無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

コンフィデンスマン JP プリンセス編

2020-07-31 | 2020映画評


「コンフィデンスマン JP プリンセス編」 田中亮監督 ☓ 

 詐欺師が主人公の人気テレビドラマの劇場版2作目です。
 アジアの大富豪フー家の当主が10兆円とも言われる遺産を残しました。長男、長女、次男は相続を狙っていますが、謎のミッシェルという少女に財産と当主の座を譲られたのです。詐欺師ダー子(長澤まさみ)ボクチャン(東出昌大)リチャード(小日向文世)の面々はコックリ(関水渚)をミッシェルにでっち上げる作戦を開始するのでした。ところが、そこへ因縁の男(江口洋介)らが邪魔にはいります。はたして10兆円は誰の手に。

常連のメンバーがちょこちょこ顔を出し、ファンサービスも満載です。高校生の制服姿で笑いを取れる長澤まさみはコメディアンヌとして最高ですが、これからは母親役で名場面が期待できそうです。内容的にも経済優先の社会に疑問を投げかけたり、人生に何がいちばん大切なのか問いかけたり結構哲学的な問題提起もされています。娯楽映画の筆頭に挙げられるような作品でありながら、小難しい理屈ではなく社会性があり好感を持てます。

タバコは、葉巻が一回とちょっとした場面で喫煙者が一回、ホテルの部屋で葉巻が吸えるわけはないのですが・・・。(☓)

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在りし日の歌

2020-07-23 | 2020映画評


「在りし日の歌」(原題「地久天長」) ワン シャオシュアイ監督 中国 ☓☓☓

 1990年代からその後30年にわたる中国の変化を一組の夫婦を軸に描きました。
 ヤオジュン(ワン ジンチュン)とユーリン(ヨン メイ)は一人息子のシンシンと同じ職場の仲間たちと充実した日々を過ごしていました。ところが、ある時、息子のシンシンが水の事故で亡くなってしまいます。立ち直れない二人は知り合いが誰もいない南の海岸地帯へ引っ越します。養子の「シンシン」は思春期で反抗的、挙句の果てに家を出てしまいます。
実は、ユーリンはシンシンが元気な頃二人目を妊娠したのですが、一人っ子政策が推進され報奨制度などもあり職場の友人でもある同志ハイイエン(アイ リーヤー)から中絶を迫られるという事件があったのです。その上水難事故にはハイイエンの息子ハオが関わっていたのです。
それぞれ屈託を抱えた上にヤオジュンには恋人までいたのです。

描き様によってはとんだ修羅場の続く作品になりかねない内容ではありますが、主演二人の抑えた演技と美しい映像(撮影 キム ヒョンスク韓国)が救いとなっています。また、共演者たちも30年の変化をメイクの力もありますが見事に演じ分けました。
特にラストのヤオジュン同様観客もハラハラしながら見せられたパソコンの画面はちょっとした「どんでん返し」で「いやーそうきたか」とほっとしました。

タバコは、どの時代も男性はほとんどが喫煙者で常にモクモクでした。工場の総会のような場面でも喫煙する人がいて日本以上に「タバコに寛容(!?)」です。さすがに医者は喫煙しなかったですが。


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マザー

2020-07-22 | 2020映画評


「マザー」 PG12 大森立嗣(おおもりたつし)監督 ☓☓

 実際に起きた17歳の少年による祖父母殺害事件から着想を得て制作されました。
 シングルマザーの秋子(長澤まさみ)は、仕事もろくにしないでパチンコに溺れ、借金の積み重ねで実家の家族からも見放されていました。行きずりの男を部屋に連れ込むだけでなく子供をほったらかしで男と泊まり遊んだりするのでした。息子の周平はそんな母親の無理難題に従って学校にも行かずガスも電気も切られた部屋で待っていました。二人目の子供が生まれ、いよいよホームレス状態になったときやっと救いの手が差し伸べられるのですが・・・。

実際に似たような母親が起こす事件はメディアを賑わし、また、最近起きた某俳優の自殺の影にも母親の姿がちらつき(週刊誌報道ですが)、ある意味ではよくある話なのかもしれません。ただ、常に母親だけがメディアの糾弾を受けますが、父親はお咎めなし、というのもおかしな話です。
長澤、阿部サダヲ、秋子の手玉に取られる男たち、そして新人の周平役奥平大兼(おくだいら だいけん)が好演しました。特に周平が箸や鉛筆をきちんと持てない、という細やかな演出が大変効果的でした。

