無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「対外秘」

2024-12-26 | 2024映画評

「対外秘」イ ウォンテ監督 韓国 ☓☓

 1992年の韓国が舞台の政治闘争を描いています。

 釜山では選挙を前に地元出身のヘウン(チョ ジヌン)が立候補の準備をしていました。ところが権力者のスンテ(イ ソンミン)は自分の思い通りになる候補者を突然公認します。ヘウンは裏切りに対し無所属で立候補するため開発候補地の極秘情報を入手しヤクザのピルド(キム ムヨル)から資金の提供を受けます。ヘウンは当選確実かと思いますが・・・。

 現金による買収や信じられない投票箱のすり替えなどの犯罪だけでなく殺人事件まで犯してしまいます。現金入り封筒は日本でもたまに噂になりますが、投票用紙のすり替えはありえませんが、この映画を見ると「もしかして可能か?」と思えるほど巧みです。民主主義そのものの危うさを問う作品です。

 タバコは、ヤクザ役が度々喫煙、その他では主役のヘウンがいつもは吸わないのに行き詰まったときに外で喫煙をする姿がありました。

 


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「ソウルの春」

2024-12-24 | 2024映画評

「ソウルの春」 キム ソンス監督 韓国 ☓☓☓

 1979年に韓国で起きたクーデター事件が基になっています。

 大統領が暗殺され次を狙う陸軍のチョン ドゥグアン(ファン ジョンミン)は秘密組織「ハナ会」のメンバーで12月12日に自らを大統領にするためのクーデターを起こします。一方、清廉な首都防衛司令官イ テシン(チョン ウソン)はそれを阻止するため闘いますが・・・。

 昨年韓国で公開され観客動員数1位になった作品です。ネタバレになりますが、このあと1980年、民主主義に対しての暴力「光州事件」が起きます。

 なお、つい先日も6時間とはいえ「戒厳令」という言葉が復活、ある意味では戦時下の人びとの不安定さを感じます。ただ、この作品では軍人しか描かれませんでしたが今回は多くの市民が声を上げることができ阻止することができたのは時代の変化でしょう。

 主役の二人がそれぞれの人間性を巧みに演じていました。

 タバコは、チョンがチェーンスモーカーで常にタバコを咥えていて「ハナ会」メンバーもほとんど喫煙者、対するイも回数は少ないものの喫煙しました。時代を表していているのでしょうが俳優にとっては辛い役ですね。もちろん周囲の制作者スタッフも受動喫煙被害が多かった作品です。

 


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「聖☆おにいさんTHE MOVIE ホーリーメンvs悪魔軍団」

2024-12-22 | 2024映画評

「聖☆おにいさんTHE MOVIE ホーリーメンvs悪魔軍団」 福田雄一監督 ◯

 中村光原作の人気ギャグ漫画を実写映画化しました。休暇中のイエス(松山ケンイチ)とブッダ(染谷将太)は寂れたアパートで人間的なゆるい生活を楽しんでいました。そんな折招かねざるおかしな客が現れ奇妙な映画作成の話を始めるのでした。

 主役も張れる実力人気俳優たちが監督の奇妙な意向を汲みおふざけ度満開に楽しく演技しているようでした。大笑いするほどのギャグはありませんが「フフッ」とは笑えます。

 関西系のお笑いと異なり◯◯ハラ、とつくような不愉快になるようなネタはほとんどないことが魅力でしょう。

 個人的には山田孝之が演じた役がおかしかったです。何をやらせてもうまい俳優です。窪田正孝もコスチュームがよかったけど、どんな気持ちだったのかな。

 年末年始1年の憂さ晴らしにかる~い作品でストレス発散もありかも・・・。

 タバコは、なし。無煙です。

 


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「劇場版ドクターX」

2024-12-21 | 2024映画評

「劇場版ドクターX」 田村直己監督 ◯

 米倉涼子が演ずる天才外科医が活躍する人気テレビドラマシリーズの完結編です。東帝大学病院では新病院長に凄腕の神津比呂人(染谷将太)が就任し医療機器メーカーのCEOである双子の弟をバックに病院改革をビシビシと進めようとしていました。外国の要人の手術を無事終え追い払われた大門未知子はかつての同僚で神津とも縁がある森本(田中圭)に呼ばれやっと帰ってきました。

 大門は神津と医療技術でお互いに認め合いますが、師匠でマネージャーでもある神原(岸部一徳)と出会った神津は神原の名刺を握りつぶすのでした。過去を探るため森本は大門の故郷呉へ向かいます。

 よく練られた脚本で最後まで先が読めません。医療行為の場面も生々しく現実的です。人間関係はTVシリーズを全く見ていなくても予想はつき十分楽しめます。

 比呂人君に一言アドバイス、年上の女性に対し「おばさん」は絶対禁句「おねえさん」だったらもっと早く仲良くなれますよ。「おばさん、じゃなかった、おねえさんやるじゃん」だね。

