無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

前田建設 ファンタジー営業部

2020-02-29 | 2020映画評


「前田建設 ファンタジー営業部」 英勉(はなぶさつとむ)監督 ○ ☆

 ダム、トンネルなどの大規模工事を行ってきた前田建設が、マジンガーZの格納庫をウェブ上で作成するというプロジェクトを映画化しました。
 バブル崩壊後、大規模な建設プロジェクトは少なくなり、建設業界も元気がなくなりかけていました。そんな折営業部のアサガワ(小木博明)は新たなプロジェクトを立ち上げます。なんと、かつて人気があったアニメのマジンガーZの格納庫を建設しようというのです。同じ営業部員のドイ(高杉真宙)やエモト(岸井ゆきの)ベッショ(上地雄輔)らは戸惑います。アサガワひとりが盛り上がりますが、マジンガーZの隠れファンが社内のあちこちにいて陰ながら叱咤激励してくるのでした。そしてプロジェクトは多くのそして意外な応援者を得て紆余曲折を乗り越え力強く進んでいくのでした。
 
仕事や職場を全く別の角度から捉えることであんまりやる気のなかったメンバーたちに力と自信を与えていく、今までの「お仕事映画」とは次元の違う面白さがあります。特に「掘削男」ヤマダ(町田啓太)が「掘削」について熱く語る場面は感動的です。岩盤の強度を板チョコと雷おこしに例える説明は素人にも大変わかりやすかったです。また、通常は一般市民が目にすることはない、「掘削機」の仕事ぶりが見られ「働く自動車」ファンにも嬉しい作品です。
金儲けだけが仕事ではない、というメッセージもいいですね。(☆)
妙に盛り上がる演出が大笑い(私だけ?)を誘います。撮影現場も笑いが止まらなかったのではないかとちょっと心配でした。
エンドロールの楽しさはピカイチです。最後までちゃんと観ましょうね。

タバコは、なし。無煙です。


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男と女 人生最良の日々

2020-02-27 | 2020映画評


「男と女 人生最良の日々」 クロード ルルーシュ監督 仏 ☓☓PP

 1966年の名作「男と女」のキャスト、スタッフが53年ぶりに再結集し、続編を制作しました。
 老人ホームにいる元レーサーのジャン ルイ(ジャン=ルイ トランティニャン)は最近はすっかり意欲もなく記憶も曖昧になっていました。息子はなんとか記憶を蘇らせようと過去に付き合っていたアンヌ(アヌーク エーメ)を探し出し父親と会ってくれるよう依頼します。
 迷いながらもホームを訪れ会話をすることで、お互いに少しずつ過去の思い出が蘇るのでした。過去のフィルムと、夢の場面が効果的でした。一方主人公の「男と女」にはそれぞれ歳が近い息子と娘がいて今度はそちらの「男と女」の物語が予想されるのでした。
 
 映画は観ていなくてもあの有名な♬「ダバダバダ〜〜」は誰でも知っている名曲の作品の53年後ということですが、この作品だけでも十分楽しめます。主役の二人と監督みんな80歳を超え元気でなによりです。

 タバコは、手にする場面はありましたが吸ってはいなかったようです。ただ、カフェのテーブルにわざわざタバコの箱をカメラに向かって立てて置いていました。(☓PP)

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チャーリーズ・エンジェル

2020-02-26 | 2020映画評


「チャーリーズ・エンジェル」 エリザベス バンクス監督 米 ○NTS ☆

 2000年、2003年に公開されたおなじみのシリーズですが、スタッフを一新した3作目です。
 国際機密組織チャーリー タウンゼント社の女性エージェントたちが今回も大活躍します。新エネルギーの研究者エレーナ(ナオミ スコット)はそのエネルギーが使い方によっては殺人マシーンになることをおそれ情報を内部告発します。エレーナは会社から狙われますが、エンジェルたちに救われます。そして彼女自らがエンジェルとなって殺人マシーンが取引されることを食い止めるのでした。

