無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

ノクターナル・アニマルズ

2017-12-31 | 2017外国語映画評


「ノクターナル・アニマルズ」 PG12 トム フォード監督 米 ☓!

 オースティン ライトの小説「ミステリ原稿」を映画化しました。
 アートディーラーとして成功しているスーザン(エイミー アダムス)ですが、夫とはうまくいっていません。そんな折元夫エドワード(ジェイク ギレンホール)から小説の原稿が届きます。
美術館のような豪邸で夜中にひとり原稿を読んでいると小説の世界に引きずり込まれてしまうのでした。テキサスの砂漠地帯を夜中にドライブしている家族3人が乗った車が襲われ、むごたらしい結果を招いてしまうというストーリーでした。スーザンは現実の世界とエドワードを傷つけてしまった過去と、そして小説の世界で混乱していくのでした。
 冒頭の「アート」がまず見どころです。かつてお祭りなどで「見世物小屋」があって「へび女」などが登場していたようですが、その感覚に近い「アート」かもしれません。次に小説に描かれる酷い事件ですが、この恐怖は「善良な市民」親子3人の絶妙な演技が光ります。悪人たちも本当に怖く確かに「夜中の獣たち」です。ただ、他にも「アニマル」はいるのかもしれません。
 タバコは、小説の中に出てくるちょっと乱暴な保安官が喫煙します。(☓)肺癌で余命が幾ばくもないので禁煙は無駄だというセリフがありました。(!)一本でも減らせば、そして一日でも早く禁煙すれば命の灯火はそれだけ長くなり犯人逮捕の可能性は高まるのですが・・・、残念です。その他悪人どもが喫煙しましたがこちらはかなりマイナスイメージでした。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カンフー・ヨガ

2017-12-30 | 2017外国語映画評


「カンフー・ヨガ」 スタンリー トン監督 中印合作 ◯

 ジャッキー チェンが中国を代表する考古学者を演じ、インド人考古学者と1000年ほど前の財宝を探す冒険アクションです。ついでにインド美女がヨガの達人なのでカンフーとヨガの見どころ満載です。
 ジャック(ジャッキー チェン)は財宝探しの依頼に来たアスミタ(ディシャ パタニ)と助手たちと共に最新のテクノロジーを使って氷河の下に眠る財宝を探し当てます。しかし、財宝を巡って1000年前の王国の末裔なる男が現れ奪い合いに・・・。財宝は誰のもとに落ち着くのでしょうか。
 ジャックのセリフにも「インディー ジョーンズみたいだ。」とありましたがまさしくその通りです。中国、インドだけでなくドバイでの超高級車のカーアクションも見どころです。そのうえ、この作品では、ゾウ、オオカミ、ライオン、ラクダ、その上なんとハイエナまで登場し動物たちが大活躍します。また、ラストはおなじみのマハラジャダンスで盛り上がり楽しい作品です。そして本当の財宝とは何なのか教えてくれます。
 ラストのおまけにスタッフ全員でダンスを踊る場面がありますが、筆者はこの場面が一番感動的でした。多くのスタッフを大切にしているジャッキーの優しい気持ちが伺えます。
 政治的には微妙な中国とインドですが映画を通して友好関係を深めていこうという製作者の試みには日本の製作者も学ぶところがあるのではないかと思います。
 タバコは、なし。無煙です。タバコ問題には10年以上前から関心の高いジャッキーですが、この点も日本の俳優に見習ってほしいところです。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ルージュの手紙