 完結編と言いつつ、また帰ってくるかな。

 タバコは、なし。無煙です。

 


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「はたらく細胞」

2024-12-20 | 2024映画評

「はたらく細胞」 武内英樹監督 ☓

 人気漫画でアニメにもなった清水茜原作の「はたらく細胞」とスピンオフ作品「はたらく細胞BLACK」の2作品を元にしたちょっと役立つエンタメ作品として実写映画化しました。

 人間の細胞は37兆個ありそれぞれが体内で自分の仕事をこなしています。ドジな赤血球(永野芽郁)は白血球(佐藤健)に励まされながら立派な赤血球になることを目指しています。一方、酒とタバコ依存といった不健康な生活をしている父親(阿部サダヲ)は高校生の娘日胡(芦田愛菜)から健康診断書を突きつけられ不節操を咎められていました。日胡は武田先輩(加藤清史郎)に恋心があり初デートで楽しい思いをしましたが、なんとある病に罹ってしまうのでした。体内の細胞たちは慌てて対応するのですが・・・。

 悪役の病原菌を意外な俳優が演じていたりコスチュームが独特だったり妙に色っぽい神経細胞がにぎやかで楽しい面もあります。ただ、白血球が様々な菌との闘う場面は衣装が違うだけで見たことがあるアクション映画と変わらず、また、キラー細胞たちが異常にミリタリー風で楽しさに水を指していました。ナイフで殺す必要があるのでしょうか?もっと不気味に細胞を破壊する演出ができたのではないかとテーマが良かっただけに惜しいです。キラー細胞達こそダンスチームのような華麗な動きでやっつける演出にするともっと楽しくなったと思います。ラグビーチームは納得です。

 ひとつ評価するとこの作品でたくさんの人がご飯を食べられたのではないかとは思います。お正月の餅代になったかな?

 タバコは、父親が喫煙者でタバコを吸ったときに肺の細胞たちが苦しむ様子が描かれますが、結局は「タバコ好き」は変わらずなんの教訓にもなっていませんでした。

 


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「徒花」

2024-12-13 | 2024映画評

「徒花」 甲斐さやか監督 日仏合作 ◯

 甲斐監督が20年余り練っていた脚本です。

 近未来、人口減少は加速する一方、医療技術の進歩で延命治療だけでなく富裕層では「それ」と呼ばれる自身の分身が育てられるようになっていました。

 裕福な家庭で育った新次(井浦新)は重い病にかかり手術前の不安を臨床心理士のまほろ(水原希子)とのカウンセリングで語ります。幼児期の母(斉藤由貴)のこと、夢に出てくる謎の女性(三浦透子)などを思い出すことで返って不安は増し、自身の「それ」と対面する許可を得るのでした。

 制作、編集に外国人が関わっているからか、全体にモノトーンに近い色調でゆったりと画面が流れていきます。そのうえ、二人の会話がボソボソしていてやっと聞き取れる会話でした。補聴器使用者が音量を調整するピーピー音が聴こえていました。また、セリフが聞き取りにくいこともあり、心地よく居眠りをしている人が数人いてそれぞれタイプの違ういびきでにぎやかな合唱をしていました。唯一まほろが外に出た新次を探して「しんじ!」と叫んだ時やっと皆さん目を覚ましたようです。

 映画はとにかくセリフが聞き取れること、基本です。20年温めていた内容なら一言も無駄なセリフはないはずです。どんな観客にもしっかり届ける工夫をしてください。海外では字幕がつくので問題ないかもしれませんが。

 タバコは、なし。無煙です。

 


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「倭文(しづり)旅するカジの木」

2024-12-07 | 2024映画評

「倭文(しづり)旅するカジの木」 北村皆雄監督 ◯

 日本書紀に登場する邪気を払うという古代の布の再現を試みるドキュメンタリーです。

 京都西陣の帯匠山口源兵衛はしづり、しずなどと称される古い布に興味を持ちぜひ再現したいと和紙の里をはじめ、材料となっていたカジの木を巡って各地を回ります。台湾、インドネシア、パプアニューギニアにまで調査を進めるのでした。

 一方、霊力を持つカジの繊維で織られた布が持つ役割と、現代の布作家たちがそれぞれ自身が考えるしづり制作に取り組むのでした。

 いつもはゆったり座れる平日のあまや座なのに予約の段階から混んでいて「今日はほとんど満席です。」なんで?と思いましたが、地元の神社や織物作家が登場するご当地映画だったのでした。また、上映館が少ないので各地から集まっていたのかな。

