無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

オケ老人!

2016-11-24 | 2016日本語映画評


「オケ老人!」 細川徹監督 ◯

 荒木源原作の小説を映画化しました。
 高校教師の千鶴(杏)は地元のオーケストラの演奏会に感動し、バイオリンを再開します。しかし、ちょっとしたミスで老人だらけの弱小オーケストラに入団してしまいます。団長の野々村(笹野高史)をはじめみんなに歓迎され、一度は指揮を担当したものの、悩んだ末本物の交響楽団の入団テストを受けます。ちょうどその頃フランス人の有名指揮者が指揮をするため訪れ、そこから意外な方向に物語は進んでゆくのでした。
 ベテラン俳優が醸し出す笑いと「ロミオとジュリエット」風の高校生の恋物語、に加えて「音楽は楽しむもの」「いくつになっても好きなことを楽しむ」「古いものを大切に使う」と言ったメッセージが込められ楽しい作品となりました。もちろん音楽も楽しめます。
 エンドロールで「古いものも修理をする店」と「安売り大型店」の合体が紹介されます。最後まで座ってみましょう。
 タバコは、なし。無煙です。


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ミュージアム

2016-11-23 | 2016日本語映画評


「ミュージアム」 大友啓史監督 ☓☓☓!

 巴亮介原作の人気サイコスリラー漫画を小栗旬主演で実写映画化しました。
 雨の日に起きる連続猟奇殺人事件を追う刑事の沢村(小栗旬)らは被害者にある共通点があることに気づきます。その共通点というのは実は沢村の妻遥(尾野真千子)にもあてはまることでした。担当を外された沢村は自分の妻と息子を救うためにひとりで犯人を追い詰めていくのですが・・・。
 「みせびらかし殺人鬼」という設定なので生々しい遺体が映し出されますが、こういったグロテスクな描写も過ぎるといつのまにか慣れてしまい最初の驚愕が薄れてしまうのが人間の感覚なのでしょう。そのあたりは「見せずに怖がらせる」手法をもっと勉強したほうが色褪せなくていいのではないでしょうか。同様のことは「カエル男」の特殊メイクにもいえます。あれではどこが妻夫木くんなのか声しかわからないですね。
 また、警察組織に女性の職員が一人もいないというのはいまどきおかしいのではないでしょうか。
 この手の作品を見るたびに「羊たちの沈黙」はすごかったと再確認してしまいます。もちろんヒッチコックの「サイコ」もすごい。
 あれこれ注文はありますが、「裁判員制度」「死刑制度」「冤罪」などについて再考させるきっかけになるかもしれません。ネタバレになるので明言は避けますが「あの病気」についても。
 タバコは、主役の小栗がたびたび喫煙、それも警察車両の中で喫煙する場面がありましたが、車内は禁煙にしましょう。「(タバコを)止めたんじゃなかったのか」という問いかけに「吸っていたほうが体調がいい」という内容の返事をしていましたが、それは「ニコチン依存症」というりっぱな病気だからです。上司役の松重豊もなぜか漫画喫茶の捜索中に喫煙。ギャグなのか「動物を虐待していません。」というクレジットがでましたが俳優は動物ではないということでしょうか。


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この世界の片隅に

2016-11-22 | 2016日本語映画評


「この世界の片隅に」 片渕須直監督 ☓ ☆☆

 こうの史代原作の漫画をアニメ化しました。
 第二次世界大戦下、いつもぼーっとしていますが絵を描くことが大好きな18歳のすず(声 のん)は、相手の名前すらわからないまま勧められて広島から呉に嫁いできます。嫁ぎ先の北條家ではやさしい夫と家族に恵まれ、物がない中あれこれ工夫して日常を過ごしていました。しかし、軍港の呉は次第に空襲が激しくなってきます。空襲の不発弾で、すずは大切なものを亡くしてしまいます。その上実家には新型爆弾が落とされます。そして終戦。庶民がお国のためにすべてを犠牲にして闘ってきた戦争が終わります。その時、すずはある決心をするのでした。
 「反戦」を訴える言葉などは一つもない中で、戦争中の慎ましい庶民の生活を丁寧に描くことで力強い反戦のメッセージを伝えた作品です。同じこうの史代原作で実写映画化された「夕凪の街 桜の国」で、原爆症の主人公が「アメリカは私が死ぬことを望んでいる」といったセリフが印象に残っていますが、それに対して「私は笑顔の器になる。」という今作のすずの言葉が印象的です。声優デビューした「のん(元能年玲奈)」がイメージ通りのすずを演じました。(☆)
 現在も「この世界の片隅で戦下の中、生きている人々」に思いを馳せ、心より平和を願わずに入られません。(☆)
 タバコは、キセルや紙巻タバコが登場し、残念です。(☓)タバコがなければ☆がもう一つ増えたのですが・・・。