2017-12-28 | 2017外国語映画評


「ルージュの手紙」 マルタン プレヴォ監督 仏 ☓☓☓

 30年音沙汰がなかった義母と、助産婦をしている娘との関係の修復を描いた家族ドラマです。
 ベテランの助産婦として仕事が忙しいクレール(カトリーヌ ソロ)のもとに30年ぶりに父親を自殺に追い込み自分を捨てた義理の母親ベネトリス(カトリーヌ ドヌーヴ)から「会いたい」という電話があります。仕方がなく再会するとベネトリスは不治の病に罹っていました。とはいうものの真面目に働いているクレールとは異なって、お金もないのに派手な暮らしをし、酒にタバコにギャンブルという悪癖を続けていました。当初は受け入れられないクレールでしたが、相手が病気ということもあり少しずつ歩み寄っていくのでした。
 生活習慣や人生観の違いがはっきり描かれそれぞれ面白いです。出産シーンが何度もあり新生児が大丈夫なのかちょっと気になりました。
 タバコは、冒頭からドヌーヴが喫煙し、その後何度も喫煙しました。(☓☓☓)脳腫瘍という病気になったのも喫煙が誘因かもしれません。末期のガン患者に禁煙を指導することの意味について考えさせます。人間は最後まで「生きること」に希望を持つためには禁煙指導こそが人間の尊厳を大切にする医療なのではないでしょうか。また、ドヌーヴさんには失礼かもしれませんが、あの豊満な身体でタバコを吸って走るのはいくらなんでも心臓に負担が大きすぎるのではないかと大変心配でした。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ギフテッド

2017-12-27 | 2017外国語映画評


「ギフテッド」 マーク ウェブ監督 米 ◯

 天才的な数学の能力がある少女を巡るファミリードラマです。
 メアリー(マッケンナ グレイス)は生まれてすぐ母親を亡くし、父親は不明、母親の弟フランク(クリス エバンス)と愛猫の片目のフレッドとつつがなく暮らしていましたが、学校に行く年齢になります。学校ではメアリーの数学力に驚き、教員たちも天才教育校へ転校することを勧めます。フランクは「普通に育てたい」と断りますが、なんとそこへいろいろ確執がある祖母のイブリン(リンゼイ ダンカン)が現れお金に物を言わせ、親権を巡る裁判を起こすのでした。
 子どもの教育を考えさせる物語と母と娘の物語が底辺に有り、教育に関しての興味深い内容ですが、とにかくメアリーを演じた本物の天才子役が演じる素晴らしい作品です。大人でも書けない数式をスラスラと黒板に書くだけでも脱帽です。「ドリーム」でも活躍したオクタビア スペンサーがメアリーを心から大切にしている隣人役を好演しています。
 タバコは、なし。無煙です。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

婚約者の友人

2017-12-26 | 2017外国語映画評


「婚約者の友人」 フランソワ オゾン監督 仏独 ☓

 1919年、フランスとの戦争が終わったばかりのドイツを舞台に、戦死した婚約者フランツを巡ってアンナ(パウラ ベーア)とフランスからはるばる訪ねてきたフランス人の友人アドリアン(ピエール ニネ)のミステリアスなドラマです。
 婚約者の両親と娘のように暮らすアンナは墓地でフランス人の青年と出会います。彼は婚約者のフランツがパリに留学していた頃の友人だと名乗ります。元敵国の男にはじめは父親などは露骨に嫌な顔をしますが、アドリアンが音楽家であることや息子のことを心から大切に思っていたことなどを聴くうちにすっかり打ち解けます。アンナも戦争で生き残った男との結婚の話もありましたが、教養もありハンサムなアドリアンにひかれていくのでした。
 しかし、真相は全く違っていたのです。アドリアンはある罪の意識に苛まれ許しを請うためにドイツに来ていたのです。一方、アンナも真実を知った後は両親を騙し続けることに罪の意識を持つのでした。フランツとアドリアンの関係は一体何だったのでしょうか。
 青春を消耗品にしてしまう戦争の愚かさを、白黒とカラーの巧みな使い分けや自然の景色、ルーブル美術館のアートなどを織り交ぜながら美しくも残酷に描き出しました。世界が戦争モードになっていく中、映画監督としても黙ってはいられないという静かな意志を感じさせる内容です。原題は「フランツ」ですが、邦題がちょっと甘すぎてもったいないです。
 タバコは、周囲で喫煙していましたが、回数が多いので(☓)です。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

