無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

名探偵コナン ゼロの執行人

2018-06-23 | 2018日本語映画評


「名探偵コナン ゼロの執行人」 立川譲監督 △ 東宝

 青山剛昌原作コミックの劇場版22作目です。興行収入が80億に届くかもしれないというメガヒットアニメです。
 カジノを含む総合型リゾート施設が完成し、明日にはサミットが開催されるという東京のベイサイドで施設の一部が爆発事故を起こします。事件の現場には全国の公安警察を操る警視庁の秘密組織「ゼロ」に所属している安室の姿がありました。安室の行動に疑問を感じたコナンでしたが、なんと毛利小五郎が爆発事件の容疑者として逮捕されてしまいます。パソコンを自由に使えない小五郎には今回の事件を起こすことは不可能です。また、事件を起こす理由もないのです。事件の背後を突き止めるためコナンの活躍が始まります。
 ドローン、カジノ施設、宇宙探査機、といった最先端のものや技術が登場する半面、公安という不気味な存在が主役を担っているアニメーション映画としては意外な社会派ドラマとなっています。そのせいか大人の鑑賞者のほうが多いくらいです。音楽が福山雅治ということもあり女性客も目立っていました。
 タバコは、事件のさなか警視庁の喫煙ルームにのんびりした職員がいましたが、ちょっと不自然でした。(△)


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ワンダー 君は太陽

2018-06-22 | 2018外国語映画評


「ワンダー 君は太陽」 スティーブン チョボウスキー監督 米 ◯

 R ・J パラシオのベストセラー小説「ワンダー」の映画化です。
 「スターウォーズ」が好きで宇宙飛行士に憧れるオギー(ジェイコブ トレンブレイ)は10歳になって初めて学校に入学します。遺伝子が原因の病気で顔に傷があることからそれまではずっと母親の元で自宅学習をしていました。父親(オーウェン ウィルソン)は「いじめられる」と反対しますが、母親(ジュリア ロバーツ)は今年がチャンスと入学手続きに学校へ行きます。学校では3人の同級生が学校案内のためオギーを迎えるのですが・・・。
 観客の予想通り、オギーは仲間はずれにされ、ペスト菌が伝染するなど根拠のないいじめを受けます。めげるオギーですが父親、母親それぞれに励まされ、その上賢いオギーは少しずつ見直されてくるのでした。親友ができたかと思いきやオギーの大好きなハロウィンの日にショッキングな出来事が起き観客は再び途方にくれてしまいます。
 健気なオギーが泣かせます。オギーの視点だけでなく姉オリヴィアの気持ちやオリヴィアの友達の視点からも描かれ「お涙頂戴の難病もの」とは一線を画しています。両親をはじめ子役たちが名演技を見せます(犬のデイジーも)。唯一悪役なのは「ある同級生」のお金持ちの両親ですが、あの親に育てられる彼がちょっとかわいそうでした。
 タバコは、なし。無煙です。(◯)


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空飛ぶタイヤ

2018-06-21 | 2018日本語映画評


「空飛ぶタイヤ」 本木克英監督 ◯ 松竹 無煙映画賞候補

 池井戸潤原作、大企業の隠蔽体質と闘う中小企業の社長と企業内の良識ある社員、メディアなどを人気と実力のある俳優を存分に起用した大人が楽しめる「社会派娯楽映画」です。
 走行中のトレーラーからタイヤが外れ、歩行者に激突し死亡する大事故が起きます。運送会社の社長赤松(長瀬智也)は整備不良を疑われます。しかし、車両本体の欠陥があったのではないかと調査を始めます。一方、赤松のしつこい問い合わせに自動車会社の内部からも「リコール隠し」の内部告発者が現れるのでした。
 長瀬を始め自動車会社の顧客担当課長沢田にディーン フジオカ、自動車会社の系列メガバンクの担当者に高橋一生、週刊誌記者に小池栄子、そして悪役の自動車会社常務取締役が岸部一徳と役者が勢揃いです。脇には笹野高史、ムロツヨシ、佐々木蔵之介など実力派を揃え、すべての出演者が素晴らしい演技の競演を見せました。個性の違うメンバーがひとつの悪に向かって戦う姿は「アベンジャーズ」の印象です。(表現方法はまったくちがいますけど)多くの犠牲を払いながらも「正義が勝つ」というシンプルな内容は「映画という媒体の面白さ」を再確認させてくれます。松竹は「気分スッキリ、明日も頑張ろう系」の作品はうまいですね。
 タバコは、なし。無煙です。「赤松運送」などの現場に「構内禁煙」の文字が映りました。バーや飲食店の場面もたくさんありましたがどの場面も無煙でした。
 また、財閥企業が週刊誌の記事を握りつぶす経緯の中では、「広告費をばらまいているから云々」といったセリフがあり、タバコの真実をマスコミが伝えない理由と全く同じ構図が語られ、感動でした。