タバコは、母親が度々喫煙しました。(☓)子役の前でも喫煙し映画出演による健康被害が心配です。(☓)演出上必要だったのかもしれませんが、実際に吸わずそれらしく伝わる演出も工夫してほしいものです。電気ガスが止まっても、タバコは買うという依存性の恐ろしさは伝わっています。
依存症といえば、パチンコの依存性についてもかなり警鐘を鳴らしている作品です。


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私がモテてどうすんだ

2020-07-16 | 2020映画評


「私がモテてどうすんだ」 平沼紀久監督 ○

 ぢゅん子原作コミックを実写映画化しました。
 アニメオタクの高校生花依(富田望生)はあるBL,アニメのキャラクターに囲まれた生活をしています。学校でも常にイケメン男子の絡み合いを妄想し幸せを感じていました。ところが、そのキャラクターが死んでしまったのです。ショックを受け1週間引きこもった結果なんと激やせし、誰もが振り向くモテ系女子に変わってしまいます。(山口乃々華)実際のイケメンたちが次々アプローチしてきて混乱する花依ですが、その上演劇部のヒロインまで頼まれてしまうのでした。

個人的に富田望生(とみた みう)が「ソロモンの偽証」でデビューして依頼ファンなので、評価が甘くなりますが、女性の美醜を際どいところでコミカルに描けたのは冨田の演技力の賜物なのではないでしょうか。一つ間違えると大変嫌味な作品になってしまいかねない内容でしたが、彼女の素直な演技とパワーあふれるダンスシーンが楽しい青春物に昇華させました。また、演劇部の大御所役の中山咲月がシャープな存在で際立ちました。イケメン男子たちはそれぞれこれからがんばってね、って感じです。

タバコは、なし。無煙です。


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2019年無煙映画大賞

2020-07-15 | 2019年無煙映画大賞
みなさま

2019年上映作品の無煙映画について検討した結果、下記の作品が無煙映画大賞に選定されましたので報告します。最後にコロナ禍と映画の現状について記しましたので参考にしてください。

**2019年無煙映画大賞各賞と推薦理由**
<作品賞> 「新聞記者」 藤井道人監督  

<女優賞> 吉岡里帆(よしおか りほ) 
      「見えない目撃者」 森淳一監督
 
<男優賞>  北村匠海(きたむら たくみ) 
      「君は月夜に光り輝く」(月川翔監督)

<ファミリー賞> 「今日も嫌がらせ弁当」 塚本連平監督

<話題賞> 「翔んで埼玉」 武内英樹監督

<特別賞> 「誰がために憲法はある」 井上淳一監督
 
【推薦理由】
*作品賞「新聞記者」
 現在東京新聞の記者として活躍している望月衣塑子記者の原作を原案とし、正義感に燃えて取材し腐敗を公にしようとする記者と、政権の不都合なニュースをコントロールする役割のエリート官僚の葛藤を対峙させ、報道とは?メディアとは?を問いかけた秀作となりました

*主演女優賞 吉岡里帆
 交通事故で視力を失った元警察官が、連続少女誘拐事件に関連する情報を耳で「目撃」しますが、警察では一蹴され、協力者の少年と出会って犯人を追い詰めるという難役を凛々しく聡明に演じました。

*主演男優賞 北村匠海
 不治の病で外に出ることができない女子高生に変わって彼女が体験したいことをスマホで撮影しながら報告する「代行体験」を繰り返すことで、次第に彼女に惹かれていき「出会ったこと、愛すること、そして生きることの大切さ」に気づいて苦しむ青年を抑えた演技で好演しました

*ファミリー賞 「今日も嫌がらせ弁当」 塚本連平監督
 会話がなくなってしまった高校生の娘と毎日のお弁当作りを通じて必死に関係を保とうとするシングルマザーの姿を八丈島の豊かな自然を背景にし、コミカルにそして可愛いキャラ弁(キャラクター弁当)をアクセントに楽しく描きました。

*話題賞 「翔んで埼玉」 武内英樹監督
 海のない埼玉県を自虐的に描いた魔夜峰央原作の1982年のコミックを二階堂ふみとGACKTの主演で実写映画化しました。「自虐ネタ」を代表する作品で出身県のアイデンティティをめぐるやり取りが全国的に人気となりました。