女神の見えざる手

2017-12-26 | 2017外国語映画評


「女神の見えざる手」 ジョン マッデン監督 仏米 ☓ ☆

 「敵の一歩先を読む」手法で勝ち抜いてきた天才的ロビイストの社会悪を正すための奮闘を描いた社会派サスペンスドラマです。
 エリザベス スローン(ジェシカ チェスティン)は大手ロビー会社のトップロビイストです。しかし、銃規制法案を巡って会社と対立し、クビになります。そこに現れたのは小さなロビー会社のシュミット(マーク ストロング)でそちらは銃規制に賛成する活動をしていました。「ある条件」を示されスローンは銃規制賛成のロビー活動を積極的に始めます。スローンのやり方は敵側だけでなく仲間まで騙したり利用したりすることで銃規制法に賛成する議員が増えていきます。一方、銃規制に反対している元いた大手会社はスローンの個人的なスキャンダルをさらけ出そうと躍起になるのでした。果たしてスローンは勝てるのでしょうか。
 ほとんど眠らず、満足な食事もせず、ピンホールのハイヒールで闊歩して、仲間まで利用して勝ちに行くスローンですが、ここまである意味での自己犠牲をして仕事をすることの本当の目的が最後までわかりません。ある意味では新しい女性ヒーローの姿かもしれません。
 サスペンスとしては最後の最後まで読めない展開が面白いです。社会派ということも評価できます。(☆)
 タバコは、スローンの交渉相手のひとりで「フェミニスト活動」をしている女性団体のトップがなんとタバコを吸いながら接していました。(☓)日本でもエコ活動をしている喫煙者とか反原発の集会で喫煙する人とかいますが、社会全体の変化も勉強してほしいものです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スター・ウォーズ Ⅷ 最後のジェダイ

2017-12-24 | 2017外国語映画評


「スター・ウォーズ Ⅷ 最後のジェダイ」 ライアン ジョンソン監督 米 ◯ ☆

 前作のラストで、伝説のジェダイの騎士ルーク スカイウォーカー(マーク ハミル)を探し当てたレイ(デイジー リドリー)と暗黒の世界に堕ちたカイロ レン(アダム ドライバー)の二人はフォースを巡ってお互いに対峙します。一方、レジスタンスの船はハックス将軍(ドーナル グリーソン)率いるファースト オーダーの軍に囲まれ苦戦していました。なんとかしなければと、前作で登場したフィン(ジョン ボヤーガ)や初登場のローズ(ケリー マリー ティコ)らのパイロットたちは奮闘します。果たして今作ではどのように決着が着くのでしょうか。
 人間関係が複雑になってきていましたが、今作ではかなり整理されわかりやすくなりました。その上、おなじみのキャラクターたちが活躍したり、新しいメンバーも登場したり、大河ドラマ(サーガというらしい)ならではの様々な工夫が見られます。それでもやっぱり、冒頭のあの映像とあのテーマ曲が始まるだけで「スターウォーズの世界」に入り込んでしまいます。ラストまで152分があっという間でした。
 カイロ レンが「あの黒マスク」をほとんどかぶっていませんが、個人的にはアダム ドライバーの美しい顔を見せたほうがいいと思います。でもキャラクターグッズの売上げには影響がでるかもしれませんね。
 戦争では兵士や市民は犠牲になりますが、一方で安全な場所にいてどちらにも武器を売って大儲けしているのが武器商人だ、とわかっていながらなぜかいつの世も戦争がなくならないのは人間がおろかなのでしょうか。暗黒軍の名前が「ファースト」っていうのもなんだか意味深ですねえ。
 次回作も楽しみです。
 タバコは、なし。無煙です。(◯)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不都合な真実2 放置される地球