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僕の妻と結婚してください

2016-11-12 | 2016日本語映画評


「僕の妻と結婚してください」 三宅喜重監督 ◯

 織田裕二が4年ぶりに主演しました。
 放送作家の三村(織田裕二)はバラエティ番組の放送作家で忙しく過ごしていました。ところが、突然余命数ヶ月と宣告されます。三村は「さまざまな出来事」を「楽しい」に変換することを番組作りの基本にしていました。ガン宣告後は、愛する妻(吉田羊)と息子が笑って楽しく暮らせるように「最後の企画」として自分に代わる男性を求め結婚相談所に出かけるのでした。
 登場人物は数人でこじんまりとした作品です。その反動かエンドロールで息子の陽一郎が生まれるまでを時間を逆にして紹介する場面は織田と吉田が少しずつ若くなっていて丁寧に撮影され、かなり編集で削ぎ落とされたことが伺えました。場内が明るくなるまで席に座っていましょう。
 タバコは、なし。無煙です。ひとつ三村の膵臓がんの原因としてセリフの中に「飲み会は三次会まで付き合いましょう。」という言葉があり、たぶんそういった席での受動喫煙が原因となっていたのではないでしょうか。飲み会は禁煙の居酒屋を選びましょう。


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ぼくのおじさん

2016-11-11 | 2016日本語映画評


「ぼくのおじさん」 山下敦弘監督 ☓☓☓

 北杜夫が自分自身をモデルに書いた小説が原作です。
 小学生の雪男(大西利空)は学校の宿題で、居候をしているおじさん(松田龍平)について作文に書きます。大学で1時限だけ哲学の講師をしているだけで、後は万年床で漫画を読んでぼーっとタバコをふかしています。義理の姉(寺島しのぶ)は見合いを勧めますが、相手にされません。そんな折、親戚のおばさんの紹介でハワイ在住のエリー(真木よう子)と出会い一目惚れしてしまいます。ハワイ行きたさにおじさんなりに的はずれな努力をします。おじさんの恋はどうなるのでしょうか。
 だらしがない上に要領も悪いけれど哲学的な言葉で相手を煙に巻いてしまうのが上手なおじさんを松田がひょうひょうと演じています。松田に負けていないのが雪男役の大西で、微妙な表情でおじさんのキャラクターを表現しています。作文でハワイに行けるのはちょっと話がうますぎるのでは?
 タバコは、松田が数回喫煙(☓)。子役やネコの前で平気で喫煙(☓☓)しました。
 また、ハワイで、タバコ欲しさにドラッグを買わされ逮捕される場面がありました。ハワイで日本と同じようにタバコを吸おうとすること自体無謀です。


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手紙は憶えている

2016-11-10 | 2016外国語映画評


「手紙は憶えている」 PG12 アトム エゴヤン監督 カナダ独 ◯

 いわゆるナチの残党狩りを描いた作品の範疇ですが、いくつかひねりがあり予想を超えたラストが衝撃です。
 ゼヴ(クリストファー プラナー)は妻が亡くなったことも忘れてしまうほど認知症が進んでいます。老人施設で知り合ったマックスと二人の家族をアウシュビッツで殺したナチの生き残りを成敗する計画を立て実行します。すぐに忘れてしまうセヴのためにすべての行動はマックスが手紙に書いて指示してくれました。その手紙を手に施設を抜け出したセヴは一人ずつ追い詰めていきます。果たしてセヴの復讐は叶うのでしょうか・・・。
 90歳になってもナチを追う執念が凄まじいです。日本のように戦争責任が曖昧なまま70年を過ごしている日本人とは全く違う精神性が描かれています。先日ナチの軍服にそっくりな衣装が世界的な大問題になっていましたが、関係者には是非この作品を見て歴史の勉強をしてほしいものです。
 一筋縄ではいかない展開で緊張感がある物語な上に出演者がそれぞれ好演をしていて重厚なサスペンスとなりました。
 タバコは、なし。無煙です。山のような吸い殻がはいった灰皿とビールの空き缶でそこに住む人の生活レベルを表現していました。

