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「ホテルローヤル」 PG12 武正晴監督 ✗
桜木紫乃の直木賞受賞作を映画化しました。
釧路湿原を背景に立つラブホテルの娘雅代(波瑠)は美大に落ち、その上に家族トラブルも有り家業を手伝うことになりました。父親(安田顕)は酒とパチンコが好きで役にも立たず実質的には働き者の従業員(余貴美子ら)のおかげでなんとかやりくりしていました。「ラブホの子」といじめられたりしたこともあり好きな仕事とは言い難かったのですが、アダルトグッズの営業担当の宮川(松山ケンイチ)に会えることも励みになり、その上非日常を楽しみにしているさまざまな事情がある利用者の存在など人生を知っていくのでした。
原作者の自伝的小説ということもあり、波瑠が作家本人によく似ていてリアルでした。過去と現在の時間移動にさまざまな仕掛けがあり一つ一つが大変おもしろい仕掛けでした。なかでも印象的なのはラストの赤い車と白い車が踏切ですれ違い時間が変わる演出は映像的にも美しく映画ならではの展開でした。
本編には直接関係がありませんが、予告編の終わりにテーマ曲がふっと途切れたところで「ホテルローヤル」の看板にライトが灯りテーマ曲のサビに入る、という間合いの絶妙さに毎回予告編を見るのがとても楽しみでした。
タバコは、父親役の安田が何回か喫煙しました。逆にスタッフの休憩場には「禁煙」「絶対吸うな」などの張り紙があり、スタッフたちはタバコの受動喫煙が嫌だったようです。父親もあっけなく病気に倒れてしまいタバコはやっぱりよくないですね。