無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

ブラック・スキャンダル

2016-01-31 | 2016外国語映画評


「ブラック・スキャンダル」 R15+ スッコト クーパー監督 米 ☓
 
 アメリカ史上最も冷酷残忍なアイルランド系マフィアのボス、ジェームス ホワイティ バルジャーが立場を変えた幼なじみとともにのし上がっていく姿を描きました。
 1970年代ボストンの南部で育った不良少年たちは大人になるとギャング(ジョニー デップ)、FBI捜査官(ジョエル エドガートン)、そして政治家(ベネディクト カンバーバッチ)になっていました。それぞれの立場を利用し合えば対立するイタリア系マフィアを潰すことができ、双方にとっていい仕事ができると情報をお互いが交換しあうようになります。バルジャーは幼い息子にさえ「悪事を働いても誰にも見られなければなかったことになる。」と教えるように、目撃者や裏切り者は容赦なく制裁します。一方、町では人情家の面もあり慕われてもいました。しかし、証人が常に殺されてしまうことに疑いを持った新任の捜査官によって彼らの陰謀が明らかになるのでした。
 ジョニー デップが実在のバルジャーそっくりの髪型と皮ジャン、サングラスという出で立ちで笑顔を封印し冷酷なギャングを怪演しました。アメリカ人と一括りにしていますが内部ではそれぞれの出身地ごとに確執もあるようで一枚岩とは到底いえないようです。
 タバコは、主役以外の手下どもが喫煙しました。時代のせいかFBIのオフィスでも喫煙していました。(☓)製作にあたってはタバコ会社の援助は受けていないようですが。


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信長協奏曲(ノブナガコンツェルト)

2016-01-28 | 2016日本語映画評


「信長協奏曲(ノブナガコンツェルト)」 松山博明監督 ☓

 原作は石井あゆみのコミックでテレビドラマの劇場版です。
 歴史が苦手の高校生サブロー(小栗旬)がタイムスリップし、自分とそっくりな信長と出会い、信長として生きることを頼まれます。本物の信長は目だし頭巾を被って顔を隠し、明智光秀として信長を支えます。性格が素直で「平和になろうよ」という思いが強いサブロー信長は次第に側近たちから信頼も得て「太陽」に例えられるほどになります。よく思わないのは「サルくん」こと秀吉(山田孝之)で信長と光秀の二人を同時に滅ぼす作戦を立てるのでした。
 一般のイメージとは異なる信長や秀吉がちょっと意外ですが、歴史なんてみんな時々の権力側の都合で書かれているので、2016年らしい本能寺があってもおかしくはありません。また、テレビを観ていない観客用に冒頭で一気に流れを説明した部分はテンポもよく期待が持てました。が、妻の帰蝶(柴咲コウ)とのお涙頂戴場面はすっかり間延びしてしまいました。せっかくの高校生にも楽しめる新感覚時代劇が、女子高生向きラブストーリーに中途半端に変わってしまいました。暴力の連鎖では何も解決しない、平和な社会を目指そうというメッセージに集中してほしかったです。
 タバコは、信じられないことにサブロー同様タイムスリップしているヤクザ(古田新太)が現代のタバコを持っていて喫煙しました。(☓)


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Re:LIFE ~リライフ~

2016-01-27 | 2016外国語映画評


「Re:LIFE ~リライフ~」 マーク ローレンス監督 米 ◯
 
 オスカー脚本賞を受賞後15年間スランプだった脚本家が生活のために大学の講師として人生をやり直す物語です。
 キース(ヒュー グラント)は脚本家として幾つもの製作会社に売り込みますが、相手にされずいよいよ電気料金さえ払えなくなっていました。そこで田舎の大学の講師の仕事をいやいや引き受けます。職員の懇親会では過去のギャグが今も受けるかと調子に乗りますが周囲はドン引き、女性教授にはセクハラ発言をし、敵に回してしまいます。その上、受講者は好みの女子学生と妙な男子学生を選び、やりたい放題をします。しかし、受講生のひとりでシングルマザーのホリー(マリサ トメイ)と出会い「脚本を書くこと」の意味を気付かされ、キースの気持ちも少しずつ変わっていくのでした。
 受講生も周囲の教授たちも個性的で大人の会話が楽しい作品です。特に受講生の「映画を愛する」それぞれの思いが監督の映画への思いを代弁しているようで、映画ファンにはより楽しめる作品です。
 タバコはなし。無煙です。


