無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「ブータン 山の教室」 パオ チョニン ドルジ監督 ○ ☆☆

2021-06-30 | 2021映画評


「ブータン 山の教室」 パオ チョニン ドルジ監督 ○ ☆☆

 「世界一幸福な国」と言われ国民もそれを知っているブータンの最も僻地にある村の学校を舞台に教育とは?幸福とは?を問いかける作品です。

 ミュージシャンとしてオーストラリアへ移住することに憧れているやる気のない青年教師のウゲン(シェラップ ドル)は上司から世界一僻地のルナナ村(標高4800M)の学校へ冬が来るまで赴任することを命じられます。ティンプーからバスでガサまで行きその後はヒマラヤを見ながらのほぼ1週間のトレッキングでたどり着くルナナには車はもちろん電気もありません。しかし、村までまだ2時間も歩くというところまで村人が全員でウゲンを迎えに来ていました。なんとか到着したもののあまりの「なにもなさ」にウゲンは「僕、帰ります。」と投げ出します。しかし、翌朝寝ているウゲンを「先生もう9時です。」とクラス委員のペムザムに起こされしかたなく教室へ行き子どもたちと向き合います。ノートに使う紙も貴重なため足りずそれどころか黒板もありません。ただ、子どもたちの学びたいという向学心や大人が子どもに学ばせたいという強い思いがありました。ウゲンは次第にその思いに応えようとするのでした。

 原題は「ルナナ、ヤクがいる教室」で、その名の通りヤクはミルクや肉を利用するためだけでなく糞は燃料として使うためルナナの生活では重要な役割を担っています。ヤクのノルブ(宝の意 実名はナカ)が教室で草を食んでいます。テーマ曲は「ヤクに捧げる歌」(ブータンの伝統歌)でこの曲を通じてウゲルは歌い手の女性セジュ(ケルドン ハモ グルン)と親しくなります。

 子どもたちはじめ村人は俳優ではなくルナナに住む村人なのでドキュメンタリーのようでもあります。車もなく紙も使わない生活なのに、雪が減っているという気候温暖化の影響を最も身近に受けている「幸福な国」の人々を通してもう一度自らの生き方を振り返らずにはいられなくなる作品です。(☆)
 また、監督が写真家のためか映像が大変美しくそれも見どころです。(☆)
 ところで、この作品は隣町にあるミニシアターで見ましたがコロナで座席が半数とはいえ、平日にもかかわらず満席でした。嬉しいことです。

 タバコは、なし。無煙です。国民総幸福(GNH)で有名ですが、実はブータンは日本ではあまり取り上げられませんが、禁煙(喫煙は違法)の国でもあります。


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「キャラクター」 PG12 永井聡監督 ✗✗✗

2021-06-28 | 2021映画評


「キャラクター」 PG12 永井聡監督 ✗✗✗

 長崎尚志原案のオリジナルストーリーで、偶然殺人鬼と出会い、彼をモデルにした漫画が大ヒットした漫画家の恐怖を描きました。
 絵はうまいけれど登場人物のキャラクターがいまひとつなためアシスタントしかできない漫画家山城(菅田将暉)はスケッチをしていた家の大事件現場に居合わせてしまい犯人(Fukase)の姿を見ます。警察では犯人は見ていない、と虚偽の証言をします。しかし、犯人をモデルにした山城の殺人鬼漫画は売れ始めます。事件を追う刑事清田(小栗旬)は山城の周辺の聞き込みをしますが過去に同じような事件を起こした男が逮捕されます。ところが再び同じような凶悪事件が起きるのでした。

 血糊屋さん大忙しの殺人映画です。真犯人の生い立ちにもっと焦点を当てないとなんのためにあんなに血糊を使って映画化したのか意味がわかりません。なんとなく続編がありそうな不気味な終わり方だったのでそちらで解明されるのかもしれませんが・・・。後味がすっきりしない作品でした。

 タバコは、主役の菅田将暉が喫煙者で何度も喫煙します。また刑事役の中村獅童も喫煙者でした。中村はそろそろ年齢的(1972年生)に禁煙しないと危ないですね。
 コロナ下での撮影では喫煙の感染リスクがより高くなるので喫煙シーンは止めたほうがいいのではないでしょうか。