2017-12-23 | 2017外国語映画評



「不都合な真実2 放置された地球」 
           ポニー コーエン、ジョン シェンク監督 米 ◯ ☆☆☆

 2006年の「不都合な真実」から10年経った現状をアル ゴアが再び伝えるドキュメンタリー映画です。
 気候変動は着実に、そして一気に進行し今や抜き差しならない状態です。画面には減っていく氷河のようすや台風に寄る高波、大雨、洪水などの被害の映像が次々と映し出されます。一方、未だに気候変動を否定する政治家やインドのように「先進国が150年使っていた化石燃料を我々も経済成長のため同じように使う権利がある。」と主張する国もあります。その上なんとトランプが大統領になってしまったのです。私たちの青い地球はどうなってしまうのでしょうか・・・。
 さまざまな示唆に富んだドキュメンタリー映画です。日本では海岸沿いに何基もの原発があります。今議論されているのは「地震」と「火山噴火」ですが、それ以上の頻度で毎年のように大型化している台風による被害のほうが311の津波のように危険なのではないかとたいへん恐ろしくなりました。気候変動同様日本では原発も早急になんとかしなければならないのです。
 もうひとつ海外のドキュメンタリー映画を見ていて思うのは世界の中で「日本」の存在がなんと小さいことかということです。先進国からも途上国からも相手にされていないのは今までの外交がなっていなかったからでしょう。お金は出しても哲学がなければいけませんね。
 ラストは、あのトランプにもめげず、市民の一人ひとりが立ち上がるという前向きな場面で終わり、さまざまな市民運動をしている人々に大きな勇気を与えてくれる作品です。(☆☆☆)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オリエント急行殺人事件

2017-12-19 | 2017外国語映画評


「オリエント急行殺人事件」 ケネス ブラナー監督 米 ☓☓ NTS

 アガサ・クリスティ原作の有名な推理小説を豪華なキャストで実写映画化しました。監督自身が「灰色の脳細胞」こと名探偵エルキュール ポアロを演じています。
 イスタンブールからロンドンへ向かうオリエント急行に乗り合わせたポアロですが、雪崩で脱線してしまいます。その上、なんと乗客の一人ラチェット(ジョニー デップ)が殺されてしまうのです。
 当然ポアロが事件の解決に乗り出すのですが、過去の大きな事件が絡んできて「善」と「悪」の価値判断だけでは解決が難しい問題となったのでした。
 豪華な列車内にジュディ デンチ、ミシェル ファイファー、ペネロペ クルス、などの豪華過ぎるキャストが勢揃いし、名作の名にふさわしいドラマを展開します。一つの犯罪行為がいかに多くの人々を奈落の底に突き落とすのかを考えさせる単なる推理ドラマに終わらない内容の深い作品となりました。
 冒頭のテンポの早いエルサレムの雑踏の場面から観客を映画の世界に導く演出は流石です。
 ところで、次は「ナイル殺人事件」なのでしょうか。
 タバコは、悪役のジョニー デップとその部下が喫煙していました。1934年が舞台にしては喫煙率はかなり低いのではないでしょうか。NTS表示あり。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

IT イット それが見えたら、終わり。

2017-12-01 | 2017外国語映画評


「IT イット ❝それ❞が見えたら、終わり。」 アンドレス ムシュッティ監督 △ NTS

 「スタンド・バイ・ミー」や「ショーシャンクの空に」のスティーブン キングの代表作を映画化しました。
 ビルは弟のジョージアに船を作ってあげます。ジョージアは大雨の中船を浮かべ喜んで追いかけますが大量の血を残し行方不明になります。その頃、ほかにも行方不明者は出ていて人々の間で静かな恐怖となっていました。
 一方、転校生で友だちがいないベンは図書館で「デリー」という町の歴史を調べある事実に気が付きます。そして同じく転校生の少女ベバリーを介し、「負け犬クラブ」のメンバーと仲間になります。そしてビルの弟を探すためある魔物との闘いに挑むのでした。
 「負け犬クラブ」のメンバーはそれぞれ家庭や自分自身に問題を抱えていてその克服が怪物との闘いとつながっていきます。彼らにちょっかいを出す不良グループも実は同じでした。命がけの闘いをするものの最終決戦は残念なことに27年先になってしまうようです。
 音楽や映像でたっぷり怖がらせてくれます。キネマ旬報の11月下旬号に「良質なお化け屋敷」と評されていましたが、正にその通りです。怖がることが好きな人にはおすすめです。ただし「ショーシャンクの空に」のような開放感は味わえませんが・・・。
 タバコは、ベバリーがちょっと口にする場面がありました。(△)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする