「北の果ての小さな村で」 サミュエル コラルデ監督 仏 ○
グリーンランドの人口80人ほどの小さな村に教師として赴任したデンマーク人青年の成長物語をドキュメンタリー風に描きました。
デンマーク人のアンダースは家業の農場を継ぐのがいやで教師の道を選び、グリーンランドのそれももっとも人が少ない村を希望します。しかし、いざ赴任してみると子どもたちはちっとも言うことを聞かず、デンマーク語を教えるための教師なのに親たちからも完全に無視されてしまいます。ある時、祖父と共に犬ぞりで猟に出る教え子の旅に同伴させてもらいます。その体験が真の教育とは何かを考えるきっかけとなり、アンダース自身がグリーンランド語を学ぶ事により村人たちに受けいれられるようにのでした。
教室では落ち着かず集中しない子どもたちが猟に出ると祖父の振る舞いや教えを真剣な眼差しで自分のものにしようという姿が感動的です。
また、想像を絶する過酷な自然環境の中、人生を謳歌している人々はアンダースだけでなく私たちに人生を問いかけます。
もう一つの見どころは、過酷ではあるものの、フィヨルド、氷河、オーロラなどの雄大な自然です。
名作ドキュメンタリー「極北のナヌーク」(1922年 米)の21世紀版ともいえます。また、黒澤明監督の「デルス・ウザーラ」にも通じるものがありました。
グリーンランドはデンマーク領だったことも初めて知りました。ところで、デンマーク人の役人の女性は「グリーンランド語なんて覚えなくていい。」と言い切っていましたが、どうやって仕事をしていたのか気になってしまいました。
タバコは、なし。無煙です。