどおりバトルを繰り返しますが、実はメロドラマだった、という意外な内容です。
 タバコは、奇妙なことに犬使い(サイボーグの犬ですが)のおじさんが喫煙していました。(△)


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バーニング 劇場版

2019-02-25 | 2019外国語映画


「バーニング 劇場版」 PG12 イ チャンドン監督 韓国 ☓☓☓

 村上春樹の短編小説「納屋を焼く」を独自の解釈で映画化しました。
 小説家を目指すジョンス(ユ アイン)は整形で美しくなった幼馴染のヘミ(チョン ジョンソ)と偶然再会します。ヘミからアフリカ旅行で留守の間の猫の餌やりを頼まれます。旅行から帰ったヘミはジョンスに旅先で出会ったベン(スティーブン ユアン)を紹介します。ベンは仕事らしい仕事もせず高級車に乗り、高級マンションに住んでいて、金持ち仲間と遊んでいました。ベンとヘミの関係に心が揺れるジョンスですが、父親にある問題が起き、実家に帰って牛の世話をしなければなりませんでした。突然ヘミから電話があり、ベンとともにジョンスの家を訪ねてきたのです。ベンは「古くて汚く役に立たないビニールハウスを焼く。」という謎の言葉を残します。その後ヘミと連絡が取れなくなるのでした。必死に探すジョンスですが・・・。
 ジョンスの実家の倉庫に隠してあったナイフの数々、ベンの家にあった妙なコレクション、焼かれるビニールハウスなどなど謎めいた伏線が微妙に散りばめられています。中でも登場場面は少ないものの猫のボイルがなぞを解くカギになっています。独自のラストらしいのですが、これはちょっとまずいのではないでしょうか。
 いずれにしても、内容は曖昧で不可解な部分も多いのですが、韓国の階級社会の格差は感じさせる作品でした。ベン役のスティーブン ユアンが退屈であくびを噛み殺す表情はお見事でした。
 タバコは、3人共度々喫煙しました。(☓☓☓)大麻も吸っていました。

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アクアマン

2019-02-21 | 2019外国語映画


「アクアマン」 ジェームス ワン監督 米 ◯

 DCコミックのヒーロー「アクアマン」を主役にした海中アクション映画です。
 海底人の王女(ニコール キッドマン)と灯台守の男との一人息子アーサー(ジェイソン モモア)は地上でちょっと変わった子として成長していました。海中では帝国の覇権を巡り、いくつかの派閥の戦いが始まりかけていました。その勢力争いにメラ(アンバー ハード)とともに巻き込まれていくのでした。
 冒頭の映画会社の見慣れたロゴからすでに海中世界にいざなわれ不思議な世界を堪能できます。俳優たちの動きは水の中にいるような動きなのに普通にしゃべるし、周囲には魚などの海中生物が泳いでいます。この特撮場面を見るだけでも面白い作品です。ただ、どうしても「戦い」が主なテーマになってしまうのはアメリカ映画の限界なのでしょうか。戦士たちのコスチュームは「スターウォーズ」のお下がりみたいで新鮮さがありません。タコのティンパニや巨大なタツノオトシゴに乗ったりしたように海中生物を応用したコスチュームを工夫したらもっと面白かったのではないでしょうか。
 また、娯楽映画ではありますが、人間社会が海中に汚染物質を流したりプラスチックゴミを散乱させたりすることへの戒めはもっとしっかり伝えたほうが映画の価値が上がったのではないかと思います。
 タバコは、なし。無煙です。


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女王陛下のお気に入り

2019-02-20 | 2019外国語映画


「女王陛下のお気に入り」 PG12 
             ヨルゴス ランティモス監督 アイルランド英米合作 ☓

 18世紀のイングランドを舞台に、アン女王の側近の座を巡る女の戦いを描きました。
 女王のアン(オリビア コールマン)は目下フランスと戦争中であるにもかかわらず体調不良を言い訳に政治の実務は個人的なパートナーでもあるレディサラ(レイチェル ワイズ)に任せていました。サラはそれをいいことに絶大な権力をほしいままにしていました。そこへサラの親戚を名乗る落ちぶれた貴族の娘アビゲイル(エマ ストーン)が職を求めてやってきます。下働きとして雇いますが、女王の痛風がひどくなったときに薬効のあるハーブで癒やし、アン女王の信頼を得るのでした。そしてアンの心をつなぎとめるためのサラとアビゲイルの優雅で残酷な戦いが始まるのでした。
 作品を彩るのは三人の女優たちのまさに「ここまでやるか」と思えるほどの体を張った演技です。美しい場面も醜い場面もそれぞれ見ごたえがあります。
 戦費供出のため重税にあえぐ市井の人々がまったく描かれていないのが物足りないのですが、貴族たちの馬鹿な姿はたっぷり見せつけられます。政治を司る人々はもっとしっかり仕事をしなさい!
 タバコは、パイプ状のものが登場していました。(☓)


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22年目の記憶

2019-02-19 | 2019外国語映画


「22年目の記憶」 イ ソンジュ監督 韓国 ☓☓

 1972年の南北首脳会談が予定されていた時代、韓国側ではそのリハーサルをするためにある役者を金日成に仕立て上げていました。その彼の半生を息子の目を通して描きました。
 売れない役者のソングン(ソル ギョング)は韓国中央情報局の拷問まがいのオーディションを受け採用されます。金日成そのものになるための特訓が行われますが、首脳会議は開かれませんでした。そして、22年が経ち息子のテシク(パク ヘイル)は怪しいマルチ商法をしていましたが、借金の厳しい取り立てにあっていました。父親は金日成になったまま高齢者施設にいました。そんなおり、ふたりが住んでいた家が開発地域となり多額の保証金が手に入ることになるのですが・・・。
 ネタバレになりますが、その後本当に首脳会議のリハーサルが行われるのです。未だすっかり金日成のままの父親は大統領を相手に持論をぶちかますのですが、それがなかなか時代を読んでいて素晴らしい内容でした。韓国映画界は政治家にも厳しいですね。うらやましいことです。
 タバコは、金日成が喫煙(☓)、タバコを勧める場面もありました。韓国側の大統領は「吸わないから」と断っていました。息子や借金の取り立て屋も喫煙(☓)しました。


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ファースト・マン

2019-02-17 | 2019外国語映画


「ファースト・マン」 デイミアン チャゼル監督 米 ☓☓NTS

 アメリカの人類初の月面着陸で最初の一歩を体験したニール アームストロングの半生を描いています。
 NASAの飛行士試験に合格したニール(ライアン ゴズリング)は仲間とともに厳しい訓練を受けます。首脳陣はなんとしてもソ連との宇宙競争に勝たなければならないがために、命が犠牲になることもありました。そんな不安があるなか、月面着陸の宇宙船船長に任命されるのでした。
 幼い娘を病気でなくした心の痛手を抱えながらもニールは月へ向かいます。
 ニールの視線を映像にしているので壮大な宇宙空間と言うよりは狭い宇宙船の小窓から見える宇宙の姿が中心です。当時テレビで見たのは結果だけでしたが、その一歩に至るまでの多くの訓練と犠牲、そして莫大な経費の是非などの裏事情がよくわかりました。
 音楽(ジャスティン ハーウィッツ)が素晴らしかったです。クライマックスの場面が「無音」という演出も印象的でした。  
 ただ、個人的には2013年ロシアの「ガガーリン」の方が宇宙飛行士を描いた作品としてはずっと良かったと思います。(チラシデザインがそっくり!)
 タバコは、妻(クレア フォイ)が何度か喫煙し(☓)、くわえタバコのスタッフがいました。(☓)クレア フォイの肌が汚いのはタバコのせい?