*特別賞 「誰がために憲法はある」井上淳一監督
 松元ヒロ原作で一人語り「憲法くん」を基に、87歳になる女優の渡辺美佐子が演じた様子と、渡辺が仲間の女優たちと長い間続けてきた原爆朗読劇が幕を閉じるまでの経緯を描きました。あらためて私たちの生活は「憲法」があるからこそ守られているのだと再確認させる作品です。
<汚れた灰皿賞(モクモク賞)>
・「さよならくちびる」(塩田明彦監督) 
・「最高の人生の見つけ方」(犬童一心監督) 
・「ダイナー」(蜷川実花監督)
・「カツベン!」(周防正行監督)

*汚れた灰皿賞(モクモク賞)について
タバコの場面の多い作品は他にも「ひとよ」PG12(白石和彌監督)「麻雀放浪記2020」PG12(白石和彌監督)「人間失格」R15+(蜷川実花監督)などがありますが、制限を受けているので候補から外しました。
 
< コロナ禍と映画 >

2月から3月にかけての国内でのコロナ感染の拡がりの中、そして緊急事態宣言を過ぎ、映画の現実を報告します。

3月10日に沖縄県那覇市から自宅に戻りました。

沖縄では普通に映画を鑑賞していましたが、3月になると入場者が減ってきたように思いました。帰宅後、3月中頃に隣町にあるミニシアターへ行きましたが、このときは普通に上映していました。

しかし、4月になると座席の間隔を開けるようになり、コロナ対策が始まりました。4月14日やはり隣町にあるシネマコンプレックス(以下シネコンと略)で緊急事態宣言前にギリギリ鑑賞できましたが、このときはすでに個人レベルで自粛が始まっていたようでシネコンのある大型商業施設の駐車場はガラガラで映画館のロビーにもほとんど人がいませんでした。

4月16日に緊急事態宣言が出てからは解除される5月25日まで全ての映画館が休館しました。
そんな中映画文化を守るため映画界では様々な取り組みがなされ、「精神0」(想田和弘監督)を自宅のパソコンで「仮設の映画館」を利用して鑑賞しました。
「ミニシアターを守るクラウドファンディング」が大きな話題となりました。

その後、6月になってやっと自粛ムードが緩やかになり、ミニシアターへ行きましたが、座席は三分の一となり完全予約制になりました。(消毒、マスクは必須)
シネコンも営業をはじめましたが、(検温、消毒、マスク)新作は少なく、旧い名作を上映し、なかでも「一生に一度はスクリーンでジブリを観よう」キャンペーンはおなじみのジブリ作品をビデオではなくスクリーンで見る体験ができ、ジブリの魅力を再発見しました。なお、「フーテンの寅シリーズ」も上映していました。

7月23日の連休からシネコンでは新作を次々封切るようで楽しみです。




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レイニーデイ・イン・ニューヨーク

2020-07-15 | 2020映画評


「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」 PG12 ウッディ アレン監督 米 ☓☓!

 1935年生まれの超ヴェテラン監督がニューヨークのそれもマンハッタンを舞台に若々しい二人を主役にラブコメディを描きました。
元ミスコンの噂もあるアシュレー(エル ファニング)は大学の授業で有名映画監督のインタビューを担当することになります。舞い上がるアシュレーとともに恋人のギャツビー(ティモー シャラメ)はポーカーで儲けた大金があり、生まれ育ったニューヨークをアリゾナ出身の恋人に案内し、優雅な週末を一緒に過ごそうとあれこれ計画を立てますが、いきなり監督とのインタビューが長引き事態は若い二人を翻弄しおかしな顛末になるのでした。

主役を演じた二人とギャツビーの元恋人の妹役セレーナ ゴメスを含め、子役からのヴェテラン俳優揃いで経済的にも才能にも恵まれた優雅な生活を嫌味もなく演じています。映画監督や俳優が登場し、学生の映画ロケ場面を入れるなど映画愛にあふれた楽しい作品です。

タバコは、ギャツビーがガンになるのを恐れながらも喫煙しています。(☓☓)「自分は(喫煙するので)40歳で喀血する。」という奇妙な予測まで立てています。(!)また、アシュレーが映画俳優の部屋でマリファナを吸う場面もありました。
暴力やハダカがないのにPG制限がついたのはタバコとマリファナが理由でしょうか?


