「ぼけますから、よろしくお願いします。」 信友直子監督 ◯ ☆
映像作家の監督がアルツハイマー型認知症になった87歳の母親と95歳で主夫となった耳が悪い父親の姿を記録したドキュメンタリー作品です。
写真が好きだった母親が撮影した幼い頃の監督と父親、70歳代の元気な頃の生き生きとした母親の姿、そして夫に思いが伝わらず怒り出す妻に、叱りつける夫という現在、をカメラは捉えています。
重いテーマですが、全体の雰囲気はふたりの人柄が反映されてそれほど辛い作品ではありません。しかし、戦争体験者の世代である夫は耳が悪いこともあり、妻の病気に対する不安を受け止めることができません。怒り出す妻に夫は「気位が高い!」と一喝する場面は「老老介護に疲れ殺人」という新聞記事が頭に浮かぶような厳しい場面でした。美しいだけの映画にしなかった監督の強い意志が感じられます。
福祉職のみなさんの対応には頭が下がります。
さまざまなことを考えさせられる秀作です。ご両親に拍手! ☆
この作品の映画評の中で、「桜坂劇場ファンクラブVol,164号(2月号)」のSHINOさんの紹介文が大変的を射ています。夫婦とは?を問う内容です。この文章にも感動しました。拍手!
タバコは、なし。無煙です。