「ある町の高い煙突」 松村克弥監督 △
鉱山の煙害被害を受け、会社と交渉して煙突を建てさせた村民の闘いを描いた新田次郎原作の小説を地元が中心となって映画化しました。
日露戦争後軍備の増強のため現在の日立市にあった鉱山は増産体制となり、排出される亜硫酸ガスのため畑や森林に被害が出ていました。地元の農民たちは、青年会を中心に交渉に臨みますが補償金で解決を迫られるのでした。青年会の代表となった地主の孫関根三郎(井手麻渡)は会社の窓口となっている加藤(渡辺大)に煙害を減らす方法はないのか交渉を重ねます。その結果、会社の御用学者がある最新式の方法を提案するのですが・・・。
国家と闘う農村の人々の姿はいつの時代も変わらず、補償金で懐柔されたり分裂したりしますが、この作品が取り上げた問題は、会社側の人たちに志のある人が多かったことが幸いして解決を目指すことができた成功例です。悪役の斉藤洋介(株主)、御用学者役の大和田伸也が悪役らしく良かったです。
原発問題にもこういう志がある人が登場してくれるといいのですが・・・。
タバコは、冒頭では農民がキセルを使う場面がありましたが、行動するにあたって「青年会は禁酒、禁煙」と決まりました。この宣言も画期的ですね。また、セリフの中に「煙害」が多くタバコの「煙害」を思わせました。