
「少女は自転車にのって」 ハイファ アル マンスール監督 サウジアラビア ×
10歳の少女マジダが女性の行動には様々な制限がある社会で「自転車に乗りたい」という思いをなんとか達成しようとする姿をしたたかにそしてキュートに映画化しました。サウジ初の女性監督の作品です。
マジダは男の子の友達アブダラと自転車の競争がしたいのですが、母親は「女の子が自転車なんて」ととりあってくれません。800リアルの自転車を買うために学校で催される「コーラン暗唱大会」に1000リアルの賞金目当てに応募します。それまでは問題児のワジダでしたが、「心を入れ替えて」コーランの練習に励むのでした。
自転車や自動車に乗れない女性たちは行動が制限され仕事の場も限られます。母親はそんな生活を不便に思いながらも「そういうもの」と受け入れています。髪もショートにしたいけど「パパが長い髪が好みだから」、条件のいい職場も男性と一緒に働くのは「パパが嫉妬するから」とパパのせいにしてあきらめています。しかしそのパパも結局は男の子を生めないからと第二夫人のもとへ去ってしまいます。そんな母親を直接非難することはしませんが、ワジダは彼女なりに新しい生き方を切り開いて行くところが共感の持てる作品です。
タバコは、夫とうまくいかなくなった母親がベランダで喫煙します。女性の行動に制限が多いイスラム社会ですが喫煙には寛容なのでしょうか。また、悩んだときには「タバコ」という発想も世界共通の刷り込みですね。