 エンジェル(クリスティン スチュワート、エラ バリンスカ)たちの鍛えられたアクションと魅力的なファッション、そしてテンポの良い音楽が観客をスクリーンに釘付けにします。シリーズの中でも最も面白い仕上がりです。(☆)
とかく、「チャーリーという男のボス」のためにがんばって「よくやったね」と大人の男に褒められて喜ぶ、利用されている女たちという批判がありましたが、今作では完全に払拭されました。ちなみに監督は女性で映画にも登場しています。

 タバコは、なし。無煙です。(○)
 

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テリー ギリアムのドン・キホーテ

2020-02-25 | 2020映画評


「テリー ギリアムのドン・キホーテ」 ジョナサン プライム監督
             スペイン、ベルギー、仏、英、ポルトガル合作 ☓

 鬼才とも奇才ともいわれるギリアム監督が製作に紆余曲折があり30年かけやっと完成した作品です。
 若手CM監督のトビー(アダム ドライバー)はスペインの田舎で撮影をしていましたが、いまひとつ気が乗らずプロデューサーやスポンサー、スタッフたちも気をもんでいました。そんな折、不思議な男からトビーが学生時代に制作した映画のビデオを渡されます。それを観たトビーは撮影を放り出してその村にでかけます。ところが、そこでは、トビーが一般人を俳優に仕立てたため10年経って大変なことが起きていました。主人公の「ドン・キホーテ」役に起用した靴職人ハビエル(ジョナサン プライス)は今でも自分が騎士だと思いこんでいて突然現れたトビーを従者サンチョと勘違いし、あれよあれよと二人の奇妙な冒険の旅が始まるのでした。

 スペインの美しい自然と、古くからのお祭りの行列、そして衣装が凝りに凝った仮装パーティなどがちょっとメチャクチャな物語を盛り上げています。
 わがままなスポンサーと資金集めに必死な製作会社とそれに振り回される制作現場でのさまざまなやりとりが勉強になります。そんなことはお構いなしの純粋なドン・キホーテの姿が今では一服の清涼剤となりました。
 仮装パーティで「衣装は用意してある」と着替えたトビーは予想通りスターウォーズっぽい黒い衣装でちょっと笑えました。

 タバコは、スポンサーでパーティの主催者ロシアのウォッカ王が葉巻を吸っていました。(☓)

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スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼

2020-02-24 | 2020映画評


「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」 中田秀夫監督 ○東宝

 大ヒットした前作の続編です。加賀谷刑事(千葉雄大)浦野(成田凌)はそのままですが、ほかのキャストは刷新されています。
 連続殺人犯浦野が逮捕された数カ月後、再び複数の死体が発見されその上コンピューターを使ったハッキングを警察が受けてしまいます。犯人は「M」と名乗っていますが、解決をするには「M」を知るあの殺人犯を頼るしかありません。一方、加賀谷の恋人美乃里(白石麻衣 乃木坂46)は加賀谷が結婚をためらうのでギクシャクしていました。加賀谷は幼児期の母親による虐待のトラウマを抱えていたのです。二人の関係がよそよそしくなったタイミングで「M」が美乃里に近づくのでした。

 警察の対応などには「ありえない」場面もありますが、娯楽作品としては真犯人が予想できないどんでん返しもあり十分楽しめます。成田の狂気の原因も母親の虐待ですが、娯楽作品で社会の問題を考えさせる展開は評価できます。

 タバコは、なし。無煙です。(○)


