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無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

ありがとう、トニ・エルドマン

2017-10-30 | 2017外国語映画評


「ありがとう、トニ・エルドマン」 PG12 マーレン アーデ監督 独オーストリア ◯ ☆

 おふざけが好きな父親と仕事一筋の娘の心の交流をユーモアたっぷりに、そしてちょっとシリアスに描きました。
 愛犬が死んだヴィンフリート(ペーター シモニスチェク)は娘イネス(サンドラ フラー)が仕事をしているブカレストを訪れます。仕事人間のイネスの生活を体験した父親はとりあえずドイツへ戻りますが、今度は下手な変装をして「トニ・エルドマン」と名乗り再びイネスの周囲に現れるのでした。「人生に大切なものはなにか。」という問を娘に向けイネスは反発をしつつも少しずつ今のままでいいのかと考えはじめ、時には突飛な行動をとったりもするのでした。はたして父娘の関係は改善されるのでしょうか。
 父と娘の関係を縦軸にヨーロッパ社会が抱える格差社会の現実や移民の問題などを織り交ぜ見ごたえのある作品となっています。(☆)
 タバコは、なし。無煙です。クラブやレストラン、パーティーの場面もありましたが、タバコはありませんでした。ただし、隠れて薬物を吸う場面はありました。
 

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バリー・シール アメリカをはめた男

2017-10-27 | 2017外国語映画評


「バリー・シール アメリカをはめた男」 タグ リーマン監督 米 ☓

 民間航空会社のパイロットがCIAにスカウトされ、さまざまな物の運び屋になって荒稼ぎしましたが・・・。実在の人物がモデルです。
 優秀なパイロットのバリー(トム クルーズ)はCIAの運び屋となります。運ぶものは「麻薬」や「武器」といった非合法なものです。しかし、巧みな操縦技術で警戒網をすり抜け、そのうち一人では間に合わなくなりグループでチームを組んで対応します。手数料はバッグいっぱいのドルキャッシュで屋敷中置き場がないくらい札束に囲まれた生活になってしまいます。ところが疫病神のような妻の弟が現れてから少しずつほころびが広がっていくのでした。 
 レーガン大統領の時代、民間人を活用しての武器の密輸出などで南米の各地で「革命もどき」を発生させ、その上麻薬まで取引して稼いでいたアメリカ社会の裏を描きながらもブラックコメディとして娯楽映画にしました。操縦が得意なせいかトム クルーズが妙に生き生きと演じています。彼の代表作になるのではないでしょうか。命を狙われているときには車のエンジンをかけるたびに爆発の巻き添えにならぬよう周囲の人を遠くに行かせていたのがバリーのひととなりを表現するいい場面でした。
 タバコは、疫病神の弟が何回か喫煙していました。(☓)


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ミックス。

2017-10-26 | 2017日本語映画評


「ミックス。」 石川淳一監督 ◯ ☆ 無煙映画大賞候補作

 人気脚本家古沢良太のオリジナル作品です。
 会社の卓球クラブに選手として入社した恋人江島(瀬戸康史)に多満子(新垣結衣)はふられ、実家に戻ります。実家にはかつて卓球の名選手だった母親の卓球クラブがありましたが、母亡き後はすっかり寂れていました。子どもの頃は母親から特訓を受け多満子も卓球少女でした。幼馴染の弥生(広末涼子)に声をかけられ、成り行きでクラブの再建に取り掛かります。そこにはちょっとした因縁のある元ボクサーの萩原(瑛太)が通っているのでした。
 クラブの目標を男女混合の「ミックス」で全国大会に出場することにし、特訓が始まります。
 それぞれがさまざまな悩みや問題を抱えながらも卓球という一つの目標に向っていくすがたは清々しいです。ラストは予想できますがちょっとひねった所がにくいです。さすが古沢良太です。
 多満子の恋敵役の永野芽郁やワケアリの卓球夫婦(遠藤憲一、田中美佐子)、妙な中華料理屋の蒼井優などちょっとした役にも贅沢な俳優を起用し、暴力やハダカもなく家族で楽しめる作品となりました。
 タバコは、なし。無煙です。その点もファミリーにおすすめです。(☆)