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チャンス商会 ~初恋を探して~

2016-01-26 | 2016外国語映画評


「チャンス商会 ~初恋を探して~」カン ジェギュ監督 韓国 △→◎ PPマルボロ緑 ☆

 孤独死を覚悟した一人暮らしの男性に訪れたちょっと訳ありの人生最後の恋を「シュリ」の監督が切なく描きました。
 チャンス商店で働くソンチル(パク クニョン)は口うるさい頑固者です。地域の開発計画に対してもひとり反対をしていました。商店街のメンバーはなんとか再開発を認めるハンコを押させるため
いいろいろ考えます。そんな時ソンチルの隣に引っ越してきた花屋のグンニム(ユン ヨジョン)と出会います。チャンス商店の社長をはじめ商店街の面々はソンチルに恋の手ほどきをし、ふたりはデートを重ねます。しかし、この二人の間には実は「嘘と秘密」が隠されていたのです。
 痴呆症の症状を巧みに織り交ぜ、地域の人々や商店の家族などみんなが二人を気にかけている暖かい物語です。(ネタバレになるのでこれ以上の言及は避けます。)脚本が素晴らしく、結末を知ってからもう一度観てみたい作品です。テーマは重くても随所に笑いがあり救われます。(☆)
 タバコは、こちらもたいへんおもしろい扱いで、高校生の娘が父親のタバコを数本盗んだり箱ごとポケットに入れたりします。実はこれは「親戚のおじさんが肺がんで死んだから父親には吸わせたくない」からだったのです。ラストシーン、その父親が喫煙する場面ではソンチルが「吸うな」とタバコを取り上げます。(△→◎)ただ、マルボロメンソールのパッケージは何度も映ります。(PP) 



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セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター

2016-01-23 | 2016外国語映画評


「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」 仏ブラジル伊
   ヴィム サンダース、ジュリアーノ リベイロ サルガド監督  ◯ ☆☆

 「トゥアレグの盲目の女性」の肖像写真に衝撃を受けた映画監督のヴィム サンダースがフォトグラファー「サルガド」の人生を、サルガドの息子ジュリアーノとともにドキュメンタリーにしました。
 自然豊かなブラジルの田舎で生まれたセバスチャンは、エコノミストとして活躍しますが、妻が仕事で使っていたカメラを手にしたことがきっかけで写真に興味を持ちます。その後、アフリカの難民キャンプやブラジルの金鉱労働者など戦争や労働をテーマに撮り続けました。ルワンダ内戦のあまりに悲惨な人々を見て以来セバスチャンの心は折れてしまいます。妻のレリアは、今も地球上に残る未開の場所を撮影することを提案し、壮大なプロジェクト「ジェネシス」が始められました。ブラジルに戻ったセバスチャンは故郷が荒廃していることに心を痛め、妻とともに熱帯雨林再生活動に取り組みます。現在では私有地に植林した200万本の樹木が森になり、そしてその私有地が国立公園となり、その再生方法は各地に広げられています。
 それぞれのテーマごとに撮影された写真は「フォトグラファーの意味は、光で描く人」という言葉通り、光と影で「人々の人生そのもの」を描き出します。サルガドの写真はもちろん素晴らしいのですが、サンダース監督の編集が巧みで人間は愚かなことをたくさんするけれども希望を生み出すこともできるという大変説得力のある作品に仕上げました。(☆☆)原題は「Le sel de la terre」(地球の塩)」なので、邦題の「地球へのラブレター」っていうのはちょっと甘すぎるのではないでしょうか。
 タバコは、古い写真の中に映っていましたが、無煙です。(◯)


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ひつじ村の兄弟

2016-01-22 | 2016日本語映画評


「ひつじ村の兄弟」 R15+ グリームル ハウコーナルソン監督 アイスランドデンマーク △
 
 アイスランドの小さな村を舞台に、純血種の羊を守るため40年不仲だった兄弟が起こす珍騒動を人間味豊かに、ちょっと可笑しく描きました。カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリ作品。
 人口より羊のほうがずっと多い(統計的には4倍)自然豊かな村で、隣同士なのに40年間口も聞かない老兄弟はそれぞれアイスランディックという家畜用としては世界最古の品種の羊を飼っています。ところが、羊の疫病が出てしまい全頭殺処分しなければならなくなってしまいました。先祖代々守ってきた品種が途絶えてしまうことを恐れた兄弟がしたこととは・・・。 
 主役の羊が凛々しく立派です。内容は深刻ですが、兄弟の間を行き来する牧羊犬が微笑ましかったり、兄弟色違いのおそろいのセーターが可愛かったり、その上おじいさんのすっぽんぽんが笑わせてくれます。(このすっぽんぽんのためにR15+になったようですがそれほど刺激的でしょうか。ちなみに、「FOUJITA」では女性のすっぽんぽんがでてきますがこちらはPG12です。)
 アイスランドは世界平和度第1位、男女平等度第1位、男性長寿第1位、乳児死亡率世界一低いという地味ですが国民は豊かに暮らしている社会のようです。(チラシより)
 タバコは主な登場人物は喫煙しませんが、周囲で数回喫煙がみられました。(△)


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ベトナムの風に吹かれて

2016-01-21 | 2016日本語映画評


「ベトナムの風に吹かれて」 大森一樹監督 △
 
 ベトナムで日本語教師として働くみさお(松坂慶子)が認知症の症状が出始めた母親をベトナムに連れて来て一緒に暮らす中で、気付かされたり出会ったりしたことを描いています。
 父親が亡くなり新潟の実家に帰ったみさおは、母親のシズエ(草村礼子)が夫の死も理解していないことを知ります。後妻の母親にとって血縁者はみさおひとりでした。そこで、シズエをベトナムに連れて戻ります。はじめはどこにいるのかもわからないシズエでしたが、近所の人や日本語学校の生徒、在留の日本人たちに囲まれ楽しく暮らしていました。そんな時、みさおの青春時代の仲間小泉(奥田瑛二)と再会します。心ときめくみさおでしたが、シズエが思わぬケガをしてしまい歩くことが困難になり、みさおの介護生活は厳しいものになるのでした。
 元日本兵に捨てられた母子、ベトナム反戦運動、その上に介護の問題まで絡ませながらも松坂と草村の軽やかな演技でさわやかな作品となりました。
 性同一性障害の男性を「オカマ」と何度も表現していましたが、差別表現なのではないでしょうか。
 タバコは、ほとんど出なかったのですが、元日本企業社員で今はシクロの運転手をしている日本人の若者が画面の端のほうで喫煙していました。(△)タイを筆頭に国をあげてタバコ対策をしているアジア諸国のほうが日本よりずっと市民レベルでタバコの正しい情報があり、町中で喫煙しているのは大体が観光客です。海外で仕事をする場合はタバコに関して後進国の日本の常識を持ち込むのは大変危険ですね。
 