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溺れるナイフ

2016-11-09 | 2016日本語映画評


「溺れるナイフ」 山戸結希監督 ◯

 ジョージ朝倉原作の人気コミックを女性監督が実写映画化しました。
 中学生モデルの夏芽(小松菜奈)は家の都合で海辺の浮雲町に引っ越してきます。町で一目置かれているコウ(菅田将暉)に惹かれます。夏芽の写真集を出版する話が持ち上がり地元で撮影が行われます。コウの気持ちは収まりません。一方、写真集がきっかけとなり夏芽は事件に巻き込まれ立ち直れなくなります。そして、高校生になるころ二人の関係は切れてしまいます。このまま別々の人生を歩むことになってしまうのでしょうか。
 クライマックスには勇壮な那智の火祭りが、事件に翻弄される若い二人を象徴的に映し出されて見ごたえがあります。海中で二人が戯れる場面などは女性目線で菅田も小松も大変美しく描かれています。特に菅田は「セトウツミ」では大阪の言葉を今作では那智の言葉を流暢に使っていて俳優魂が感じられました。
 ただ、現実なのか夢なのかはっきりしない部分が残り、なんとなく未消化で終わってしまいそれが残念です。原作を読んでなくても理解できるような流れにしてほしかったです。
 タバコは、なし。無煙です。


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「湯を沸かすほどの熱い愛」

2016-11-08 | 2016日本語映画評


「湯を沸かすほどの熱い愛」 中野量太監督 ☓☓☓

 監督自身の脚本によるメジャーデビュー作。
 幸野双葉(宮沢りえ)は夫(オダギリジョー)が蒸発したため、銭湯の「幸の湯」も休業し、パートに出て、娘の安澄(杉咲花)を育てていました。安澄は「学校に行きたくない」と言います。事情を察している双葉は娘に強くなるよう促します。そんな時、双葉は余命幾ばくもないことを知らされます。生きているうちにやらなければならないことの手始めに夫を連れ戻し、銭湯を復活させます。次々と人生で抱え込んでいた幾つかの問題をきちんと精算し、その一方で新しい出会いで日々忙しく過ごすのですが・・・。
 母親と娘を軸に血縁ではなくても周囲の人を大切にする双葉を宮沢が熱演しています。オダギリは頼りにならない夫をそれらしく熱演していました。勝負下着の使い方がお見事で、安澄役の杉咲が体当たりで演じ子役を卒業かな。手話を使う場面も好感が持てました。現実的には一人で抱え込まず、もっと誰かに頼ったり甘えたりしてもいいのではないかとも思います。
 タバコは、「ヘタレ夫」のオダギリが何回か喫煙(☓)。子役の前でも喫煙(☓)しました。脇で登場する松坂桃李も2回喫煙(手に持っているだけ。こんな演出はやめてほしい)しました。双葉が医者に「ストレスでガンになったのか?」と尋ねると医者が「原因はいろいろです。」と答える場面がありましたが、「原因は夫のタバコによる受動喫煙が主な原因」なのではないでしょうか。


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スター・トレック BEYOND

2016-11-02 | 2016外国語映画評


「スター・トレック BEYOND 」 ジャスティン リン監督 米  ◯

 人気SFシリーズ第3作。
 カーク船長(クリス パイン)らが乗っている宇宙船に救援を求めて宇宙人がやってきます。そして、救援のためその星に向かいますが、カーク延長のエンタープライズ号は新たな敵と遭遇してしまいます。彼らは戦いに負け、エンタープライズ号は敵の星に墜落し、乗組員のほとんどが敵側の捕虜となってしまいます。捕虜とならなかったカーク船長と一部の乗組員は、その星から脱出を試みようとしている女性と出会います。なんと彼女が住んでいたのは旧型の宇宙船だったのです。彼女は敵なのか味方なのか。はたしてカークらは敵の星から脱出できるのでしょうか。
 さまざまな異星人が協力して問題を解決しようとする展開には地球人も学ばなければならないのではないでしょうか。
 物語としては面白いのですが、宇宙戦争の様子がどこかで見たような場面が多く、そろそろ宇宙戦物も限界なのでしょうか。
 なお、16年6月に事故死したアントン イェルチンの遺作となりました。
 タバコは、なし。無煙です。


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デスノート Light up the NEW world

2016-11-02 | 2016日本語映画評


「デスノート Light up the NEW world」 佐藤信介監督 ◯

 人気コミックの実写版シリーズの続編です。
 前作から10年が経ち、サイバーテロが暗躍する超高度情報化社会を背景に死神によって地上に6冊の「デスノート」が落とされました。名前を書かれたら死ぬというノートを巡って、警察の対策本部(東出昌大)、名探偵「L エル」の後継者竜崎(池松壮亮)、そして「キラ」の信奉者(菅田将暉)がさまざまな手法で6冊のデスノートの争奪戦が繰り広げられるのでした。
 白と黒を中心にメタリックな色彩で前作のイメージを踏襲しています。死神がちょっとおちゃめだったりセクシーだったりして緊張感あふれる中息抜きができる場面です。
 前作では凶悪犯を粛清するという目的があり問題提起もされていましたが、今回は単なる無差別殺人をする愉快犯でしかないので物語としては軽いものになりました。まだ続くようなので次回作にはもっと社会の闇をあぶり出すような内容を期待します。
 タバコは、なし。無煙です。


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