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「スオミの話をしよう」 三谷幸喜監督 ◯
三谷監督が信頼する俳優を揃え、長澤まさみの魅力を全面的に披露するちょっと偏ったコメディです。
豪邸に暮らすベストセラー詩人寒川(坂東彌十郎)の新妻スオミ(長澤まさみ)が行方不明になります。元夫で刑事の草野(西島秀俊)は警察に届けるよう勧めますが寒川は「すぐ帰って来る」と自分のことばかり考えています。結局スオミに関わった元夫総勢5人が集合し、対策を練るのですが・・・。
5人が知っているスオミはそれぞれ全く異なり演じ分ける長澤の実力大全開というところでしょうか。なんと中学生からその母親まで全部演じてしまうんですから。
脚本(三谷)をもう少し掘り下げると今まさに社会が取り組んでいるジェンダーの問題を可視化する娯楽作品となって社会派コメディとして次元を変えることも可能だっただけに単なるコメディで終わったところはちょっと惜しい。
それでも俳優たちがいつもとは違う役を楽しんでいる雰囲気が伝わり観客も楽しめる作品ではあります。
ただ、冒頭で寒川が「電磁波アレルギー」で周りは「精神的なもの」と簡単に片付けていましたが、実は結構深刻な被害が出ているように思います。みんな知らないだけですね。
タバコはなし。無煙です。