無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「香川一区」

2022-01-29 | 2022映画評


「香川一区」 大島新監督 ○

 2020年大島監督のドキュメンタリー映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」の続編で主人公は小川淳也議員で、今作では選挙戦に密着したドキュメンタリーです。

 香川一区は高松市と海の向こう小豆島を選挙区に持つ保守地盤の選挙区です。デジタル大臣となった平井卓也議員が相手となります。その上なんと維新まで立候補をし、小川候補は取り下げを頼みに行って顰蹙をかってしまいます。それでもSNSで自分の気持を伝えなんとか挽回しますが果たして純粋まっとうな小川の思いは有権者の投票行動に届くのでしょうか。

 一番多いシーンは小川が最敬礼(90度の礼)をする場面です。どんな相手に最敬礼で対応します。そして、こう言っては難ですが平井陣営の昭和そのものの選挙行動で、カメラを持つ女性に対しての高圧的な態度は全く腹立たしいし、まるで「なぜ君は」が選挙PR映画であるかのようないやがらせは「映画見てないでしょ。見てから言え!」と言ってやりたい。
 でもまあ、冒頭では平井議員もきちんとインタビューを受けていたのでちょっとは大人の対応をしていましたが・・・。
 選挙の裏話が色々知れて大変勉強になりました。人々の思いを選挙で反映させるためにはなにはともあれ投票率を上げることですね。
 最も印象的だったのは、小川の昼食が玄米(たぶん)のおにぎり3個という地味な食事でした。こういうところが信頼できる要素です。

 タバコは、なし。無煙です。


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「むんじゅる笠〜瀬底島の笠〜」

2022-01-28 | 2022映画評



「むんじゅる笠〜瀬底島の笠〜」 城間あさみ監督 ○
 
 むんじゅるというのは沖縄の言葉で「麦わら」のこと、麦わらで編んだ笠をさします。その笠と瀬底島の民俗、歴史を紹介したドキュメンタリーです。
 瀬底島というのは沖縄本部半島の西側海上にある周囲およそ8キロの小さな島です。1985年に橋で繋がりましたがそれまでは船で半島と行き来しなければならず雨の少ない年などは水不足にも困ったそうです。現金収入の一つとして昔から麦を育てその茎で日除け用や琉球舞踏用の笠を作っていました。

 映画では、現役の製作者大城善雄の制作手順とともに村の神人ウフシニヘーでもある彼が島で行われるさまざまな行事での姿を描いています。
 手仕事の美しさ、伝統行事の厳かさ、そして貧しいながらも自然とともに生きていますが、時代とともにそのどれもが消えていくであろうと危惧されます。映画という形で残したことに感謝したいです。

 タバコはなし。無煙です。


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「ヴォイス・オブ・ラブ」

2022-01-28 | 2022映画評


「ヴォイス・オブ・ラブ」 ヴァレリー ルメルシエ監督 仏カナダ ✗

 「タイタニック」のテーマが大ヒットしたセリーヌ ディオンの生涯を基にした作品で監督自身が主役を演じています。

 カナダのケベック州で14人兄弟姉妹の末っ子に生まれたアリーヌは音楽一家の中で歌を歌うことが大好きでした。12歳のとき兄が彼女の歌を売り込みます。有能なマネージャーの力もあってトントン拍子に売れっ子となります。カナダだけではなく英語を完全マスターし英語圏にも売り込みます。一方26歳も年上のマネージャーに恋をし母親の反対にもめげずなんとか結婚にこぎつけます。しかし、ある時急に声が出なくなってしまうのでした。

 リムジンやプライベートジェットに乗って世界を回っていますが、母親と夫との対立や不妊に悩み、やっと母親になったのだから実は早く家に帰って子どもと過ごしたい、という働く女性の葛藤も描かれています。
 歌はヴィクトリア シオが担当ですが、音楽も堪能できます。

 タバコは、母親が喫煙しました。(✗)


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「サンマデモクラシー」

2022-01-27 | 2022映画評


「サンマデモクラシー」 山里孫存監督 ○太秦

 「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」に続く、沖縄テレビ制作のドキュメンタリー映画2作目です。
 1963年米軍占領下の沖縄でサンマにまでかけられていた税金に対し裁判を起こした玉城ウシを主人公にその裁判から多くの問題が派生し一気に沖縄のデモクラシーを問いかける活動が始まりました。