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終わった人

2018-06-16 | 2018日本語映画評


「終わった人」 中田秀夫監督 ◯ 東映

 内館牧子原作の小説を「リング」の中田監督が映画化しましたが、ホラーではなくどちらかといえばコメディです。
 東大法学部卒メガバンクのエリートだった田代壮介(舘ひろし)はあるときから出世コースをはずれ子会社に出向後定年を迎えました。仕事一筋の生活だったため「毎日が日曜」になりすることがありません。妻(黒木瞳)は現役の美容師で自分の生活が充実しています。「濡れ落ち葉」になりそうな壮介に「恋でもしたら」などいうのでした。そんなある日古書店で自分が手にした石川啄木の本と同じ本に興味を示していた女性(広末涼子)に出会います。そこから新しい壮介の日々が始まるのですが・・・。
 朝起きても予定がないことの不安さ、どこへ行ってもシニア層ばかりの現実、東大卒がかえって再就職の邪魔になることなど同世代の観客には苦笑を誘います。その上やっと再就職した先での思わぬトラブルなど壮介の奮闘が痛々しくもなります。それでもふるさとが暖かく迎えてくれ救われました。
 定年後の夫婦のあり方のひとつを提示しています。広末と妻のいとこ役の田口トモロヲの存在が暗くなりがちなテーマを明るくしています。期待以上の面白さでした。
 タバコは、なし。無煙です。同窓会の場面も無煙で良かったです。


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羊と鋼の森

2018-06-15 | 2018日本語映画評


「羊と鋼の森」 橋本光二郎監督 △ 東宝
 
 宮下奈都が本屋大賞を受賞した小説の映画化です。
 将来の希望が見いだせなかった高校生の外山(山下健人)は学校でたまたま出会ったピアノ調律師の板倉(三浦友和)の仕事をする姿に魅せられ調律師の道へ進みます。板倉のもとで修行をすることになりますが、「どうしたらいい調律師になれるのか」深い森で迷っているように悩み苦しむのでした。しかし、先輩の柳(鈴木亮平)や佐倉姉妹(上白石萌音、上白石萌歌)をはじめとするさまざまなひとびととであうことで成長するのでした。
 タイトルが示すように羊の毛のフェルトが鋼の弦を叩くことでピアノの音が出ていることや、一つの音を出すためにたくさんのパーツが支えていることなどピアノは知っていても新鮮な知識を得ることができます。
 派手なアクションやキラキラ映画とは一線を画した真面目な青春映画は貴重です。働く人が主人公の作品は未成年者にもおすすめですね。
 当然かもしれませんが音楽も素晴らしいです。(久石譲、辻井伸行)
 個人的には一言もセリフがなかったけれど、妙な存在感があった森永悠希が良かったです。
 ピアノの映画といえば名作「ピアノレッスン」がありますが、あのラストを彷彿とさせる場面もありました。オマージュというのでしょうか。
 タバコは、ライブハウスの受付の若者が喫煙していました。最近はライブハウスも禁煙が当たり前なのではないでしょうか。(△)


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万引き家族

2018-06-14 | 2018日本語映画評


「万引き家族」 PG12 是枝裕和監督 ☓☓ ギャガ

 カンヌ映画祭でパルムドールを受賞し話題になった作品です。原作脚本編集すべて是枝監督です。
 東京のビルの谷間にぽつんとある古びた小さな家に祖母(樹木希林)の年金を頼って夫婦(リリー フランキー、安藤サクラ)、妹(松岡茉優)、息子祥太(城桧吏 じょうかいり)が住んでいました。彼らの仕事は不安定なため生活費を万引きで補っているのでした。そんな一家がある幼児(佐々木みゆ)を拾い家族にします。貧しく反社会的な行動をとりながらも一家は幸せに暮らしていました。しかし、実は「ゆり」だけでなくひとりひとりにそれぞれ秘密があったのでした。
 「家族とは」を考えさせる作品です。万引きや拾い子はもちろん罪ですが、そうしなければ生きていけないような社会のひずみ、虐待で殺されるより拾われたほうが幸せな子どもがいることも今の社会の真実です。秀でた脚本と出演者の名演に支えられいろいろ考えさせられる秀作となりました。
 タバコは、建設現場へ向かうワゴン車の中で喫煙していました。労働者の健康のために車内禁煙は基本的なルールです。(☓)リリー フランキーが喫煙。安藤サクラが働くクリーニング会社の同僚が喫煙(☓)。貧しいものほど喫煙率が高い現実を表現したのでしょうか。子役の前で喫煙する場面がなかったのはよかったのですが・・・。
 