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裁かれるは善人のみ

2016-01-20 | 2016外国語映画評


「裁かれるは善人のみ」 アンドレイ ズビャギンツェフ監督 ロシア  ☓☓☓☓☓

 アメリカで実際に起きた再開発を巡る悲劇的事件を元に、無実の罪を問われ財産を失った男の物語や旧約聖書、トマス ホッブズの「リヴァイアサン」などを織り交ぜ、舞台をロシアの北部に設定して、理不尽な悲劇と圧倒する自然、そして立ちはだかるロシア正教会の雄大なドラマに仕上げました。
 入江に面した小さな町で自動車修理を営むコーリャは妻リリアと息子の3人で暮らしていました。強欲な市長ヴァディムはコーリャの土地を買収しようとします。コーリャは友人で弁護士のディーマをモスクワから呼び裁判に臨みます。ディーマはヴァディムの悪事を明るみに出すと交渉しますが、悪事にかけてはヴァディムの方がずっと上手であれよあれよというまにディーマもコーリャもリリアも息子も不幸のどん底に落とされて行くのでした。
 真に神を必要とする人には背を向け、裕福な者達のみに微笑む絢爛豪華な教会、権力を握るものだけが持つ暴力的支配、不平等な社会を「これでもか」というほど描いています。それでも私たちは正直に生きなければいけないのでしょうか。
 辛い物語ですが、映像の美しさと音楽が観客への救いとなっています。
 タバコは、登場する大人のほとんどが喫煙者で、(☓☓☓☓)少年も喫煙します。(☓)奇妙なことに悪役は喫煙しません。悪役の俳優はかなりメタボで喫煙すると危険だったのかもしれません。また、ウォッカなどをがぶ飲みし、その上車の運転もしてしまうというロシアのいい加減さはいかがなものでしょうか。


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FOUJITA フジタ

2016-01-19 | 2016日本語映画評


「FOUJITA フジタ」 小栗康平監督 日仏合作 ☓☓
 
 世界的な画家藤田嗣治の1920年代のパリでの美女と音楽と画家たちとの狂乱の時代と、1940年代の戦時の日本での戦争協力者としての地味な時代を対照的に描きました。パリの街の美しい風景と日本の自然の美しい風景とどちらも絵画の世界のようです。
 「乳白色の肌」の裸婦を描き、パリの寵児となったフジタ(オダギリジョー)は美しいモデルたちやアーティストに囲まれた日々を送っていました。
 戦争が始まると日本に戻り、自然豊かな田舎に疎開し、「戦争協力画家」として日本で陸軍の専属画家となります。
 フジタに対する評価や批判は一切なく、2つの世界を生きたひとりの男の物語としてシンプルな内容です。自画像にそっくりなオダギリがどちらのフジタも自然に演じていました。ちなみに最終的には戦後フランス国籍となったことを映画ではふれられていなかったことが残念です。
 タバコは、パリの場面ではフジタをはじめ多くの人が喫煙していました。(☓)日本の場面では藤田が一度喫煙しました。(☓)


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白鯨との闘い

2016-01-18 | 2016外国語映画評


「白鯨との闘い」 ロン ハワード監督 米 △
 
 メルヴィル(ベン ウィショー)が「白鯨」を書くために1819年に起きた捕鯨船「エセックス号」難破事件の生き残りの当時少年だった乗組員を訪ねるところから物語は始まります。
 ベテランの一等航海士のオーウェン(クリス ヘムズワース)と21人の乗組員は大海へ鯨油を求め出航します。名ばかり船長ポラード(ベンジャミン ウォーカー)は経験もないのに強引な指示を出し、いきなり台風の洗礼を受けます。なんとか切り抜け幸先良く1頭を仕留めたもののその後はぱったり鯨と出会えません。保険会社や株主などの期待を背負っているため帰るに帰れず、噂で聞いた南米4800キロ沖へ向かいます。そこには群れをなして鯨がいましたが、その群れを守るかのような巨大なマッコウクジラが「エセックス号」を襲うのでした。そして、小さな3艘のボートで難を逃れた乗組員たちの90日もの漂流が始まるのでした。
 見どころは台風の再現と当然のことながら「白鯨」との戦いの場面です。しかし、それ以上に食料や水が制限された漂流の間生き残った彼らが取らざるをえなかった行動は何だったのでしょうか。決して真実を語ってはならない、という真実とは・・・。
 また、最後に土からも油が出てきたという話があり、鯨油の時代も終わりを告げていました。
 タバコは、ほとんど無煙だったのに残念なことにラストの事故の審問会場の後ろのほうでパイプを吹かしている人がいました。(△)エンドロールには「タバコ産業の支援はうけていません。」


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