 「沖縄の映画は観るのが辛い・・・。」という印象を払拭する演出でうちなー落語家の志いさーの軽妙なナビゲートと川平慈英の明るいナレーションが生きています。それでいながらいつの間にか沖縄の戦後の歴史、特にキャラウェイに代表される高等弁務官のやりたい放題の“どこがデモクラシーの国”?という腹立たしい真実も突きつけています。当時の沖縄を代表する瀬長亀次郎だけでなくウシや下里恵良など今まではあまり紹介されなかった人々も活躍します。
 笑って泣ける作品です。沖縄関係者だけでなく多くの人に見てほしい今年を代表するドキュメンタリーです。

 タバコは、なし。無煙です。(ただ、昔の写真にタバコを手にしているものはありましたが。)


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「ボストン市庁舎」

2022-01-26 | 2022映画評


「ボストン市庁舎」 フレデリック ワイズマン監督 米 ○

 監督の故郷でもあるマサチューセッツ州ボストンの市長マーティ ウォルシュと職員の仕事を追ったドキュメンタリーです。
 大都市ボストンは多様な民族の人々が暮らし文化も様々です。市役所のしごとも警察、消防、保健衛生、教育、福祉など数百種類です。市役所に入ったカメラは市長のスピーチする姿を中心に次々に仕事ぶりを紹介します。
 自身がアイルランドからの移民の末裔なので現在の移民たちにも温かい対応をしています。食べられない人には食事を、家のない人には住宅をと市民の代表と話し合いながら事業を進めます。合間にボストンのあちらこちらの町並みなどが映し出され行ってみたくなります。

「みなさんのために私たちは仕事をしています。」ときっぱり言い切れる市長の姿は感動です。スピーチをするときにもほとんどメモなど見ないで自分の言葉で伝える姿はどこかの国の政治家に学んでほしい姿です。

 タバコは、なし。無煙です。


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「雨とあなたの物語」

2022-01-25 | 2022映画評


「雨とあなたの物語」 チョ ジンモ監督 韓国 ○

 「切手を貼った手紙」をきっかけに物語を紡ぎ出します。
 韓国のソウルに住む浪人生ヨンホ(カン ハヌル)は面白くもない浪人生活でしたがふとしたことから小学校時代の忘れられない少女コン ソヨンに手紙を書きます。実はソヨンは病気で妹のソヒ(チョン ウヒ)が「質問しない、会いたいと言わない、会いに来ない」ことを条件に代わりに返事を書き二人の文通が始まります。その手紙はヨンホの日常に光を与え自分の人生を真剣に考え行動する原動力ともなるのでした。そして、「12月31日に雨が降ったら会おう」という確率の非常に低い約束をするのでした。

 穏やかな展開の情緒あふれる作品です。携帯電話の普及、生活の変化、などが織り込まれつつもヨンホの父親が革職人だったり、ソヒの家が古本屋だったり、手紙だけでなくアナログの地道な暮らしが描かれます。「切手を貼った手紙」を誰かに出したくなります。暗い暴力映画が人気の韓国映画とは真逆の作品です。

 タバコは、なし。無煙です。


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「ユンヒへ」

2022-01-23 | 2022映画評


「ユンヒへ」 イム デヒョン監督 韓国 ✗✗✗✗

 20年も離れていたかつての恋人たちが1通の手紙がきっかけとなって再会するラブストーリーで、小樽を舞台に描きました。
 韓国でシングルマザーとして娘を育てているユンヒ(キム ヒエ)のもとに日本の小樽に住むジュン(中村優子)から手紙が届きます。先に読んだ高校生の娘セボム(キム ソヘ)は若かった頃の母親の秘密の姿を知ります。セボムはなんとか二人を会わせようとボーイフレンドの協力を得ながら小樽へ母親と向かうのでした。

 高校生の自分と同じように「おばさん」になった母親にも青春時代があり恋もしていた、と同様に誰にもそういう思い出の一つや二つは人生を豊かにしていることでしょう。
 
 タバコが多すぎてテーマの美しさを汚しています。タバコを持つ母親の写真が「かっこいい」って昭和60年代?現在の高校生が喫煙するし主人公二人が喫煙者で、特にジュンは獣医なのに喫煙者って時代遅れも甚だしい。タバコ臭いとワンちゃんに嫌われますよ。母親が高校生の娘からライターを借りるのもタバコを肯定的に描いています。韓国の映画祭で賞をとっているようですが映画祭とタバコって関係があるのでしょうか・・・?