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「ザ ファブル 殺さない殺し屋」 江口カン監督 ✗✗✗ PP加熱式タバコ

2021-06-26 | 2021映画評


「ザ ファブル 殺さない殺し屋」 江口カン監督 ✗✗✗ PP加熱式タバコ

 南勝久原作のコミック実写映画版第2作目です。
 人一人6秒で殺すという伝説の殺し屋ファブル(岡田准一)はボスから「普通の生活を1年体験する。」という指令が出ていて相棒のヨウコ(木村文乃)と兄妹としてまっとうな暮らしをしていました。悪党の宇津帆(堤真一)は子どもを守るという内容のNPOを隠れ蓑に若者から金を巻き上げ殺していました。宇津帆は弟をファブルに殺され復讐しようと部下の鈴木(安藤政信)と作戦を立てるのでした。宇津帆の下には過去にファブルが救えなかった少女ヒナコ(平手友梨奈)が一緒に暮らしていたのでした。

 敏腕の殺し屋ですが、サンタクロースも知らず、超猫舌で普通の生活をする上ではちょっと間が抜けているキャラクターが今作でも大活躍します。ヨウコとのやりとりやアルバイトをしている印刷屋の上司(佐藤二朗)や同僚ミサキ(山本美月)が笑いを取り、ブラックコメディといえる作品です。

 タバコは、堤真一(1964年生)が命がけでモクモク喫煙していました。6秒では死なないけれど年齢的に1本で心臓が止まることもあるかも・・・。「喫煙は緩慢な自殺です。」
佐藤二朗が職場で加熱式タバコを常に持っていました。次回作では職場は禁煙にしましょう。


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「アメリカン・ユートピア」 スパイク リー監督 米 ○ ☆☆

2021-06-25 | 2021映画評


「アメリカン・ユートピア」 スパイク リー監督 米 ○ ☆☆

 アメリカグラミー賞受賞アーティスト「ディビット バーン」が2018年に発表したアルバム「アメリカン・ユートピア」を原案にブロードウェイで行われたショーをスパイク・リー監督が映画化しました。

 いきなり脳の模型を手に歌い始め、人間の脳は生まれたときがもっとも神経細胞のつながりは多く、成長するに連れだんだん少なくなっていく、人との出会いこそが人間を豊かにするとかたります。そして、さまざまな楽器を身に着けたさまざまなメンバーと演奏し、踊ります。その内容はトランプ大統領時代のアメリカに対しての自分の思いを穏やかに語り歌うのです。

 1952年生まれのディビットが舞台の上を歌いながら演奏しながら動き回り印象的なダンスやマーチングバンド風の動きなどをカメラは捉えます。照明の見事なこと、音楽の豊かなこと、内容に主張があること、芸術性が高いことなどなど映画というメディアとして最高の作品です。
 コロナがなければ「ボヘミアン ラプソディ」のような「応援上映」で盛り上がることも出来たでしょう。残念!
 残念といえば、メンバーにアジア系の人がいなかったことがちょっと残念です。

 タバコは、なし。無煙です。喫煙者があのパフォーマンスをしたら倒れますね。


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「Mr.ノーバディ」 PG12 イリヤ ナイシュラー監督 米 ✗

2021-06-24 | 2021映画評


「Mr.ノーバディ」 PG12 イリヤ ナイシュラー監督 米 ✗

 職場の鉄工所と自宅を路線バスで往復するだけの退屈な男がある事件をきっかけに豹変するハードボイルドコメディ(?)です。
 毎日地味な職場に向かい決まり決まった生活を送り、妻からは疎んじられ息子にはバカにされるハッチ(ボブ オデンカーク)です。ある晩強盗が侵入してきましたが、ハッチはその二人の犯人を取り逃がしてしまいます。情けない父親と息子から軽蔑され妻からも頼りない夫と見られてしまうのでした。ところが、娘の大事なネコちゃんのブレスレットを強盗が盗んでいったことがきっかけとなりハッチは犯人探しを始めます。まず、力試しはバス内でチンピラと大格闘をし、かつての自分を復活させるのでした。

 暴力反対だった男が実は・・・。殴り合いやドンパチも派手で、はっきりしていることは、銃規制に反対する立場を映画にした、という内容でした。自分や家族を守るためには銃は必要です。と言っているのですがちょっとやりすぎでしたね。

 タバコは、冒頭とラスト(同じ場面)で印象的な喫煙シーンがあり、なんとタバコを吸いながら子猫に餌をやるのですが、受動喫煙被害をあの子猫は受けています。動物愛護団体は何をしているのですか?


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「アンモナイトの目覚め」 R15+ フランシス リー監督 英 ✗

2021-06-16 | 2021映画評


「アンモナイトの目覚め」 R15+ フランシス リー監督 英 ✗

 1840年のイギリスで、孤独な古生物学者メアリー アニングと上流階級の妻という境遇の違う二人が出会いと別れを海辺の街ライムを舞台に描きました。
 化石発掘を仕事にしているメアリー(ケイト ウインスレット)は大英博物館に展示されるような大発見もしていますが、女性であることから発見者である自分の名は消され買い取った学者の名誉となっています。それでもめげず、毎日化石の発掘とクリーニングの作業をし、観光客相手に土産物として売ることでなんとか母親との生活を営んでいました。そんなメアリーの前にロンドンから来た裕福な化石愛好家の妻シャーロット(シアーシャ ローナン)を預かることになります。はじめは反発する二人ですが、シャーロットが熱を出し寝込んだことがきっかけとなり二人の関係は大きく変わるのでした。

 当時考古学の世界も当然「男社会」で(当時だけでなく日本では今も?)結婚もせず発掘に明け暮れるメアリーは変人扱いだったのでしょう。しかし、シャーロットは発掘の面白さだけでなく人を愛することの心地よさもメアリーから教えられ人生を取り戻します。
 そして多分後にシャーロットがいたことで、メアリーの名と功績が表に出されたのではないかと予想できます。「男社会」の中「女同志」のふたりにエールを送りたくなる作品です。
 ちなみに、メアリー アニングはイギリス古生物学(恐竜学)を切り拓いた学者として伝記も出ています。

 タバコは、メアリーが喫煙者で3回ほどひっそり喫煙しました。今の葉巻より細い葉巻のようなタバコでした。


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「映画 賭ケグルイ 空前絶後のロシアンルーレット」 英勉(はなぶさ つとむ)監督 ○

2021-06-13 | 2021映画評


「映画 賭ケグルイ 空前絶後のロシアンルーレット」 英勉(はなぶさ つとむ)監督 ○

 コミック原作でテレビドラマ化もされている作品の劇場版2作目です。
 大金持ちの子女が通う百花王学園ではギャンブルが公認で、生徒会に上納金を収められないと「家畜」となって労働をしなければなりません。このところ家畜が増え、なんと生徒会に挑戦する動きが出てきました。その上一度学校を追われた男が舞い戻り挑戦状を叩きつけてくるのでした。

 ありえない話ですが、映画の世界はタイムスリップをしたり隕石が飛んできたり、多くが「ありえない」ことがテーマになっているのでギャンブル学校もその範囲でしょうか。
 とにかく英監督は若手の俳優たちを育てるのが上手です。できれば、映画が終わったときにそれぞれの名前と顔が初心者(というかシニア層?)にも覚えられるような演出をしていただけると勉強になっていいのですが・・・。次回作ではよろしくね。

 タバコはなし。無煙です。(○)


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「女たち」 内田伸輝監督 ○

2021-06-13 | 2021映画評


「女たち」 内田伸輝監督 ○

 40歳を目前にした主人公と、その親友、そして半身不随の母親・・・。それぞれの女たちが葛藤している姿を豊かな自然を背景に描きました。
 美咲(篠原ゆき子)は大学を卒業後就職ができず40歳を目前に故郷へ戻り学童保育のパートをしています。母親(高畑淳子)は半身不随でヘルパーが世話をしてくれています。美咲の親友香織(倉科カナ)は自然の中で養蜂業をしていて美咲も手伝っています。しかし、職場でトラブルがあったり、恋人と思っていた男に裏切られたり、親友が病に苦しんでいたり、母親からは毎日罵詈雑言を浴びせられ美咲自身壊れそうになるのでした。