 カジはないけれどわさわさ広がるミツマタがあるので来春は繊維を取ってみようか、と思いました。

 ところで、上映中はスマホの画面の確認はやめてください。斜め前の人は何度も確認するのでそのたびに集中が切れました。他にも光っていました。映画を見るときくらいスマホから離れましょう。

 タバコは、なし。無煙です。

 


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「六人の嘘つきな大学生」

2024-12-06 | 2024映画評

「六人の嘘つきな大学生」 佐藤祐市監督 ◯

 浅倉秋成原作の密室ミステリードラマです。

 人気エンターテイメント会社の採用試験で最終に残った6人に課せられたのは奇妙な内容でした。全員が内定を取れるようチームとなって取り組みますがいざ本番になるとなんとたった1名のみ採用するのでそれを6人で決めなさいという課題でした。途方に暮れる6人の前にそれぞれの知られたくない過去を暴く封筒が用意されていたのでした。

 就活が大変なことはいろいろなところで問題になっていますが、それをテーマにしたことは面白いと思います。ただ、意地の悪い採用方法を取る大人が全く批判も非難もされずに済んでしまっていいのでしょうか。こういう会社はきっと続かない。5年経ったらなくなっていました。ちゃんちゃん、という終わり方の方がすっきりするのですけど。

 タバコは、なし。無煙です。

 


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「室井慎次 敗れざる者」前編、「室井慎次 生き続ける者」後編

2024-12-05 | 2024映画評

「室井慎次 敗れざる者」前編、「室井慎次 生き続ける者」後編  本広克行監督 ◯

 1997年から続いた「踊る大捜査線」シリーズのスピンオフ作品です。

 警察を辞め秋田の田舎に暮らす室井(柳葉敏郎)は犯罪関係者の子どもの里親となっていました。畑仕事や子どもたちの世話、小屋の修繕などのどかに暮らしていましたが、近くの空き地から遺体が発見されたことから周囲の人びとから「出ていけ」と言われるようになっていました。

 その上過去に関わった事件の犯人(小泉今日子)の秘密の娘(福本莉子)が現れてから平穏な日々は揺さぶられていきます。果たして遺体は誰でなぜここだったのか?

 大きな事件は起きませんが、音楽の使い方などにかつての味わいがあります。

ただ、今作では「動物と子役にはかなわない」という言葉通り子役(双子?)と秋田犬が大変素晴らしかったです。

 矢本悠馬が勝手に空回りするおっちょこちょいの警官をコントのように演じ笑わせてくれました。

 小泉今日子はこういう役のほうが存在感がありますね。

 また、スタッフがベテランばかりなのか聞き取れないセリフが一つもなくストレスフリーで楽しめました。基本がいかに大切かを教えてくれています。

 一つの犯罪で被害者はもちろん加害者の家族も多くの人生が振り回されます。警察のポスターみたいですが「犯罪には手をだすな。」

 「銃は自分を守る」というようなセリフがありましたが、それはどこかの国のライフル団体の言ってることと同じなのでは、と違和感がありました。

 タバコは、前編のエンドロールの過去作の映像で織田裕二と柳葉敏郎がタバコを吸っている場面が紹介されていました。時代を感じさせます。後編はなし。

 ただ、集落にある小さなお店のレジの後ろにはたくさんのタバコが並んでいました。ちょっと不自然ですね。

 


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「正体」

2024-12-04 | 2024映画評

「正体」 PG12 藤井道人監督 ✘ ☆☆

 染井為人(そめい ためひと)原作のサスペンス小説を実写映画化しました。

 一家殺人事件を起こし無実を訴えつつも、死刑判決を受けた鏑木慶一(横浜流星)は脱走し変装しながら逃げ続けます。建設現場では怪我をした仲間を救い、オンラインライターの仕事でも出版関係者から重宝され担当者の安藤(吉岡里帆)はネットカフェを利用する鏑木を部屋に泊めます。一方、彼を追う刑事又貫(山田孝之)は追い詰めますがあと一歩で逃げられてしまいます。又貫は鏑木がなぜ命がけで逃げるのか、本当は冤罪なのか、と考え始めるのでした。

 原作も面白かったのですが、映画はそれを超えました。鏑木に関わる人が自分自身を顧みて生き方を考え直したりより充実させたりする姿は髪の色や表情など、映画ならではわかりやすく演出されました。以下少々ネタバレですが、原作のラストには納得しない読者がいたとか、娯楽作品ではやっぱり「希望」とか「昇華」とか前向きになりたいですね。その点ではこの作品は大成功です。

 なお、刑事の山田がかっこよすぎ、また、地味ですが出版社の宇野祥平、痴漢冤罪被害者役田中哲司、鏑木が生活していた施設長役の木野花、らが好演しています。悪役の松重豊も本当に憎らしかった。悪役がうまいと作品が締まりますね。

 タバコは、建設現場の労働者が休憩時何人か喫煙していました。

 


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