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スキャンダル

2020-02-23 | 2020映画評


「スキャンダル」 ジェイ ローチ監督 カナダ米合作 ○ ☆☆

 2016年アメリカのFOXニュースの人気キャスターがセクハラでCEOを訴えた実際の事件を基にした作品です。
 FOXを牛耳っていたロジャー(ジョン リスゴー)は、女性スタッフに対しスカートを強制するだけでなくカメラに対してはニュース番組なのに「足を映せ」といつもセクハラ発言をしていました。人気キャスターだったグレッチェン カールトン(ニコール キッドマン)に対しては侮辱する言葉を遠慮なく吐いていました。耐えられずセクハラで訴えます。後輩であるメーガン ケリー(シャーリーズ セロン)にも思い当たる過去がありました。また、新人のケイラ(マーゴット ロビー)はセクハラが現在進行中でした。女性の側にも落ち度があったのでは?とされがちなセクハラ裁判ですが、権力者のロジャーとの対決に勝ち目はあるのでしょうか。

 胸にパットを入れ、ボディラインをさらけ出す服を着せられ、かかとに絆創膏を貼りながらもなんでも無いかのような顔をしてピンヒールの靴を履かされる職場。「テレビは見た目勝負」と豪語する老人は客観視すれば呆れますが、どんな職場にもこういう男性は普通にいるのでしょう。ぜひこの映画を観て反省してほしいものです。(☆)今流行の「組織は頭から腐る」という名言もあります。
 心情として戦う女性を応援しているのでもうひとつ(☆)

 タバコは、過去の写真の中にタバコが映っていましたが、おまけの(○)です。


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エンテベ空港の7日間

2020-02-20 | 2020映画評


「エンテベ空港の7日間」 ジョゼ パジーシャ監督 米英合作 ☓☓☓

 1976年に起きたパレスチナ過激派によるエール・フランス機ハイジャック事件の顛末を描きました。
 ハイジャックされた機内には多くのイスラエル人乗客がいました。自国民救出のため特殊部隊を導入しようという国防大臣(エディ マーサン)に対し首相は交渉を保留して態度を決めあぐねていました。一方犯人グループ内でも人質の扱いに意見が別れていました。また、特殊部隊の隊員たちはいつでも任務につけるよう待機していたのです。そしてサンダーボルト作戦が決行されるのでした。

 一部の演出以外は事実に基づいているということで、実際のフィルムが要所要所で使われていて、ドキュメンタリー風でもありますが、兵士の彼女が所属するダンスチームのダンスが箸休めのように随所で流れ、意味は理解できませんが、妙に緊迫度を上げる効果を出していました。
機内に自由に武器が持ち込めていた時代があったのだと妙に隔世の感がありました。おかげで最近は保安検査がますます厳しくなってしまいました。

 タバコは、人質以外は政治家たちも犯人グループもほとんどの登場人物が喫煙者、という作品です。タバコに関しても隔世の感がありました。(☓☓☓)
 

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わたしは光をにぎっている

2020-02-19 | 2020映画評


「わたしは光をにぎっている」 中川龍太郎監督 △

 目的も準備もほとんど無く田舎に用がなくなったから都会に出てきた未熟者がいい人に囲まれて多少は成長するという監督らのオリジナル作品です。
 両親を幼い頃に亡くした澪(松本穂香)は祖母(樫山文枝)と長野県の湖畔にある民宿を切り盛りしていましたが、祖母が倒れたため、死んだ父親の親友(光石研)を頼って上京してきます。下町のごちゃごちゃした商店街に近い銭湯の2階に落ち着きますが、要領が悪い上にコミュニケーション能力も低い澪は仕事が決まらず、祖母の励ましもあり、結局銭湯を手伝うことにします。いろいろあるなかなんとか軌道にのってきた矢先今度は銭湯を含めた地域全体が再開発で立ち退くことになるのでした。
 銭湯の常連客のひとり銀次(渡辺大知)がドキュメンタリー映画の撮影をしていることから、映画ネタがあるおかげで澪だけではほとんど会話が無い作品に色を添えました。無口な澪に対してはっきり言う銀次の映画仲間の美琴(徳永えり)が唯一ちょっと悪役になっているくらいの静かで穏やかな現実社会ではありえないある意味ファンタジーの世界でした。
 かつて筆者が常連だった横浜の映画館ジャック&ベティが登場し、懐かしかったです。
 タバコは、屋台のおでん屋で隣の客が喫煙していました。(△)