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半世界

2019-02-15 | 2019日本語映画


「半世界」 阪本順治監督 ☓

 坂本監督自身のオリジナル脚本で稲垣吾郎が主役を演じています。
 炭焼き職人で生計を立てている紘(稲垣吾郎)には、愛妻の初乃(池脇千鶴)と中学生の息子がいます。父親の窯を継ぎ、木の切り出しから炭の配達までひとりで働いています。同級生の瑛介(長谷川博己)が自衛官をやめて帰郷します。ところが、古い家に雨戸を閉じて引きこもってしまいます。もうひとりの同級生光彦(渋川清彦)とともに外に連れ出すのですが・・・。
 タイトルは「人々が知っている世界はあくまでも半分で残りの半分はまったく別の世界がある。」ということでしょうか。地理的なことだけでなく、経済的にも人間関係からも半分しか、つまりは自分に直接関わる世界しか理解できていないのです。39歳という年齢から人生の半分ということもいえるのかもしれません。
 絶滅危惧職人の炭焼の過程を丁寧に描いていることは大変貴重です。また、海外派兵させられた自衛官のPTSDコンバットストレスについて触れたことも評価できます。ただ、娯楽映画としての魅力がいまひとつ足りないような気がしました。
 タバコは、妻の池脇千鶴が喫煙者で、事務仕事をしているときに一度喫煙します。(☓)
主人公の3人は学生時代は隠れて缶ピースを吸っていたようですが、「今はみんな禁煙」し、居酒屋や漁師たちの場面でも喫煙者はいませんでした。石橋、渋川などが喫煙しなかったのは良かったです。ラストのセリフを含め、妙にタバコネタが多い作品でした。


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マイ・サンシャイン

2019-02-13 | 2019外国語映画


「マイ・サンシャイン」 PG12 デニズ ガムゼ エルギュヴェン監督 仏ベルギー ☓

 白人警官による黒人容疑者殺害事件の不当判決後に起きた1992年の「ロス暴動」をひとりの母親の目線で描きました。
 ミリー(ハル ベリー)は親と暮らせない子どもたちを家族として愛情たっぷりに育てていました。世間では、アフリカ系アメリカ人ロドニー キングを虐殺した白人警官たちの裁判が始まり緊張が高まっていました。ミリーの「子どもたち」の中にも思春期を迎える男の子もいてその混乱に巻き込まれてしまうのでした。隣家のオビー(ダニエル クレイグ)はミリー一家に「静かにしろ!」と苦情を言いながらも必要なときには手助けを惜しみませんでした。そして「その日」が訪れるのでした。
 当時の映像を織り交ぜ再現された暴動の場面には迫力があります。また、思春期の少年少女の「もう子どもじゃない。」という危なっかしい行動がすでにおとなになった観客にはヒリヒリと迫ってきます。邦題の明るさが皮肉に思える重くて辛いテーマの作品です。(原題「KINNGS」)ハル ベリーの演技は輝いていましたが・・・。
 タバコは、警官に捕まって手錠がかけられているのにタバコに火を付けて喫煙する場面がありました。(☓)子どもの前では喫煙しませんでしたが。


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宵闇真珠

2019-02-12 | 2019外国語映画


「宵闇真珠」クリストファー ドイル、ジェニー シュン監督 香港マレーシア日合作☓☓

 香港の(多分今はない)水上の村に住む奇妙な病の少女と異国の青年との出会いを叙情的に描きました。
 日光にあたると体力が落ち母親のように死んでしまう、と父親に言われて育った少女(アンジェラ ユン)は昼間は大きな帽子にレインコートそして長靴を放せません。学校では「白女」といわれ避けられていました。孤独な少女は日が落ちてから秘密の岩場でひとり歌をうたう事が唯一の楽しみでした。そこへ日本人の青年(オダギリ ジョー)が現れます。彼は村にある廃墟となっている「お化け屋敷」に住み始めていました。ふたりの交流はほとんど深まることもなく、あることをきっかけにあっさりと青年は去ってしまうのでした。
 という淡白な恋物語を縦糸とし、静かな漁村に押し寄せる観光客を装った開発者の傍若無人な態度とそれに迎合する村長一派。村の人は反対することもできず、青年と少女の関係と同じようにいつのまにか変わっていってしまうという生々しい現実が横糸になって物語は織りなされます。摩訶不思議な廃墟の建物と、香港版「ピタゴラスイッチ」が楽しいリサイクル店の僧侶と少年がファンタジー感を盛り上げています。今は開発されて様変わりしてしまった古い生活へのノスタルジーあふれる作品です。
 アンジェラ ユンの華奢な太ももが美しくまさに真珠です。いくつになっても青年役が似合うオダギリが「異邦人」らしさを醸し出していました。
 タバコは、村の人が喫煙する場面がちらほら(☓)。不良っぽい生徒が野外で授業中喫煙しても教師は何も言わない、という日本ではありえない光景もありました。(☓)オダギリが喫煙せず、青年の人畜無害、無味無臭な性格を表現していました。
 

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