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猿の惑星 聖戦記 グレート・ウォー

2017-10-25 | 2017外国語映画評


「猿の惑星 聖戦記 グレート・ウォー」 マッド リーブス監督 米 ◯

 シリーズ最新作です。エイプ(猿人)のリーダーであるシーザー(アンディ サーキス)とエイプをケダモノとして扱う愚かな人間との闘いです。
 猿たちが平和に暮らしている森へ軍隊が制圧にやってきます。人間は新種のインフルエンザで多くが亡くなり生き残った人間たちが襲ってきたのでした。指揮を取っている大佐(ウッディ ハレルソン)に妻子を襲われたシーザーは仲間たちを安全な地域へと移動の旅に出し、自分ひとり復讐に向かいます。途中病気で話せなくなった人間の少女ノバ(アミア ミラー)や動物園にいたという「自称バッド エイプ」(スティーブ ザーン)が同行しそれぞれが危機に活躍し、なんとか大佐と出会いますが、シーザーは大佐に捕まってしまうのでした。
 毎回期待を裏切らない面白い作品です。人間の愚かさを見せつけられます。今作でも終盤の大掛かりな爆発を伴う戦闘シーンでは、気候変動の本を読んでいる筆者には「二酸化炭素を出し過ぎなのではないでしょうか。」と危惧したらその次の瞬間自然からの容赦のない成敗がくだされました。知的でエコなエイプたちだけの惑星になる前に、人類がこの惑星に住み続けられるよう何かを始めなければならないものだ。と考えさせられました。(ちなみに今読んでいるのは「資本主義VS気候変動」ナオミ クライン著 です。)
 タバコは、なし。無煙です。
 

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残像

2017-10-19 | 2017外国語映画評


「残像」 アンジェイ ワイダ監督 ポーランド ☓☓

 ソ連の影響を強く受けていた時代のポーランドで、反体制の実在の芸術家の姿を描きました。ワイダ監督の遺作です。
 スターリン主義が体制を占めるポーランドでは「真の芸術」を説く美術大学の前衛画家ストウシェミンスキ(ボグスワフ リンダ)は邪魔な存在でした。芸術を利用しようとする権力側は教授の仕事や美術会員の会員証まで取り上げてしまいます。会員証がないと絵の具すら手にはいらないのでした。その上、食料配給券もなく食べることすら叶わなくなるのでした。権力側は転向を促しますが彼は決して屈しませんでした。しかし、離婚した元妻の死と、最愛の娘までもが権力に利用されていく姿は彼をどん底へと追いやるのでした。
 民主主義の日本ですら、例えば自治体主催の催しに「反原発」「護憲」といった現政権がめざすところと異なる意見の団体を「忖度して」締め出したりしています。社会主義、民主主義を問わず権力の暴走や横暴に屈してはならないということをこの作品は教えてくれます。ストウシェミンスキの姿は決して他人事ではありません。
 タバコは、主役が喫煙者で度々喫煙していました。娘から何度か「吸いすぎよ。」と言われますが、意に介しません。結局結核になり死を迎えます。(☓☓)


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サーミの血

2017-10-18 | 2017外国語映画評


「サーミの血」 アマンダ ケンネル監督 スウェーデン、デンマーク、ノルウェー☓☓☓

 1900年代のスウェーデンで、虐げられながらもひとりの人間として生きようともがいた少数民族サーミの少女を描きました。
 エレ マリャ(レーネ=セシリア スパルロウ)はサーミの集落からスウェーデン人に同化させるための学校に通っています。指導は厳しい上に非人間的な扱いも受けます。それでも成績は優秀で、進学を希望します。しかし、理解ありそうな教師ですら「サーミ人の脳は小さく難しい学問にはついていけない。」と拒否するのでした。
 ある夜、スウェーデン人たちのダンスパーティーに紛れ込み恋に落ちます。恋人を頼って町へ出て進学を試みるのでしたが・・・。
 遊牧を生業にし、自給自足で、テントで暮らすサーミ人の暮らしはアイヌの人々と変わりません。そして辿った歴史的な差別も地域は違うのにほとんど同じです。特に民族差別と女性差別のダブルで辛い思いをさせられる場面には心からの憤りを感じます。私たちもアイヌの人々と真の和解をするために何をしたら良いのか考えさせられました。スウェーデンには先を越されましたが、森を走る爽快なアイヌ人が主役の映画が見たいものです。(「ゴールデンカムイ」のアニメ映画化はできないものか。)
 タバコは、冒頭で年老いたエレ(クリスティーヌ)が喫煙します。何回か喫煙しました。若い頃恋人に出会う場面でもタバコを「吸ってみる?」と言われ口にしています。過去の場面では未成年の若者たちが喫煙していました。(☓☓☓)