 この作品でもダメ男が活躍して女たちを揺さぶります。救いになっているのが外国人ヘルパーひとりです。
 養蜂業は、そんなに儲からないと思えますが、それにしてはワインとかチーズとか結構豪華な食卓でそのあたりの現実的な問題が完全にスルーされていることは残念です。

 タバコは、なし。無煙です。(○)


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「茜色に焼かれる」 石井裕也監督 △ ☆

2021-06-12 | 2021映画評


「茜色に焼かれる」 石井裕也監督 △ ☆

 交通事故で夫(オダギリジョー)を亡くした母親が一人息子を育てるために奮闘する姿を描きました。
アルツハイマーの上級国民に夫を轢き殺された良子(尾野真千子)は相手が一度も謝らなかったことが納得できず、賠償金は1円も受け取らずにダブルワークで中学生の息子純平(和田庵)を育てています。その上介護施設にいる夫の父親の入居費や夫が愛人に産ませた子どもの養育費まで払っています。「まあがんばりましょう。」とがんばって花屋のパートと風俗業でなんとか費用を賄っていましたが、理不尽な出来事が次々と良子を襲います。その上息子は学校でいじめにあっているようなのでした。
 
 良子だけでなく同僚のケイ(片山友希)も子どもの頃から性的虐待を受け紐のような男にまとわりつかれ、男で苦労しています。男といえば夫の友人役の芹澤興人、良子をクビにする花屋の上司役笠原秀幸、純平の担任泉澤祐希、純平に飛び蹴り(お見事な飛び蹴り!)を受ける大塚ヒロタらのダメ男ぶりが見事でした。それに対するオダギリジョーのたった2,3分の登場ながらも映画全体の底辺を支える存在感と風俗店の店長永瀬正敏の情の深いヤクザのふたりが光りました。
 もちろん尾野真千子と片山友希、和田庵は賞レースに名乗りを上げる好演でした。(☆)
 なお、タイトルは万葉集の中の母を想う歌のことばからだそうです。ところで、二人が暮らす部屋に並んでいたたくさんの蔵書は石井監督の蔵書だとしたらすごいな。
 
 タバコは、禁煙の看板前で男が喫煙し、そのすきに良子が自転車をちょっと借りるという場面がありました。ネタバレになりますがいじめている中学生がなぜかライターを持っていました。(△)
 風俗の店長永瀬が喫煙せず、コロコロマッサージや果物を食べて間をもたせる演出が良くできました。


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「HOKUSAI」 橋本一監督 ✗✗

2021-06-12 | 2021映画評


「HOKUSAI」 橋本一監督 ✗✗

 江戸時代末期の浮世絵師葛飾北斎の生涯を、柳楽優弥と田中泯のダブル主演で描きました。
 貧乏画家の青年(柳楽優弥)は版元の蔦屋重三郎(阿部寛)に絵師としての才能を認められます。歌麿(玉木宏)や写楽(浦上晟周)らと競いながら独自の世界観の風景画を描くようになります。一方幕府は庶民の文化活動を規制しさまざまな妨害行動をするのでした。なかでも、人気戯作者柳亭種彦(永山瑛太)は士族という立場では決して認められることはなく苦しい立場に追い込まれます。
 北斎(田中泯)は北斎の無念を一枚の絵に表し隠しておくために弟子がいる小布施へと届けるのでした。

 自由な表現活動に権力が介入し力で抑え込んでいく恐ろしい行為を描くことで、現在進行中の映画人も声明を出している学術会議会員候補の任命拒否問題を彷彿とさせます。そのための映画化ではないかと思いますが、深読み?
 小布施町に「あの絵」を観に行きたくなりました。

 タバコは、花魁がキセルを喫煙していました。(✗✗)




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