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ガーディアンズ オブ ギャラクシー

2020-07-10 | 2020映画評


「ガーディアンズ オブ ギャラクシー」 (2014年) ジェームス ガン監督 米 ○

 コロナ禍での映画館の取り組みとして旧名作上映シリーズ(?)の一本で、ご存知マーベル・コミックの実写映画です。
 プレイボーイで犯罪者のスターロード(自称)(クリス プラット)はパワーストーンを手に入れます。しかし、その「オーブ」は銀河を滅亡させるほどの力があり、闇の組織が狙っていたのでした。スターロードは成り行きで刑務所に入れられそこで形だけ仲間になった個性豊かなというか自分勝手なメンバーとチームを組み闇の組織からオーブを守るのですが・・・。

メンバーが、人間の男性、人間の女性、人間っぽいアライグマ、「アイ・アム グルート」としか言わない植物、人間離れした怪力男という多様性という言葉がぴったりの面々なのが楽しいです。それでもグルートが仲間のために犠牲になるとき「アイ」が「ウイ」に変わる感動の場面もありました。

タバコは、なし。無煙です。

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もみの家

2020-07-08 | 2020映画評


「もみの家」 坂本欣弘(さかもとよしひろ)監督 ○ 製作委員会

 さまざまな問題を抱えた若者たちを農作業体験と共同生活を通じて生き続けられるよう取り組んでいる「もみの家」を舞台に学校に通えなくなった少女の成長を描きました。
16歳の彩花(南沙良)は学校でどう振る舞っていいのかわからずなんとなく通えない状態が続き、母親(渡辺真起子)はなんとかしなくては、と「もみの家」に強引に彩花を連れてきます。はじめは野菜も食べられず田んぼの仕事などとんでもなかった彩花ですが、もみの家を主宰する佐藤夫妻(緒形直人、田中美里)や仲間たち、農作業の指導者、そして励ましてくれたご近所さん(佐々木すみ江)と関わることで活きる力を取り戻すのでした。

「なにもない、というかイオンしかない。」と言われている富山の田園地帯ですが、その自然の美しさと地域で毎年繰り返されてきた獅子舞という地域伝統芸術は見ているだけでも豊かな気持ちになります。主演の南沙良の成長も見どころですが、彼女を支えるベテラン俳優のさりげない競演が作品に安定感を与えています。

タバコは、なし。無煙です。(○)

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もののけ姫

2020-07-04 | 2020映画評


「もののけ姫」 1997年 宮崎駿監督 ○ 東宝

 日本アカデミー賞他多数の賞を獲得したスタジオジブリを代表する名作です。
室町時代、タタリ神の呪いを解くため旅に出たアシタカは山の中で製鉄を営むエボシや人間の娘でありながら自然神の側につくサンと出会います。製鉄のために木を切り山を荒らすエボシですが、人間的には不治の病とされていた人々に仕事を与え、女性たちは生き生きと仕事をする、いわゆるマイノリティへの理解が深い女性です。一方、サンはオオカミやイノシシの神とともに森を守ろうと命をかけるのでした。

コロナ禍の中、新作映画の封切りが遅れ、その代わりに企画された「スクリーンでジブリを観よう」で封切り当時以降久しぶりに観ましたが、当時よりも環境や差別の問題が誰の目にも明らかになっている2020年の方がずっとこの作品から学ぶことが多かったように思います。「風の谷のナウシカ」は昨年民俗学者の赤坂憲雄さんが取り上げていたのでビデオで再見しましたが、どちらも甲乙つげ難い秀作でした。
今こそ「生きよ!」のメッセージが生かされます。

タバコは、なし。無煙です

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エジソンズ・ゲーム

2020-07-03 | 2020映画評


「エジソンズ・ゲーム」 アルフォンス ゴメス=シホン監督 米 ☓

 19世紀発明王エジソン(ベネディクト カンバーパッチ)が白熱電球の事業化に成功し、次は全米での電気供給の主導権争いがライバル社との間で熾烈になるのでした。
 直流電流のエジソンと交流の発電機開発社のウェスティングハウス(マイケル シャノン)はお互いにどちらが覇権をとるかさまざまな闘いを繰り広げます。若手の研究家テスラ(ニコラス ホルト)は独自のシステムを脳内に完成させますが、形にする資本がありません。電気という新しい未来を誰が牛耳ることができるのか、それぞれの思惑が交錯するのでした。
 
電球を発明したのがエジソンなのは一般常識になっていますが、電気椅子の考案者もエジソンだったとは・・・。いつの時代も新しい技術は新しい武器に応用されていくのですかね。
 そういえば、電気自動車の「テスラ」が利益でトヨタを抜いたとか。ニコラス テスラも天国で喜んでいるかな。

 タバコは、葉巻がたびたび登場していました。(☓)「動物を傷つけていません。」というお決まりの文言が流れましたが、人間を傷つけているでしょう。


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