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ボーダー 二つの世界

2020-02-18 | 2020映画評


「ボーダー 二つの世界」 R18+ アリ アッバシ監督 スウェーデン、デンマーク合作 ☓☓

 第71回カンヌ映画祭「ある視点部門 グランプリ」作品で、原作者のヨン アイヒデ リンドクビストが脚本に参加した北欧を舞台にしたダークサスペンスです。
 ティーナ(エバ メランデル)は遺伝子異常のため幼児のときに手術をし、妊娠は出来ない上、顔が醜く社会から疎外されていました。しかし、邪悪なものを嗅ぎ分けるという特殊な能力を活かし、有能な税関職員として働いていました。ある時フェリーから降りてきた旅の男ヴォーレ(エーロ ミロノフ)はティーナと容姿がよく似ていて興味を持ち、森の中にあるティーナの自宅の離れに招きます。親しくなるに連れティーナは自分の本当の姿に気付かされます。そして、ティーナが勤務中児童ポルノの動画チップを発見したことから大きな事件に巻き込まれていくのでした。
 
 R18+なのでそれなりの覚悟はしていましたが、予想を超える異常な肉体というか人間離れ(というか人間に似ている別の生物?)したふたりの性を超えた絡み合いにはまあびっくりしてしまいました。
 特殊メイクを超えた肉体改造的な俳優の勇気にも脱帽です。というわけで、鑑賞しているときは、映像に目が行き過ぎてしまいましたが、後々、タイトルが訴えている境界についてはあれこれ考えさせられました。

 タバコは、老人施設にいるティーナの父親が喫煙者でしたが、本当は禁止されているのか「3本だけ」と手渡していました。(☓☓)
 

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影裏

2020-02-17 | 2020映画評


「影裏」 大友啓史監督 ☓☓タバコネタ異常に多い

 沼田真佑の芥川賞小説が原作です。
 転勤で盛岡に来た今野(綾野剛)は同僚の日浅(松田龍平)に声をかけられ、酒を飲んだり、釣りをしたりと親しくなります。ところが日浅は突然仕事を辞めてしまい今野は心配しますが、しばらくすると、転職をしたからと新しい名刺を持って何事もなかったかのように現れます。今野は振られたこともあり距離を置くようになりました。そんな折大震災が起き、日浅が犠牲になったのではないかと消息をたずね父親(國村隼)や兄(安田顕)に逢いますが、ふたりとも「あんな奴はどうなってもいい。」と突き放すのでした。
 
全体的に「影裏」というだけあって暗いのですが、それが暗すぎです。登場人物の顔を斜め下から超大写しで捉えるカメラは見たくもない毛穴まで映し出します。ラストの光を見せるためとはいえあまりにおおげさに暗すぎです。
 日浅がやっていたことはどこにでもありそうな悪でサスペンスというほどの謎もありません。
 ひとつだけきれいだったのは、冒頭の綾野剛の足で「なるほど」と思わせます。ゲイの話なら「おっさんずラブ」で十分かな。

 タバコは、二人の出会いが禁煙の場所で松田が喫煙しているのを、綾野が注意するというきっかけです。また、松田が吸いかけのタバコを綾野に渡し、綾野は吸い殻を自分が飲んでいた缶コーヒーの中に捨てるというとんでもない場面がありました。缶をリサイクルという発想がないらしい。時間の経過を吸い殻の数で表現する昭和の演出もありました。
 盛岡テレビの記念映画なので岩手の風景が織り込まれていますが、渓流釣りでタバコを吸い、あの吸い殻はどうしたのか?という環境破壊の疑いもありました。
結論としては思わせぶりなタバコ宣伝映画です。松田の母親が製作に名前を連ねていますが、タバコへの警戒は一切無いようです。
 

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