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エルネスト

2017-10-14 | 2017外国語映画評


「エルネスト」 阪本順治監督 日本キューバ合作 ☓☓ スペイン語作品

 キューバ革命をカストロとともに牽引したチェ ゲバラから「エルネスト」の名前をもらいボリビア革命で倒れた日系人フレディ前村(オダギリ ジョー)の短い半生を描きました。
 ボリビアから医学生としてキューバに来たフレディは真面目に勉学に励みます。ゲバラやカストロが学校を訪れ言葉を交わすことで、ゲバラの思想に深く影響を受けます。そんな折、故郷のボリビアで独裁的な軍事政権が誕生します。故国を救うため退学してゲバラの軍隊の戦士としてボリビアに向かうのですが・・・。 
 1967年に亡くなったゲバラの没後50年の記念作品です。
 冒頭で広島をゲバラが訪れ強い影響を受けたエピソードが描かれ、その部分だけでも「核兵器廃絶」の機運が高まっている現在の日本人には見る価値がある作品です。
 タバコは、ゲバラで無煙は無理だったのかもしれませんが、ゲバラもカストロも喫煙者で特にゲバラは医者なのにタバコの害に気が付かなかったのは残念です。キューバといえば葉巻ですが、葉たばこを栽培するより穀物を栽培することでみんなが幸せになれたのに・・・。また、広島の場面でも不要な喫煙場面がありました。(☓☓)


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ドリーム

2017-10-13 | 2017外国語映画評


「ドリーム」 セオドア メルフィ監督 米 ◯ ☆☆

 1962年、アメリカ初の有人宇宙船の打ち上げ成功の快挙を、陰で支えた黒人の女性スタッフの姿を描きました。
 有人宇宙飛行をソ連に先を越されたNASAはなんとしてでも宇宙に人を送らねばなりませんでした。その計算をする黒人女性チームのキャサリン(タラジ P ヘンソン)は天才的な計算力で宇宙特別研究本部に抜擢されます。しかし、そこは白人のそれも男性ばかりが活躍している場所でした。さまざまな差別を受けますが、本部長ハンソン(ケビン コスナー)は彼女の能力を認め働きやすい環境にします。一方、仲間のドロシーとメアリーもそれぞれの持場で才能や能力がありながらも黒人の女性であるがゆえの不利益を受けていました。果たして彼女たちの能力が正当に評価される職場となるのでしょうか。
 トイレに行くには700メートル離れた別棟の有色人用まで走らなければならず(それもハイヒールで)、図書館にも自由に入れないなど今では想像もできない差別があります。その上、女性であることから「数学」「技術者」といった男性専用ジャンルという偏見がある事柄に秀でた女性に対する差別意識も描かれます。
 それでもめげずに能力を発揮していく彼女たちのすがたは清々しいです。そして、差別意識は自らが払拭する努力をすれば解決できるということも証明しています。終盤、本部長の秘書のキルスティン ダンストがトイレでドロシーからタオルを抵抗なく受け取る場面などでさり気なく描いていました。また、白人の飛行士がキャサリンの計算能力を信頼している姿は感動的です。
 冒頭から軽快な音楽が観客を映画の世界に誘います。テーマは重いのですが、3人の明るさや音楽で後味の良い作品になりました。(☆☆)


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ナラタージュ

2017-10-12 | 2017日本語映画評


「ナラタージュ」 行定勲監督 ◯

 島本理生の同名小説を実写映画化しました。
 映画の配給会社に務める工藤泉(有村架純)は雨の夜になるとある人を思い出します。孤独な高校生活を救ってくれた演劇部顧問の葉山先エルネスト(松本潤)のことでした。
 高校時代、友だちのいない泉は昼休みには葉山のいる社会科準備室へ行くことが日課になっていました。卒業後音信が途絶えていましたが、文化祭の応援に呼び出された泉は葉山と再会し、大学生の小野(坂口健太郎)と出会います。小野は泉に惹かれ二人は付き合うようになりますが、泉の本当の気持ちは葉山への思いが捨てきれずにいました。はたして二人の関係はうまく行くのでしょうか。
 複雑な背景がある葉山を松本が笑顔を封印して演じています。要所要所で名作映画がさりげなく紹介されていて映画好きには嬉しい作品です。
 気になったのは、坂口扮する小野がやたらと泉を支配、独占しようとしていたことです。それが恋とか愛だと思ったら大間違いです。土下座やカップル間レイプは☓。
 もうひとつ、富山が舞台ですが、海岸がゴミだらけだったことが大変気になりました。まさか演出としてゴミを置いたわけではないですよね。(二人の関係性をあのゴミが象徴している、という説が身近なところから出ましたが・・・。まさかね。)ロケでお世話になった御礼にスタッフみんなでビーチクリーン活動をしましょう。
 「ナラタージュ」とは「ナレーション」と「モンタージュ」を合わせた言葉で過去を独白する形態の文章などを表す造語です。
 タバコは、なし。無煙です。その点はクリーンでした。


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