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30年後の同窓会

2018-06-13 | 2018外国語映画評


「30年後の同窓会」 リチャード リンクレイター監督 米 ☓NTS

ダリル ポニックサンの小説が原作です。戦争の愚かさを気づかせるロードムービーです。
 2003年、酒浸りでバーを経営しているサル(ブライアン クランストン)の元に30年前の旧友ドク(スティーブ カレル)が突然現れます。ドクは1年前に妻を亡くし、数日前にイラクで戦死した息子を引き取りにいくところでした。そして一緒に行ってほしいとサルに頼みます。二人は、もうひとりの戦友ミューラー(ローレンス フィッシュバーン)をたずねます。彼は牧師になって充実した生活をしているため同行を渋ります。しかし、3人の間には過去にドクに借りがあるようで断りきれず、3人でアーリントン墓地をめざしますが・・・。
 主人公3人の戦場はベトナムで、ドクの息子はイラクで戦死、遺体を運ぶ貨物列車には元湾岸戦争の兵士がいて、どの世代でも戦争の犠牲となっているのでした。
 3人の主人公がそれぞれいい演技で見ごたえがります。戦士した息子の上官がアンドロイドのように無表情で禍々しく好演しています。携帯電話が普及し始めた頃で、ラスト近くで3人が携帯を持ってはしゃぐ姿に時代を感じます。ラストにはちょっと抵抗がありますが・・・。
 タバコは、サルが葉巻を時々吸っていました。(☓)


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妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ

2018-06-10 | 2018日本語映画評


「妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ」 山田洋次監督 ☓☓ 松竹

 人気シリーズの3作目で、今回は「主婦業」がテーマです。
 平田家の長男幸之助(西村まさ彦)が出張中に妻の史枝(夏川結衣)がちょっと居眠りをしていた時に空き巣の被害にあいます。盗まれたのは史枝のへそくりでした。幸之助は空き巣に入られたこととへそくりをしていたことに腹をたて言ってはいけないセリフを言ってしまいます。史枝は誰も住んでいない実家に家出するのでした。主婦がいきなりいなくなった平田家はてんやわんやになり、家族会議で策を練るのですが・・・。
 女性の観客には拍手喝采ですが、男性(特に60歳以上)の観客にはどうでしょうか。客観的に幸之助と史枝の夫婦関係はあまりにも民主的ではないように思います。実社会では修復不能でしょう。そのあたりを弟の庄太(妻夫木聡)がうまくカバーすることができました。この辺がさすが山田洋次監督のさじ加減でしょうか。
 タバコについては、西村と橋爪功が相変わらず喫煙していました。山田監督はタバコになにか義理でもあるのでしょうか。年齢的にはふたりとも命がけの場面ですね。


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ファントム スレッド

2018-06-09 | 2018外国語映画評


「ファントム スレッド」 ポール トーマス アンダーソン監督 米 ☓

 1960年代のロンドンを舞台にファッション界で活躍したウッドコックとその恋人の関係をミステリックに描きました。
 ファッションデザイナーのウッドコック(ダニエル デイ=ルイス)は別荘で過ごしている時にウェイトレスのアルマ(ヴィッキー クリープス)と出会います。理想の体型をしているアルマをミューズとしますが、彼女の存在は彼の平穏な仕事優先の生活をかき乱してゆくのでした。そしていつのまにか彼に従っていたはずのアルマが主導権を握っていくことになるのですが。
 気難しいウッドコックを今作で引退するダニエルが好演していますが、物語の中でのアルマ同様ほとんど新人と言ってもいい相手役のヴィッキーも対等に演じています。古い建物や美しい布地それをあやつるお針子さんたちのキビキビした動きが映画を盛り上げています。
 職人(労働者)を描く映画はそれだけでも価値があります。何故かすべて手縫いでミシンをつかっていませんでしたが、あの音がきらいだったのかもしれません。
 タバコは、ウッドコックのマネージメントをしている姉が喫煙し、その他周囲でも喫煙していました。(☓)美しい布地にタバコのやきこげができたら大変ですね。


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犬ヶ島

2018-06-08 | 2018外国語映画評


「犬ヶ島」 ウェス アンダーソン監督 米 △

 アメリカ人の監督が日本を舞台に犬と人間の子どもとの関係をパペット(人形)によるストップモーションアニメで描きました。
 近未来の日本のメガ崎市では、犬の伝染病が流行り市長の独断ですべての犬をゴミの島に捨てていました。愛犬スポッツを捕獲されゴミの島に捨てられた市長の養子小林アタリ少年はひとり愛犬を救いに小型飛行機でゴミの島に乗り込むのでした。犬の世界では少年アタリの願いを叶えようと
スポッツ探しが始まります。一方、アタリ少年を追うロボット犬がゴミの島に送り出されます。少年と犬たちの運命やいかに・・・。
 ちょっと変な日本語(少年を始めとする日本人)と英語(犬たちの言葉は英語)が錯綜しそれでもなんとかコミュニケーションが取れてしまうところが面白いです。声優には豪華で個性的な人々が集まっていましたが、スカーレット ヨハンソンだけは聞き取れました。
 言葉だけじゃなくて日本の文化もちょっと「あらら?」と思う場面もありましたが、それほど奇怪でもありませんでした。
 ただ、ニュースキャスターがパイプを吸いながら登場することはありえないのでそこだけはちょっと残念です。もっとも日本のタバコ規制が遅れていることを皮肉ったのかもしれませんが・・・。(△)


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