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「コンフィデンスマン JP 英雄編」

2022-01-22 | 2022映画評


「コンフィデンスマン JP 英雄編」 田中亮監督 ○東宝

 人気ドラマ劇場版の3作目です。
 ダー子(長澤まさみ)ボクちゃん(東出昌大)リチャード(小日向文世)のいつものメンバーを中心にかつて悪しき大富豪から美術品を騙し取り貧しいひとびとを救った「ツチノコ」の名をかけ騙し合いが始まります。ターゲットはマフィアが所有している幻のギリシャ彫刻「踊るヴィーナス」、舞台は世界遺産になっているマルタ島バレッタです。

 前2作で騙しのテクニックはいろいろ学んでいるので登場人物の誰もがちょっと怪しいのですが今回もそこまでやるかというくらい騙されます。謎解きの作品ですが、ホラー系の演出が皆無でその上暴力も控えめだしハダカのからみも無く、長澤まさみはじめ明るく楽しいキャラクターでコメディとして家族揃って安心して鑑賞できます。
 その上エンドロール後のミュージカル「鳥獣戯画」も楽しいです。場内が明るくなるまで決して席を立たないこと。

 タバコは、なし。無煙です。タバコ好きの江口洋介が出演するので心配でしたが無煙でした。


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「クライ・マッチョ」

2022-01-19 | 2022映画評


「クライ・マッチョ」 クリント イーストウッド監督 米 ○NTS

 1975年にリチャード ナッシュが発表した小説をクリントウッドが監督、主演で映画化しました。
 今は落ちぶれたロデオスターのマイク(クリント イーストウッド)に昔の恩人からメキシコにいる実の息子ラフォ(エドゥアルド ミネット)を母親の元から誘拐してきてほしい、と頼まれます。渋々引き受けたマイクはメキシコで豪邸に暮らす母親から「息子はどうしょうもない不良で家も出て今は闘鶏でもやっている。」と言われます。「マッチョ」と名付けられた愛鳥で勝負に挑むラフォを見つけます。親の愛を知らず人を信頼できない生意気なラフォとマイクの前に次から次へと難題が襲いかかるのでした。

 警察に追われた二人を匿ってくれた女性との出会いは時代を反映させています。マイクは料理も一緒にするし、子どもの世話もするし、ただ威張っている男ではありません。英語とスペイン語の壁を手話で簡単に超えてしまうという子どもの存在も印象的でした。闘鶏のマッチョくんもいい演技でした。
 クリント イーストウッドも主演はこの作品がラストかな。次回からは監督に専念したほうが無難です。

 作品には関係ありませんが、平日の昼間という時間帯で観客に「じいさま」が多く、シニア層のわがままな態度が目立ちました。ポップコーンはガリガリ食べるし、携帯電話が鳴ればなんと話し出しちゃって「ああ、あの件ね、どうなってるんでしたっけ?はいはい、わかりました。そのようによろしくおねがいしまーす。」って感じで平気でしゃべっているし、「今の年寄は・・・。」マナーを弁えてほしいものです。

 タバコは、なし。無煙です。


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「クナシリ」

2022-01-14 | 2022映画評


「クナシリ」 ウラジミール コズロフ監督 仏 ○

 現在はロシアが支配している北方領土の国後島をフランス人の監督がドキュメンタリー映画にしました。1万7千人の日本人が住んでいた国後島には今もその痕跡が残っています。一人の島民は茶碗のカケラ、寺の土台、何かの金属片など痕跡を掘り出して日本人の暮らしを思い出させます。当時を知る高齢者は「日本人の生活は文明的だった、日本人が漁の仕方などを教えてくれた。」と懐かしみます。一方政府関係者は「ここはロシアだから・・・。」「返せと言われても今はロシア」と繰り返します。

 犬ぞりで走り回りアイヌの生活を真似しようとする人、ロシア人なのにトイレもない住宅に住んでいる人など様々な人が登場します。そしてもっとも華やかなのは戦勝記念日の軍事パレード、イベントです。
 政治的な偏りなく島の現実を描きました。日本人が来れば島はもっと産業が豊かになると期待する人もいるのに、日本人は島には入れないというのが残念です。

 タバコは、なし。イベントなどでもタバコを吸う人はいませんでした。


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